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ここは、箱庭である。
一国の王は、我が国を思いのまま創らなければいけない。その為には、練習が必要である。
まだ、父王が健在なので、兄は王子という立場である。父がさせたのか、兄が望んだのかは分からないが、私が箱庭で生かされてることは事実である。
私を閉じ込めている、この部屋へ、あらゆる生贄を捧げて反応を見る。私は兄の人形なのだ。
今まで、実に様々な者が部屋を訪れた。
生きて出た者がいない以上、罪人が主ではあったが。
死刑も兼ねているのだ。
一応、姫の御前という事で、罪人が外で捕まえられたまま来ることはなかった。
それなりに身綺麗にしてはいた。
最も、外に出た事がない自分には町人がどのような格好をしているかは分からない。
だが、一様に真新しい着物を着ており、体も綺麗なところを見ると、ある程度の敬意が払われているのだと伺える。
何度か、私を殺そうとしたり、乱暴しようとした者がいた。未遂のうちに、その者はすぐさま取り押さえられ、二度と戻って来なかった。
天井などから、常に見張っており、私の身の危険があればすぐに駆けつける仕組みにはなっているようだ。
例え、兄の玩具であっても、一国の姫であるので身は守ってくれるようだ。
もっとも、大切に思っているなら不快な思いをさせることは無いのだろうが。
また、物理的な攻撃であればすぐに止められるが、そうでは無い場合はあまり止められない。
言葉の暴力である。主観的な判断になるので難しいのだろう。いや、箱庭をより面白くするために、その程度は黙認なのかもしれない。
死期を悟った人間がいかに自暴自棄になるか、攻撃的になるか、この目で何度も見てきた。
悪い人たちばかりではなかった。何度も話すうちに、心通わせた者もいた。
彼らが次第に壊れていく様は辛かった。
怒りの矛先は、目前に向かい ー
「お前のせいだ。化物!」
何度も罵られることとなる。
何も知らない他人や、こちらも嫌いだと思っている悪人から言われるのはさほど辛くない。
親しくなった者たちから浴びせられると、裏切られた気になった。
何度も、何度も傷付けられるうちに、心が荒んでいく。感情が乏しくなっていく。
なのに、期待せずにはいられない。
次こそは、何かが違って、殺さずに済むのではないかと。
私の世界を救ってくれるのではないかと。
そんな、祈りに近い期待を抱いているのだ。




