22.1
子どもたちを救いたい。けれど、どうしたものか。
「そなたの他に、子どもたちが頼れそうな者はいないのか。」
そんなものいたら、こんなにも彼が狼狽しないのは分かっている。ただ、知恵が欲しくて聞いた。
「…いません。頼れる大人とすれば、守谷警官でしょうが、今回、彼は脅された身です。下手に動けません。
また、一介の警察官で、あの人数の面倒は見れないと思います。」
私の発言から、王に掛け合っても、結果が望み薄なことを気取ったようだ。また、口にすることで警察官が脅された事を思い出したのだろう、表情がみるみる暗くなる。
朝顔が夕刻とともに萎んでいくように。
顔から光が消えていった。
どうしよう。そんな顔をさせたい訳じゃないのに。
単純にいけば、児童養護施設に入れることが最善策だろう。しかし、今まで入れていないということは、何か理由があるのではないか。
「今まで、子どもたちを施設に入れなかったのは、理由あってのことか?」
「施設は、人がいっぱいで、入ろうにも簡単には入れません。また、施設によっては、ろくな扱いをされないところもあると聞きました。
安心できそうな施設に入れるツテがない以上、自分たちで暮らした方が得策だと思ったのです。」
やはり、入れば良い。そんな単純な話ではない。入れても、彼が安心できるところでなければ。
それだけの力がないと。
力 ー。
そうだ、権力。
「ならば、兄の後ろ盾で、施設に入れよう。国の力を以てすれば下手なところに入れまいし、悪い扱いもできないはずだ。
聞くに、お前は孤児を然るべき施設に入れずに手下にしていた。そう罪をつけられたのだろう?
ならば、お前を罰するこちらは、子どもたちを然るべき施設に入れなければ、道理が通らないはずだ。
そう、兄に伝えてはどうだろうか。」
これは、彼に聞くとともに同時におふさに投げた台詞である。部屋を出れない私が意見を言うには、代わりにおふさに言ってもらわないとならないからだ。
彼は不安な顔をした。しかし、これ以外に方法がない。目を閉じて、次の瞬間には、私に無実を主張した時のような強い顔になった。
「よろしくお願いします。」
彼は、私に賭けた。
そして、私はー。
おふさに賭けなければならない。
おふさを見ると、少し瞳の奥に不安な色が見えた。
が。
すっと、意を決めた瞳となり
「承知しました。」
と、頭を下げた。




