20.2
「私は、町の裏の片隅に布を張り家のようにして、孤児達と暮らしてました。私も、親が分からない孤児でした。
5歳以上は食べ物を調達するんです。店のいらない食材だったり、手伝いのお礼だったり、もちろん正攻法でです。
決まりとしては5歳以上としてますが、そんな幼子が調達できる可能性は限りなく低いです。
なので、年長者が多く取ってみんなで分けて食べてました。ひもじいことは、ありましたが、それでも楽しい場所だったのです。」
苦労して生きてきたことが伺える話だった。
姫としては、軽く住んでいるところの話をしたかった程度なのだろう。
しかし、返ってきたのは思いもよらない重たい言葉であった。
それもそうだろう。なにせ、罪人として連れて来ることが出来るような者だ。不自由のない暮らしの者が冤罪になど巻き込まれない。
姫は、輝かせていた瞳が、驚き、惑い、陰る。一連の表情を見せた。このまま、返答が出来るのかと、不安に思った頃、
「その、楽しい場所を奪ったのは、私の王なのですね。」
つと、顔を上げ、はっきりと言葉を発した。それは、室内の空気を刺すような、凛とした声だった。
惑いの消えた、しかし苦痛に歪むような、辛そうな顔をしていた。
男は、一瞬の迷いを見せたものの、信念を貫きたいと思ったのだろう。やはり、きりりと顔を上げて言った。
「はい。可愛がっていた子たちがどうなっているのか、ちゃんと食べているのか、今は気がかりでなりません。」
男もまた、子どもたちに触れた途端、心底不安そうな、また憤っているような、苦痛な顔を見せた。




