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11話 魔王の企み

野放しにする気はない。そう言ったのは本心だ。

あの後、俺は自室に暫く籠ると宣言し、誰も来ないように頼んだ。


まずは情報収集。

エルフが居なくなった辺りから現在までを、早送りのように頭の中で映し出す。

エルフが消えた事に焦っている者ばかりだ。貴重なエルフが居なくなったと嘆く者、誰かが逃がしたと騒ぎ立てる者、屋敷を探せと命じる者。皆それぞれ探している様だが、見つかる訳がない。

今日でエルフ達が消えてから3日が経過している。屋敷内の捜索を諦め、外を探す者がほとんどだ。公にすることが出来ず秘密裏に探しているようだったが、これを利用する事にした。


まず、偽の情報を流す。エルフを捜索中の連中に「とある貴族が大量のエルフを購入したらしい」と。

その噂を聞いた貴族達は、案の定その貴族を探し出そうとする。

貴族達は、お互い探り合い疑心暗鬼に陥る。混乱しているところを更に偽の情報流せば冷静に判断出来るやつはそうそう居ない。


いい感じに貴族に噂が広まった頃、次は平民達に噂を流す。「3年前に討伐したエルフと悪魔は生きていてエルフは貴族達の奴隷になっていたらし、だが最近になってその奴隷達が一斉に逃げたらしい」

その噂はアッと言う間に広がった。不安や不満を述べる平民達の出来上がりだ。ここ最近の怪しい行動をする奴(エルフを探している連中)の事も説明がつく。


3年前、王政直々に発表した悪魔とエルフの壊滅。それが嘘だっと知ったら、国民は王から裏切られた事になる。そうなれば王の支持は一気に降下する。困るのは王と、王を支持する派閥だ。

王を良しとしない連中はこれを機に、新王を立てるつもりらしい。

ザック説明するとこんな感じだ。


王は国民からの支持を取り戻すため、3年前エルフ討伐に関わった魔導士を国外追放。闇オークションの廃止。エルフを奴隷にしていた貴族を調べあげ(俺が誘導したんだが)重罪人として逮捕する。

エルフの捜索に夢中になって、お互いの動きに集中していた貴族達はあっさり捕まった。

それと同時にエルフ以外の奴隷も開放された。国は徹底的に奴隷所有する貴族達を暴き出し、国民の支持を取り戻そうとしているのだ。解放された奴隷達は故郷に返すとのことだ。

これで少しはマシな国になるといいんだが。


そんなこんなで気づけば一ヶ月が経過していた。

リアルタイムで王政や貴族の動きをずっと追っていたせいだ。

慎重に事を進めようと、いろんな奴の動きに目を配っていたらこんな事に。悪魔の体で良かった。不眠不休でもなんとかなるのは助かる。


暫く振りの部屋の外。ギールに終わったことを告げ、エルフ達の大部屋の扉の前に移動する。

入るかどうかちょっと迷う。なぜかノールの気配がこの大部屋からするからだ。あの、ノールがエルフ達と居ると言うのが不安でしかたない。何か問題を起こしてないといいのだが。


部屋に入ると意外や意外。ノールはエルフ達と和気あいあいと言った感じで話をしていた。この一ヶ月の間に何があったのか。俺の知らない間にかなり皆と打ち解けているようで、そこにいるのが当たり前と言った雰囲気だった。

俺は、ノールに向かって話しかける。


「随分と仲良くなったんだな」


「魔王様!! なかなか出て来られないので心配しました!! もうよろしいのですか?」


相変わらず元気だな。もしノールが悪魔ではなく犬だったら、しっぽをブンブン振っていることだろう。


「ああ、終わったよ。長くなって悪かった」


「とんでもございません! 魔王様にっとて重要な事だったのでしょう。魔王様にとっての重要な事は我々にとっても重要な事です!」


「お、おう。ありがとう。それよりノールはどうしてここに?」


「はい、(わたくし)ノール、魔王様の何か役に立てればと思い、別の作業をしている魔王様に代わりエルフ達の様子を見ていた次第です!」


褒めてくれと言わんばかりの目をこちらに向けてくる。まあこの様子から見るにエルフ達と仲良くやっていたようだし、俺の役に立つ事を自分なりに考えたのだ。正直、助かったしここは素直に褒める事にしよう。


「そうだったのか、ありがとう! お陰で助かったよ」


ノールはその言葉にとてもご満悦のようで、キョロキョロと周りのエルフ達に見たか! と言わんばかりに目配りをさせていた。

エルフ達もエルフ達で、まるで我が子を見守るような微笑ましい表情をしていた。

意外と相性が良いのかもしれない。




エルフの皆も、かなり良くなったようだ。これなら皆日常生活に戻っても問題ないだろう。



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