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暁に棲む  作者: 水街 つみき
34/45

23.1

兄王の目が、一瞬驚きを見せた。しかし、すぐにビー玉を陽の光の下に置いたような、キラキラとした瞳になった。

「なんだ、それは」

気になっているが、それを必死に隠そうとしている。

あくまで、平静を装った、そんな身振りである。


「孤児たちには、身寄りがありません。1日を食べていくのにも。やっとのことです。

こちらとしては、贄が必要です。死罪人を連れてくるのが1番いいでしょうが、その数には限界があります。また、誰でもいいわけではないでしよう。姫に強く危害を与えるような者では連れてこれません。


ならば、孤児たちを、保護し、育て、頃合いを見て贄として姫に献上するのです。


もちろん、姫の御前に出すに相応しいように育ててです。」


静かに、黙って聞いていた兄王が、瞳をギラリと光らせてこちらを振り仰ぐ。口元は大きく上に上がって。


「面白い。建前としては孤児の保護で国としての信用が上がる。そして、贄の安定的な供給も叶うわけか。」


「はい。贄は必ず用意しなくてはなりませんから。」


「まさか、お前からそんな提案が出るとは驚いた。だが、これは孤児たちを救いたいという姫を裏切ることにならないか?」


姫のことを玩具としか思っていないのに、さも思いやった台詞を吐く。思ってもいない正論をぶつける。

本当に、嫌な奴だ。


「まさか、全ては姫のためです。多少犠牲が出ようとも、恨まれようとも、最善策なら提案するまでです。」


かわいい姫、愛しい姫、誰からも愛されない姫。

たった一人、私だけが愛する姫。

必ず守る。


「ははは、本当に恐ろしい奴だ。提案は呑もう。面白い。事の進みは追って伝える。姫にはお前が好きに伝えろ。」


「は。ありがとうございます。」


姫は私が守る。


そのためなら


鬼でも悪魔にでもなってやる。

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