20.1
「そなたは、どのように暮らしていたのだ?」
姫が、彼に興味を示したようで、質問する。
口調は相変わらず、無理に偉そうに見せている滑稽なものだが、表情で作っていた威厳さは微塵も見られないので、口調が崩れるのも時間の問題だろう。
きらきらと、まん丸な目を輝かせ、身を乗り出して質問する。それは、楽しいことに期待を膨らませる子どもの様で、姫が楽しそうなら、よかったと思うのだった。
男の方は、幼子達を育てていたと聞く。ならば、姫の背伸びした様もすぐ気づいているだろう。
分かった上で、傷つけないように合わせているのだ。
子どもの扱いに長けているものほど、子どもを子ども扱いしない。
きちんと、一人の人として、分かりやすく言えば一人前の大人として扱う。
確かに、そうすべきだと思う。
当の子どもにも、自分の考えがあり、尊厳がある。
子どもだからと、馬鹿にしたり何も分かっていないと思うのは大間違いだ。
近くで姫を見てきたので尚更、実感する。
彼女は、見た目が年齢よりも幼く見えることもあり、子ども扱いされやすい。確かに、狭い部屋にずっとおり、世間知らずではあるし、自分でできることは少ない。
だが、それは環境がさせたことで、彼女本来の姿ではない。誰しも、経験していないことが出来るわけないのだ。教わっていないことが分かるわけないのだ。
彼女は非常に聡い。外の子らのように、何も気にせず走り回れなかったためか、じっとする時間が多く、深く考える子になった。
その思慮深さは大人以上であり、尊敬に値する。
そんな細かいところまで、すぐに理解しろとは言わないが、姫のことを分かってやれる者であって欲しいと期待が高まるばかりだ。




