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手伝い

 午後も本棚に戻す作業だったのだが、警備隊の者たちがスクナ達が午前中に残した1/4のうち、2/4までを片していってくれたため、気持ち的に余裕をもっていることが出来た。

 2人で午前中すべてかかって1/4だったというのに、お昼休みという短い時間。それも交代で昼食をとったにしても少ない時間でよくもここまで整理できたものである。

 彼らの筋肉は伊達じゃないんだなとスクナは若干おののいていた。もっと言えば、もっと筋肉つけようかなと思っていた。ユティーに言えばなぜかいつも反対されることを承知で、思うだけならいいだろうと。

 午前中に1/4片付けられていたのだ。それ以上に時間のある午後にそれを上回る働きが出来ないわけがない。むんっとスクナは腹に力を込めて、チナミが組み上げた本を持ち上げた。


「班長、置いてきますね」

「ああ、そっちは任せた」

「はい」


 そのまま午後と同じ役割分担で進め、ようやく残り数十冊で終わると言うときには、午後17時。終業まであと30分になるところだった。

 いつも15時にいれるお茶の時間を飛ばしていたため、とりあえず一息つこうと水筒に残った紅茶を飲んでいるときだった。


「今日中に終わりますかね?」

「少し厳しいかもしれんな。ま、あと少しだから大丈夫だろう」

「なんなら、ユティーに手伝って……もらえ、ば……」

「どうかしたのかね?」

「いえ、その」

「私が恋しくなったか、スクナ」


 名前を呼んだと同時にスクナの右手首を飾っていたミサンガが光ったのは。


 ふわりとスパイシーながらもどこか甘い香りがスクナの鼻をくすぐった。

 ちょうど何も持たず立っていたスクナの首にするりと黒い軍服に包まれた左腕が絡みつき、ことさらゆっくりとスクナを抱き寄せた。


 ぽすんとユティーの案外たくましい胸に顔が当たったスクナは。鼻にカラフルな自分で縫い付けた略綬が当たって、痛いと思いながら少し青ざめて口を開く。

 ずっと拘束している気はなかったようで、腕を突っぱねるとたやすくほどかれて、スクナはほっと息をついた。敬愛する班長に子どものようにユティーに抱きしめられているのを見られるのは嫌だった。



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