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暁に棲む  作者: 水街 つみき
36/45

24.1

褒められた。から、何か言わなくては。


「お、お主の着物も、綺麗な絣模様で、見事だ。」

「これは、こちらでご用意いただいたものですよ。」

彼は、微笑んで言う。


対する私は、彼をお返しに褒めたかったのに、それができず、また、こちらで用意したものなら、自分を褒めてしまったようで恥ずかしくなった。


「いやっ、その、絣模様の着物がよく似合う男は中々おらぬぞ!!」

我ながら、よく分からない褒め方をしている。

焦ってしまって口から思わぬ言葉が飛び出す。


「ぶはっ。」

なんだ。

顔を上げると、彼はおかしそうに笑っている。

息も苦しそうだ。

震える声で彼は言う。

「そんなに無理して褒めなくてもいいですよ。というか、そろそろ気楽に話しません?

姫様はだいぶ無理してらっしゃるようだ。」


どきっとした。緊張のあまり、普段の話し方とは全然違う。それを見破られたのか。


だとすると


つくづく恥ずかしい。


一息ついて、彼は言う


「だって、さっきから、姫様は話し方が定まってないし。例えば、俺の呼称がそなたとか、お主、お前、まだまだあったな、慣れない話し方している証拠だろ。」


「なっ。だって、同じくらいの歳の男の子は初めてだったんだもん!どうやって話していいか分からないじゃない!

というか、いきなり何ですか、その口調!」


言ってしまって、はっと、口を押さえる。

しまった、威厳とか気をつけてたのに。


にんまりと彼が笑う。

もしかして、私が素で話すのを待っていた?

軽い口調で挑発して、話させた?


「その話し方の方が、ずっといいですよ。」

さっきまで、馬鹿にしていたのに、すっと微笑んで優しくそう言った。

その言葉は私の胸に温かく、すとんと落ちた。

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