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ふさに連れられ、廊下を歩く。
視線が注がれるが、それは罪人の俺ではなく、ふさに向けられている。
姫の専属というだけあり、家来の中では相当に位が高いのだろう。また、力も持っている。
だからなのか、純粋に羨望の眼差しを向ける者もいれば、媚びへつらう視線、攻撃的な視線、さまざまな視線がある。
ふさは、歳よりもずっとしっかりしている。それだけの責務をこなしてきたのだろう。
先程、姫に会う前の心構えを聞かされた。
その言葉の端々に、姫を思いやる気持ちが見受けられた。
姫に会う前にしっかりと時間を取って俺を審査したくらいだ。
誰かが誰かを思いやり、守ることはなんと美しいものだろう。俺には親が無かったからその点は少し欠けているのかも知れない。
その分、孤児達には親のように大切に愛情を伝えてきたつもりだ。
あの子らは、今どうしているだろう。特に、銀は大丈夫だろうか。自分のせいで、自分の、いや、みんなの親代わりを失ったのだ。
けれど、銀を責められるような話ではない。幼児に、嘘を見破らさせるは困難だ。
せめて、金持ちの女は本当で、銀を育てる手筈が進んでいて欲しい。
欠けているものを埋めるように、孤児達を集めて家族を作った。
そして、そのせいでまた、欠ける辛さを作ってしまった。
俺が欠けていながらも、ひねくれなかったのは、守谷が父のように気にかけてくれたからだ。
ああ、守谷はどうしているだろう。彼の大切な子どもには被害が及んでいないでいて欲しい。
いま、どうすることもできない自分には、ただただ、大切な人が無事であるように祈ることしかできない。




