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部屋に二人を残してきた。
まあ、あの二人なら大丈夫だろう。
一応、見えない見張りも至る所にいるしな。
兄王に姫から嘆願があると伝えると、初めての事だったので、面白いと思ったのだろう。
すぐに部屋に案内された。
豪奢な扉の先には豪奢な部屋がある。姫とは大違いだ。舶来製の螺鈿細工が置かれ、ビロウドとかいう朱の垂れ幕が下がっている。
赤い階段を3段ほど登った先に立派な皮作りの腰掛けがあり、兄はそこに座っている。
左右には、派手な着物を着せた女を纏わり付かせて。
「あいつも口を聞けたんだな。面白い。して、内容は?」
にやりと口と目が三日月になる。
この男は、本当に姫の事を何とも思っていないのだな。嫌な奴。
「此度捕らえた男が育てていた子たちの暮らしを確保して欲しいと仰ってます。」
自分にどんな面白い意見を言ってくるか期待していたのだろう。
面喰らった顔をして、吐き捨てた。
「何だ。そんなつまらぬ事。」
「王子様は、男が然るべき施設に孤児を入れなかった事も罪にしていると聞きました。ならば、指摘した国側は彼らを然るべき施設に入れなければ道理が通らないのではと。
姫は仰ってます。」
「ほう。あいつも、一人前な口上を述べるのだな」
闇雲な同情論ではなく、筋を立てた話だったので、兄王は少し興味を持ったようだ。
「だがな、それは建前の理想論だ。実際に国が彼らを助ける必要はない。
話しはそれだけか。」
そうなのだ。理論上は、こちらが罪を言うなら正義を貫かなければならない。孤児を保護するのが道理だ。
しかし、それはあくまで道理で、理由がない。国が動く旨みが何もないのだ。こちらがそこまでする必要は、道理を通すかどうかだけ。
そのような、倫理論、覆す手立てはいくらでもある。
姫はお優しい方だ。こんな大人の汚れた考えを持っていないのだろう。だが、それでは何も救えない。
私は、正直、孤児など、どうでもよい。捕らわれた男も生きようが死のうが、構わない。
ただ、姫だけは。姫が幸せかどうか。
私には、姫が全てなのだ。姫さえよければ良い。
だから ー。
「いいえ。ここからは私の提案です。差し出がましい事、ご了承ください。」
「よい。言え」
「孤児たちを集め、生贄を供給する施設をつくるのです。」




