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Riddle 〜魔法師たちのお仕事〜  作者: 小雨路
第3問『おてんとうさまを見ると、冷や汗をかいて小さくなって、やがていなくなるのだあれ?』
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信じましょう

「『スクナ』とやらに頼めば、彼のもとへと帰れるのですか?」

「はい!」

「ええ!?」

「……なにか?」

「いえ! なんでも」

「任せたまえ。彼は優秀だ」

「班長!?」


 元気よく手まで上げて返事をしたナコトとほぼ同時に絶句するスクナ。ここで遊子のやる気……というかせっかく納得しているのに、それを無に返すわけにはいかないと大きく頷くチナミ。結果、スクナの叫びは無視された。

 断言されてひしひしとプレッシャーを感じるやら期待されて嬉しいやらで顔を青く赤く器用に染めるスクナ。そんなスクナを振り向いたチナミが、近寄り耳元で囁いた。


「安心したまえ。いつもの通りやればいい」

「チナミ班長……」

「君は大丈夫だ。あの子を元の世界に返したいんだろう? その気持ちさえあれば、大丈夫だ」


 がんばれとでも励ますようにチナミがスクナの頭をくしゃくしゃと撫でる。ぱちんとウインクをして、行って来いといまだ戸惑っている背中を押した。

 そこから、ナコトがスクナの手をひいて、遊子の前まで歩いていく。


「では、信じましょう」


 ナコトの姿がふっと掻き消える。言いたいだけ言ってから首紐の中へと戻ってしまったらしい。

 遊子の前まで来ると、物憂げに伏せていた金色の目が上がる。

 期待をはらんだその瞳とあったと思った瞬間、いつもの感覚がスクナを襲う。


『帰りたいの』『彼に会いたいの』『帰りたい』


 その金色の瞳の声を、スクナは確かに聞いた。その声は、遊子の声でどこまでも悲痛に響いていた。帰りたいと。待っている人がいるのだと、胸が締め付けられるくらい、息を飲み込んでしまうくらいに。必死に。その声を辿るように、そっと目を閉じる。

 ぎゅっと目を閉じて、胸元を握る。胸がどきどきして、体中が熱くなったように感じた。


(帰らせなきゃ……!)


 スクナにはいない、待っててくれる人がいるのならば。愛しいものがいるのならば。決意を新たに、閉じていた目を開けて、その金色の瞳にもう一度合わせる。

 高く低く、様々な声色がばらばらにしゃべり始める。静寂に満ちた図書館の中、子どもから老人まで幅広い声域がスクナの脳裏を走る。スクナにしか聞こえない、遊子の声が。叫びが。悲鳴が。願いが。確かに聞こえた。


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