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暁に棲む  作者: 水街 つみき
32/45

22.1

子どもたちを救いたい。けれど、どうしたものか。


「そなたの他に、子どもたちが頼れそうな者はいないのか。」

そんなものいたら、こんなにも彼が狼狽しないのは分かっている。ただ、知恵が欲しくて聞いた。


「…いません。頼れる大人とすれば、守谷警官でしょうが、今回、彼は脅された身です。下手に動けません。

また、一介の警察官で、あの人数の面倒は見れないと思います。」


私の発言から、王に掛け合っても、結果が望み薄なことを気取ったようだ。また、口にすることで警察官が脅された事を思い出したのだろう、表情がみるみる暗くなる。

朝顔が夕刻とともに萎んでいくように。

顔から光が消えていった。


どうしよう。そんな顔をさせたい訳じゃないのに。


単純にいけば、児童養護施設に入れることが最善策だろう。しかし、今まで入れていないということは、何か理由があるのではないか。

「今まで、子どもたちを施設に入れなかったのは、理由あってのことか?」


「施設は、人がいっぱいで、入ろうにも簡単には入れません。また、施設によっては、ろくな扱いをされないところもあると聞きました。

安心できそうな施設に入れるツテがない以上、自分たちで暮らした方が得策だと思ったのです。」


やはり、入れば良い。そんな単純な話ではない。入れても、彼が安心できるところでなければ。

それだけの力がないと。

力 ー。

そうだ、権力。


「ならば、兄の後ろ盾で、施設に入れよう。国の力を以てすれば下手なところに入れまいし、悪い扱いもできないはずだ。

聞くに、お前は孤児を然るべき施設に入れずに手下にしていた。そう罪をつけられたのだろう?

ならば、お前を罰するこちらは、子どもたちを然るべき施設に入れなければ、道理が通らないはずだ。

そう、兄に伝えてはどうだろうか。」


これは、彼に聞くとともに同時におふさに投げた台詞である。部屋を出れない私が意見を言うには、代わりにおふさに言ってもらわないとならないからだ。


彼は不安な顔をした。しかし、これ以外に方法がない。目を閉じて、次の瞬間には、私に無実を主張した時のような強い顔になった。

「よろしくお願いします。」

彼は、私に賭けた。


そして、私はー。

おふさに賭けなければならない。


おふさを見ると、少し瞳の奥に不安な色が見えた。

が。

すっと、意を決めた瞳となり

「承知しました。」

と、頭を下げた。

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