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神様は異能蒐集家   作者: 杉浦 遊季
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第5話 異能力について(後編)

「で、ここからが本題」


「人が変質した存在が妖人。そしてそれを取り仕切る一族がいる。それは神楽家という。神楽家は古くからこの地方にいる名家で、表向きはいくつもの学校や病院などを経営している一方、裏では妖人たちをまとめあげていた」


「そういう存在が生まれるのも無理もない。力ある存在は、その力を律しなければならない。とても野放しにできるほど、人にとっても妖人にとっても、安全なものではないかね。故に、神楽家は規律と相互監視によってこの地方の妖人を統括してきた。言わば、妖人にとっての自警団のようなものね」


「ただその効力も、綻びが生じることが多々あった。最も新しい神楽家のスキャンダルといえば、数年前の家督争いになる」


「この事件は世間には隠蔽されたけど、その実無関係な人が、妖人でもなんでもない人間が三十人ほど巻き添えを食って亡くなったの。しかも被害者全員が無力な中学生」


「当時の神楽家には、当主候補が二人いたみたい。一人は地道に努力を重ね実力を身につけていった大人と、もう一人は妖人になってからすぐ目覚しい才能を開花させた神童。妖人の集団の長として、神楽家の当主は最も優れた異能力を持った人物が選ばれることになっていたから、二人が対立するのも自然なことだったの」


「そんなときに、事件は起こった」


「神童が、一族の当主を暗殺した上に、学生相手に異能力によるテロ行為を働いたの」


「神童曰く、己の理想を実現するために、力を示したかったのだと。その結果悲劇が生まれてしまったのだけどね。そして対立候補と神楽家に従う妖人たちは、神童を止めるため戦うことになった。しかし誰も神童を止めることができなかった」


「そしてついには、一族の神様まで出てくることになった」


「神楽家には独自の教えがあり、とある神様を崇めていた。でも何百年何千年生きた古えの神様も、呼び名が違うだけで中身は所詮妖人。大元をたどれば、ただの人間であった時期がある存在よ」


「その一族の神様と一族の神童が、真っ向からぶつかったの。そして勝ったのは、神様だった」


「でも神様も無事ではなかった。身体に深い傷を負い、己の命気が枯渇し、古えより続いた命が尽きようとしていた」


「そして神様の傍らには、同じく命が尽きようとしている人間がいた。神童が起こした異能テロの唯一の生存者」


「神様は最後の力を振り絞って、その生存者にとり憑いた。そして生存者の命気と自分の抜け殻に残る命気を掛け合わせることで延命したの。一つの肉体に、二つの命が宿るかたちでね」


「これがこの地方にいた、異能力を持つとある神様の末路。普通に暮らしていたなら、絶対に知ることのないお話でしょ」



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