23.1
兄王の目が、一瞬驚きを見せた。しかし、すぐにビー玉を陽の光の下に置いたような、キラキラとした瞳になった。
「なんだ、それは」
気になっているが、それを必死に隠そうとしている。
あくまで、平静を装った、そんな身振りである。
「孤児たちには、身寄りがありません。1日を食べていくのにも。やっとのことです。
こちらとしては、贄が必要です。死罪人を連れてくるのが1番いいでしょうが、その数には限界があります。また、誰でもいいわけではないでしよう。姫に強く危害を与えるような者では連れてこれません。
ならば、孤児たちを、保護し、育て、頃合いを見て贄として姫に献上するのです。
もちろん、姫の御前に出すに相応しいように育ててです。」
静かに、黙って聞いていた兄王が、瞳をギラリと光らせてこちらを振り仰ぐ。口元は大きく上に上がって。
「面白い。建前としては孤児の保護で国としての信用が上がる。そして、贄の安定的な供給も叶うわけか。」
「はい。贄は必ず用意しなくてはなりませんから。」
「まさか、お前からそんな提案が出るとは驚いた。だが、これは孤児たちを救いたいという姫を裏切ることにならないか?」
姫のことを玩具としか思っていないのに、さも思いやった台詞を吐く。思ってもいない正論をぶつける。
本当に、嫌な奴だ。
「まさか、全ては姫のためです。多少犠牲が出ようとも、恨まれようとも、最善策なら提案するまでです。」
かわいい姫、愛しい姫、誰からも愛されない姫。
たった一人、私だけが愛する姫。
必ず守る。
「ははは、本当に恐ろしい奴だ。提案は呑もう。面白い。事の進みは追って伝える。姫にはお前が好きに伝えろ。」
「は。ありがとうございます。」
姫は私が守る。
そのためなら
鬼でも悪魔にでもなってやる。




