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3話デバフ使い、冒険者ギルドに行く

一話なんとかかけたー!


起きたら夕方で焦った…

「帰ったよ〜みんな!」



 俺の腕を掴みながら、女性は冒険者ギルドの扉を足で勢いよく開けた。

 昼前というのに、冒険者ギルドの中は依頼を受けようとする冒険者とすでに出来上がった酔っ払いで埋まっていた。



「おっ、もう帰ってきたのか? リオン、まだ2時間くらいしか経ってないが」



 この子の名前はリオンというのか、なんかレオンを思い出すから嫌だな。



「こんだけ、早かったということはもしかしてフリーの支援職の人見つかったのか?」



 俺の背丈ほどある、大きな盾と剣を背負っている男があまり期待してなさそうな感じで言った。



「よく、分かったね!! ガイル、やっぱりリーダーだから観察眼が違うのかな」


 そうか、この男の人がこのパーティーのリーダーか。

 確かに、強そうでしっかりしてそうだな。



「えっ、本当に見つかったのか!?」


 リーダーの男が目を見開いた。


 恐らく、この反応は支援職がこの短時間で見つかるとは思ってなかったんだろう。


 まぁ、そりゃあそうだよな。

 普通、フリーの支援職なんて滅多にいないからな。バフ使いや聖女はソロで冒険するには火力もないし耐久力もない一人でいる旨味がないからな。


「そう、紹介するね! なんと、あの勇者レオンパーティー所属の……えっと、ルークです」


 何適当言ってるんだ、こいつは。


「俺はルークじゃない、俺の名前はシンだ」


「つまり、そこにいる女性は名前も知らない俺を半強制的に連れてきたんだ」


 リオンが俺の方を向いて、申し訳ないといった様子で頭を下げていた。


「ほぅ、勇者パーティーか……フリーの支援職と言ったらパーティーに入る前の駆け出しか、訳ありの奴が多いからな」


 勇者パーティーじゃなくて、元勇者パーティーだからな。

 大丈夫なのだろうか、どんどん期待が膨らんでいるような気がするんだが。



 盾を背負った男の横には、弓を持った男と杖を持った女性がいるが、二人も期待したような目をしている。



 これ以上、変な期待をさせるのは申し訳ないからな。

 早いうちに言っておくか。



「期待してるところ、悪いが。職業は一応支援職だ……」


「だが、俺の職業はデバフ使いだ。そして、勇者パーティーもクビになった」


 俺が事実を話した瞬間、リオン以外のメンバー3人はあからさまに落胆していた。


 そう、これがデバフ使いに対する世間の評価。

 さらに、勇者パーティーをクビになったということは何かしらの問題があったと考えているだろうな。


「リオン。お前が一生懸命探してくれたのありがたいが、やはり今回の依頼は断ろう」


 リーダーの男が、険しい顔で言う。


「俺もそれが、いいと思うぜ。そこの男には悪いけど、俺らが欲しいのは腕のいいバフ使いだ」


 弓を持った男が、リーダーの後に続く。


「そうだけど、デバフ使いもバフ使いも同じ支援職でしょ!」


「いいか、リオン。同じバフのスキルでもバフとデバフ似てるようで対極な存在、俺らのパーティーには神官がいない」


「それは、今までユイがいたからだ。ユイがこのパーティーの命を何度も救っている」


 その、ユイというバフ使いはとても信用されているんだろうな。


 リーダーの男の言葉に力がこもっている。



「それに、デバフ使いで使える冒険者を俺は10年冒険者をしてきたが一人しか知らない。それも、伝説のバフ使いジェラルドさんだけだ」



 うん?ジェラルドって言ったか、この人。



「なぁ、そのジェラルドって人。片目が無くて、片腕を包帯で巻いてなかったか?」



「あぁ、そうだ。よく知っているな、オレが駆け出しの頃に一度命の危機を救ってもらったことがある」


「バフ使いというのに、とてつもなく強くどんな攻撃職もあの人には敵わないだろう」


 うん、ごめん。それ……俺のじいちゃんだ。


 絶対そうだ、いつも酒が入ると。昔の冒険談を嫌というほど聞かされた、その中でも駆け出しの少年を助けた話は何回も聞いた。


 それに、支援職なのに攻撃職並みに強いってとこもあてはまる。


 じいちゃんには、色々と冒険の心得やスキル習得の特訓に付き合ってもらってたからなぁ。


 じいちゃん、元気にやってるかな。


「だから、その人くらいとは言わんが。その人の片鱗が見える実力ならば話は別ということだ」


「無理な話を言って悪い、リオンが無理やり連れてきたんだろうが。帰ってくれてかまわない」


 リーダーの男が深く俺に頭を下げるところを見ると、なぜこの人がリーダーなのかもわかる気がする。


「待ってよ! この人以外に支援職なんてみつからないよ!」


「リオン、実力も分からない人とするレベルの難易度じゃない……難易度A、つまり村や国が壊滅する可能性がある」


 杖を持った女の子の言うことは正しい。


 駆け出しの冒険者がするような、簡単な依頼ではない。

 それも、A難度となるとSランク冒険者といえど大変だろう。

 知らない他人に、命を預けるべきではない。


「他の、高ランク冒険者パーティーに代わりに行ってもらうのがよくないか?」


 俺は今の自分の考えを、リオン達に提案した。


「それは、無理なの……他の、パーティーは今遠征で遠い場所にいるの」


「今ここにいて、この依頼を受けれるのは私達くらい」


「そうなのか……」


 リオン達の表情がさらに暗くなる。



「てことはさ、シンがそのジェラルドって人に近い実力ならガイルもいいってことだよね!!」


 リオンが簡単に言うが、俺があのじいちゃんと同じ活躍というのは駆け出しの冒険者がドラゴンを倒すようなもんだ。


「確かに、それほどの実力なら依頼も受けることは可能だとは思うが……」


「待て、俺にそんな実力は……」


 俺じゃ、ユイっていうバフ使いやじいちゃんの代わりなんて出来るわけがない。


「もう! 試しもしないで言わないの!!」


 リオンが俺とリーダーの声を遮るように叫んだ。


「えっ、試す?」


「シン! 私は貴方と出会ったのは運命だと思ってるわ! この、頭の堅いガイルに見せつけてやりましょう」


「となれば、早く行くわよ!」


 そう言うと、リオンは俺とリーダーのガイルの腕を掴んでズルズルと引っ張っていく。


 俺とガイルの二人が連れて行かれる様子を見て、残りの二人は何が起こってんだと言いたげな表情をしていた。


「ほら、二人も早く行くよ!」


 リーダーが連れてかれてるのもあって、ついていくしかないと二人もリオンの後を追った。


 その後、俺達は早足で近くの森へと足を進めた。


「まぁ、実際に見たら諦めるだろう」


 それが、パーティーメンバー全員の考えで、リオンの後をついていった。

3話目とまだまだ少ないですが、面白かったなと思ったら広告の下の【☆☆☆☆☆】の評価ボタンを押してもらえると、めちゃくちゃやる気出ます!


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