表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暁に棲む  作者: 水街 つみき
23/45

17.3

罪を言えと言ったら、男は惑っている。


この人は無罪に近いのだろうと思う。与えられた罪はあるものの、身に覚えがないため、どう話すべきか考えあぐねているのだ。


少し、視線が宙を泳いだあと、意を決したのか視線が定まり、こちらをら向いた。


「私は、孤児を然るべき施設にも入れずに、集めて物盗りをさせていたということで連れて来られました。しかし、私には身に覚えのないことです。」


言い淀む輩はたくさんいたが、はっきりと否定する者は初めてだった。

いくら、無実でも、王の命令で連れて来られている。何らかの策略が働いていることは、はっきりしている。ならば、真実を言うことが必ず正解ではない。


ましてや、孤立無援の王宮で、王の意見に反する者など ー たとえ、王が間違っていても ー

いなかった。いるはずがなかった。


彼はよほど肝が座っているのか、それとも思慮が足りない阿呆なのか。

見極めてみたくなった。


「ほう。では、私に王への弁明を求めてでもいるのか?」

無実を訴えるには、有罪を取り消して欲しいと王に伝えなくてはならず、姫に訴えるのが早いと思われた。

だから、彼もそう言っているのかと思った。


「違います。」


きっぱりと彼が言った。初夏に駆ける涼風のような爽やかな声だった。


「王に訴えようなど思ってません。しかしながら、私は謂れのない罪を抱えているのも事実です。

だから、私はただ、罪のないことを知って欲しいと月姫様に申し上げました。

囚われた時から、危うい身です。今さら、恐れなどしません。

それならいっそ、堂々としていたいと思うのです。」


そう、宣言した彼は清々しい顔をしていた。


なかなか、変わった面白いことを言う男だと感心した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ