24.1
褒められた。から、何か言わなくては。
「お、お主の着物も、綺麗な絣模様で、見事だ。」
「これは、こちらでご用意いただいたものですよ。」
彼は、微笑んで言う。
対する私は、彼をお返しに褒めたかったのに、それができず、また、こちらで用意したものなら、自分を褒めてしまったようで恥ずかしくなった。
「いやっ、その、絣模様の着物がよく似合う男は中々おらぬぞ!!」
我ながら、よく分からない褒め方をしている。
焦ってしまって口から思わぬ言葉が飛び出す。
「ぶはっ。」
なんだ。
顔を上げると、彼はおかしそうに笑っている。
息も苦しそうだ。
震える声で彼は言う。
「そんなに無理して褒めなくてもいいですよ。というか、そろそろ気楽に話しません?
姫様はだいぶ無理してらっしゃるようだ。」
どきっとした。緊張のあまり、普段の話し方とは全然違う。それを見破られたのか。
だとすると
つくづく恥ずかしい。
一息ついて、彼は言う
「だって、さっきから、姫様は話し方が定まってないし。例えば、俺の呼称がそなたとか、お主、お前、まだまだあったな、慣れない話し方している証拠だろ。」
「なっ。だって、同じくらいの歳の男の子は初めてだったんだもん!どうやって話していいか分からないじゃない!
というか、いきなり何ですか、その口調!」
言ってしまって、はっと、口を押さえる。
しまった、威厳とか気をつけてたのに。
にんまりと彼が笑う。
もしかして、私が素で話すのを待っていた?
軽い口調で挑発して、話させた?
「その話し方の方が、ずっといいですよ。」
さっきまで、馬鹿にしていたのに、すっと微笑んで優しくそう言った。
その言葉は私の胸に温かく、すとんと落ちた。




