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暁に棲む  作者: 水街 つみき
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新しい贄が来ると言う。


歳も近いので、楽しめるのではないかと。


おふさに深い意味はないのだろうが、感傷的になっていたためか、皮肉に聞こえてしまった。


楽しければ、楽しいほど、辛いではないか。


憤りを感じたのか、おふさは取り成して、


「複雑なお気持ちはお察ししますが、同じ時を過ごすなら、少しでも姫様が楽しんでいて欲しいと思うのです。」

と、眉を下げて笑った。


言い分はもっともだ。憮然としていても時は同じく過ぎてしまう。ならば、結果が辛くともそれまでは楽しむべきなのか。

そうは言っても、すぐに切り替えられない。死んだばかりのあの子がちらつく。


まあ、皮肉にも、こういった人間的感情がある内は、私もまだ人間でいられているのではないか、とも感じた。


おふさの言い分も分かるので、あと25日ほどもある時間を有意義に過ごしてみようかと思い直した。




そう思っていた。



だのに、予想していなかった。


男が来るなんて。


てっきり、歳の近い女が来ると思っていたので、覚えたての花冠や、着物の着せ替え、貝合わせなどをしてみようと、空想に耽っていた。


男が来た場合なぞ、考えていない。


何をすればいいのだ。有意義に楽しむとは。


今までに男が長い時いたことはなかった。

ならば、この者は今までにはなく、害の無い者なのだろう。


そうは言っても、想定外の事に混乱し顔を合わせることも出来ない。人は自信が無い時に下を向くという。私も、俯いて板間の中程を見つめた。


そうこうしているうちに、男が自己紹介をした。


無視する訳にもいかない。

覚悟を決めて男を見た。


「我が名は、国王が娘。月姫である。入れ。」


ああ、こんなに威張った言い方をしなくても良いのに。緊張して強く言ってしまった。

これでは、和やかな会話など、どうやって持っていけばいいのだろう。

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