1話デバフ使いパーティー追放されます
頑張って連載作品書きます。
常識を覆していく無双作品を書きたいんだ!
今年冒険者歴5年を迎える、勇者パーティーの影の功労者こと俺シンは。
来る日も来る日も、パーティーメンバーのお世話(炊事、洗濯、武器のメンテナンス、依頼の確保、依頼達成の計画……)をしていた。
裏方として普段からこなしてきた行いを細かくまとめると書物一冊ほどになるのではないだろうか。
なんで俺が毎日裏方として働いているのかって?
それは俺の職業がバフ使いだからだ、ただここで勘違いしちゃいけないのはバフ使いはとても需要があってパーティーメンバーに欠かせない存在だということだ。
じゃあ、なんで俺は貴重な存在なのに裏方なのかって?……それは、俺の職業がデバフ使いだからだ。
この世界では、12歳になると同時に神様から天職を告げられる。
天職を告げられたからといって、絶対にその職業じゃないといけないという事はなくて神様はあくまでその人に向いた天職を教えてくれ、スキルを与えてくれる。
まぁ、この世の中に天職以外の職業に就く人はなかなかいないけどな。
あきらかに、効率が悪いからだ。
だから俺も不人気職業堂々の一位と雑誌で知りながらもデバフ使いになっている。
デバフ使いはバフ使いと違って、味方を強化したり簡単な回復や状態異常の回復といった事をすることができない。
パーティーメンバー自身が効果を実感することがないことから、バフ使いに比べると軽視されることが多い。
魔法も剣も使えない、お荷物。魔物の餌、それが世間からのデバフ使いに対する評価だ。
……ほんと、デバフ使いに辛い世の中だよな。
そういった世間からの声に負けず、剣がダメなら包丁を握り料理を。
そうやって、パーティーのサポートをしてきた俺にもついにきてしまった。
「シン、悪いが君は今日限りでパーティーを抜けてもらう」
そう、デバフ使いあるあるパーティー追放だ。
俺にパーティーを抜けろと言ったのは、このパーティーのリーダー勇者レオンだ。
「一応、聞いておくが俺に拒否権は?」
「あるわけないじゃーん!」
そういって耳障りな声で俺を否定し笑っているのは、聖女のミリア……俺はこいつに会ってから、聖女は清楚な女性という幻想を打ち砕かれた。
「あんたみたいな、お荷物抱えてきた私たちのことも考えなさいよ」
「リルもそう思うでしょ?」
「どうでもいいわ、いてもいなくても大差ないから」
興味ないといった様子で返答し本を読むのが賢者リル。
「だ、そうよ? つまり、アンタはこのパーティーに必要ない存在ってわけ!」
ここまでハッキリと言われるのは心にくるものがあるな。このまますんなり、思い通りに動くのも悔しいし……そうだ!俺の必要性を教えてやればいいんだ!!
「いいのか? 俺がいなくなると大変なんじゃないか」
「それは、どういうことだい? 君は戦闘時には聖女の更に後ろで何かゴソゴソとしているだけで役に立っているとは思えないのだけど」
ゴソゴソって……このパーティーにタンクやシーフがいないから周囲の罠の解除や背後からの魔物を倒しているんだろ!
そんな俺の影の苦労を知らないメンバーからすると、俺の頑張りはなんか後ろでゴソゴソしていて目障りって程度なんだろう。
でも、普段の生活のことなら!俺の頑張りがわかるはずだ。
「普段の家事は俺が抜けたらどうするんだ? このパーティーの雑用を俺以外に誰ができるんだ」
この5年間で俺は料理や洗濯といった家事の手際に密かな自信を持っていった。
そして、このパーティーメンバー全員が実家が金持ちで家事を満足にすることが出来ないことを知っている。
つまり、このパーティーに俺はある意味必要不可欠なはず!
さぁ、答えを聞かせろよ!
「アンタもしかして、俺は家事ができるって自慢したいわけ?」
「残念でしたーー! アンタより、家事もできて可愛いバフ使いの女の子を仲間にしてるのよ。つまり、何をするにもあんたは必要ないのよ!」
「これで、分かったんじゃないか? シンお前にこのパーティーに居場所はない。だから、有り金とその首元のネックレスを置いて出て行ってくれ」
首元のネックレス、これは幼なじみの俺とレオンが初めて冒険者になった日に互いの成功と安全を願って有り金全てで作ってもらった思い出の品。
それも、置いて行けってことは……本当に終わりなんだな。
「一つだけ教えてくれ、俺のパーティー追放の一番の理由はなんなんだ?」
「そんなの、シン。君が一番よく分かってるだろう」
「弱いからだ」
シンプル、そして一番悲しい理由だ。
確かにデバフ使いは不人気職業で他のデバフ使いがどれくらいなのか、バフ使いがどれくらい強いのか俺は知らない。
レオンの言うとおり、俺は邪魔なのかもしれないな。
「ネックレスと今持っている全ての金だ。受け取ってくれ」
俺は、魔法の鞄から財布を取り出してレオンに渡した。
「全部で金貨30枚か……かなりの額をため込んでたようだね。これだけあれば、冒険者を辞めても数年暮らせるのに素直に出すとはね」
「君の真面目なところだけは好きだったよ」
レオンが財布をポケットにしまうと、俺の渡したネックレスを火炎魔法のファイアで燃やしつくした。
「これで、君との縁は切れた。もう、この宿から出て行ってくれ」
レオンはそういうと、宿のロビーからミリアとリルを連れて部屋に戻っていった。
俺は最後のレオンの言葉に少しの悲しみを抱えながら、宿から外へ出る。
一人で夜の道を歩いていると思い出すのは、五年間一緒に過ごしてきた仲間たちとの思い出。
いつからだっただろう、仲間扱いされなくなったのは……昔は皆笑いながら過ごしていたはずなのに。
「こんなことなら、効率悪くてもバフのスキルでも覚えておくんだった」
俺は自分の実力の無さに後悔しながら、一夜を明かすために仮眠の取れる冒険者ギルドに向かった。
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