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湯浴みをし、絣模様が映える着物に手を伸ばす。糊が効いた着物なんて着たことが無いので、その感触に戸惑う。
布なのに、結構固くなるのか。表面は、光を少し反射する。伸ばされ、固い直線に着物は縁取られている。
こうやって、新しい物というのは輝いて見えるのか。
新参者の俺は、皆の目にはどう、映るのだろう。
この着物のように真っ新な好印象は、受けないだろうが。
平たく板のようになった、着物の袖を開いていく。パリパリと音を立てて口を開ける。
木の皮が綺麗に剥けるような、面白い感触だなと思う。
鮮やかな紺色の絣模様が、自分をいつもより立派に見せてくれる気がした。必然と背筋が伸び、堂々と歩ける。
不思議なことだ。罪人として連れてこられたのに、町の中よりもずっと身が軽い。
下人の男が、先だって俺を連れて行った部屋は本邸の廊下をしばらく進み、右手にある、6畳ほどの小さな部屋である。
昼だが、光が入りにくいのか薄暗い印象だ。その奥に20歳くらいの女が座って待っていた。
切れ長のつり目が、鋭く俺を見る。
くいと顎を上げると、男が深く一礼をし、障子を閉め、部屋を去った。
思ったよりも、この女は身分が高いらしい。その威圧感に生唾を飲む。
女が、男が去った廊下をじっと見ている。気配が無くなったことを確認したのか、女は目だけこちらに向き直った。
そして、静かに
「お前が、士郎か。私は月姫の付き人頭、ふさである。」




