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不条理の修復者  作者: 麿枝 信助
第二章 舞い咲く恋慕は蝶の如く
63/67

23 新入生合宿2日目 Ⅰ 『変転』

 

 

 新入生合宿二日目。

 

 唯一の心配事であったお天道様の具合も絶好調、見渡す限りの青空である。

 

 それ即ちハイキング日和。燎平たち新入生は、山登りを予定通り実施する事ができていた。

 

 「いやぁ、にしても驚いたよなぁ……」

 

 「ん?何が?」

 

 先頭集団のさらにトップ付近を歩く来飛と燎平。

 

 中学の時から活発であった来飛に、サッカー部のトレーニングやら走り込みやら(無理やり)付き合わされていた燎平も、そこそこのフィジカルを持つようになっていた。

 

 そんな彼らが山道を登りながら、後に続く生徒に聞こえないようひそひそと声を小さくして話す。

 

 「何ってオメェ…コレだよ、コレ」

 

 来飛は左腕につけている腕時計を指さす。それを見た燎平はああ、と頷いた。

 

 「確かにビビったわ…昨日はさ」

 

 「いや、おかげで寝不足にならねぇのはいい事だけどよ」

 

 今朝、燎平たちが起床したのは朝六時半。そこから支度をして朝食を取り、朝の九時半にはハイキングへ出発できるようスケジュールされている。

 

 だが、燎平たちは本来夜十時半には寝床についている筈が、昨日の夜の訓練でそれを大幅に超えていた。

 

 ……と、思っていた。

 

 「…何の話ですか?」

 

 「おう、暁も来たか」

 

 少し後ろにいた筈の暁が先頭の来飛達に追いついてくる。

 

 「昨日のさ、もっと寝不足になってたよなって話」

 

 「ああ、例の時間の件ですね」

 

 「そうそう」

 

 あの訓練の後、燎平達は時計を見て驚愕した。

 

 体感は二、三時間ほどやっていたと思ったら実際に経っていたのは四十五分ほどだったのだ。

 

 おかしいなと疑問に思っていると、幸の口から衝撃の事実が飛び出してきた。

 

 『あ、言い忘れていたが『裏側ミラ』と『元の世界(オリジン)』の時間差は三倍だからそこだけ注意な〜。ちなみに『元の世界(オリジン)』での一時間が『裏側ミラ』の三時間ね』

 

 もちろん、一年全員目と口がしばらく開きっぱなしだった。

 

 精神と時の部屋ではないが、時間を引き延ばせるボーナスステージが身近にあるともなれば多少テンションは上がるというもの。

 

 『裏側ミラ』に残れるのはあくまで精神体のみのため、効果が有る事無い事は別れてくるが時間の問題はかなり大きかった。

 

 だから校長はそこまで時間は取らせないと言っていたのか、と納得する。

 

 これなら放課後ちょっと残って〜と言って一時間特訓をすると言っても、現実世界…『元の世界(オリジン)』ではたったの二十分しか経ってない事になるので色々と融通は効きやすいだろう。

 

 そのため、実際一時間ほどで特訓を終えた燎平達は十二時頃には寝床につけ、しっかりと六時間以上の睡眠を取る事ができたのだった。

 

 特訓が十一時開始と聞いた時、明日の山登りは大変になるだろうなと踏んでいた燎平たちであったが、その心配は杞憂に終わってくれたと言う訳である。

 

 「しっかり朝飯も食ったし、もう絶好調だな!ハハハ!!」

 

 コンディションが整った彼にとって山を登るなど造作もない事。

 

 元から体力バカである来飛はズンズンと進んでいくのであるが、後に続く燎平はたまったものではなかった。

 

 「ゼェ…ゼェ……」

 

 山を登るのも、存外に大変である事を今更実感する。


 体力はあると言っても燎平のは彼ほどではないし、普段慣れないことをするのは余計に疲れる。

 

 加えて、枕が違うと彼は寝付けなくなるタイプなため、あまり質のいい睡眠は取れておらず昨日の疲れが完全に拭い取れていなかった。

 

 (まぁ、寝付けなかった一番の理由はコイツのいびきがうるさかった事だけどな…)

 

 二段ベッドであるため、川の字で隣で寝ている訳ではないにせよまぁそれなりにうるさくはあった。燎平がただ神経質なだけかもしれないが。

 

 「なぁ来飛、こんなにペース上げなくても…」

 

 「馬鹿野郎、もう俺は『修復者リセッター』なんだぞ。昨日もすぐへばちまったし…もっと体力をつけねぇとダメなんだよ」

 

 こういうところが変に真面目というか、律儀というか。

 

 来飛の義理堅い性格は今に始まった事ではない。何かと適当そうに見えて借りた金はきちんと翌日には返すし、彼が約束を破った等という話は今まで耳にしたことがなかった。

 

 そして燎平たちの話を聞いていたのか、先頭でガイドさんと一緒に歩いていた愛海がこっちの歩幅に合わせてくる。

 

 「あ、来飛君。一応そういうのは……ね?」

 

 そう彼の側で囁き、しーっと人差し指を口元に近づけ肩をすくめた。

 

 「っとやべ、そうだったわ。ワリ、気をつけるわセンセ」

 

 「たまたま私たちと他の生徒が少し距離離れてるからいいけど、今後はないようにお願いね」

 

 燎平達のような『裏側ミラ』で活動する者は、『修復者リセッター』や『異跡エイナス』など、そういった専門用語を表で口にするのは止められている。

 

 それこそ『裏側ミラ』内だったり特定の条件が揃った場所であれば問題ないとの事であった。

 

 (それにしても...)

 

 先頭に愛海がいるのも『修復者リセッター』でつけた体力があってこそなのだろうか。

 

 入学式の時も薫先輩は結構な距離を何なく走り回ってたなぁと、燎平がそう思い出していると、ガイドの人の声が耳に届く。

 

 「あ、こっちです先生方。この辺りは少々道がデコボコしてるんで、気をつけてください」

 

 「これは、ご丁寧にどうも」

 

 彼の後に続き、愛海と側にいる祓間が生徒を引導する。

 

 「あ〜……またかいこりゃ…」

 

 しばらく進んでいると、そのガイドさんが途中で足を止め困ったように頭を掻いていた。

 

 「どうされましたか?」

 

 「いや何、最近山道の様子がおかしくてですねぇ、ついこの間までこんな形の木はなかったはずなんだが…」

 

 視線を向けると、たくさんの木の枝が行手を阻むようにして道を塞いでいた。

 

 「最近土砂降りのせいで地盤が緩くなって地形が変わったりでもしたのかねぇ。元々土に埋まってた木が出てきたのかもしんねぇな…ったく、他の所にも似たようなのあったし通りづれぇったらねぇぜこりゃあ」

 

 そうブツブツとガイドさんは愚痴をこぼしながら枝の少ないところを見つけて潜り進んでいく。

 

 「今日は晴れてて良かったんですが、最近雨が多いの何のって。しかもかなりひどい奴で、迂闊に外出歩きゃしねぇレベルのもんなんですわ」

 

 「そうなんですか」

 

 確かに地面が少ししっとりしているような気がすると祓間は思う。それに、小さな水溜りが途中目についたことも記憶にある。

 

 「あァ!?んだこりゃ、かってぇな!?」

 

 ガイドさんが道に広がっている枝の根元の部分を鉈で切ろうとしているが、どうにも予想以上に硬度があるらしい。

 

 「まいったな…これ切れないようじゃ後の生徒さんや先生方が道わかんなくなっちまうんじゃねぇのかい」

 

 「...それでしたら、私がここに残って後の生徒たちに伝えましょうか」

 

 祓間が額の汗を拭う彼に近づき、提案をする。

 

 「え、そんな…祓間先生、いいんですか?」

 

 「問題ありません、ここに残るのは私が適任でしょう。百合菊先生は他の先生方と先に行って生徒達の引率を引き続きお願いします」

 

 ...わかりました、と少しの間考えて愛海はそう答えた。

 

 「祓間先生…何かあればすぐに連絡をお願いしますね」

 

 「はい。そこは抜かりなく」

 

 やけに真面目な先生方だなぁ、とそのやりとりを側から見ていたガイドは思う。

 

 生徒たちがやんちゃしないのは、牽制力がある真面目な先生がいてこそである。生徒たちも勝手に変な寄り道などせずに、きちんと道なりに山道を歩いている事こそ進学校たらしめている証だろう。

 

 また知らぬ間に他者から信頼を得ている愛海であったが、その彼女の内心は穏やかではなかった。

 

 (昨日私もさーちゃんも確認したし、現存してる『異怪エモンス』は倒したけど……)

 

 胸のざわめきが治らない。

 

 先日の事件からか、『何か起きないか』という事に対していつもより過敏になっているのかもしれない。

 

 『修復者リセッター』の生徒達にも日中くらいは何も気にせず楽しんで貰いたいところではあるが、ここに『異元展開エナークス』も出来ない『新芽スプライト』同様の祓間を一人置いておくのは気が引ける。

 

 愛海は少し顔を伏せた後、こめかみに手を当てた。

 

 『…薫、聞こえる?』

 

 『お、アミュっち。はいよー、何?』

 

 『今どこにいる?』

 

 『真ん中らへん。一応、美紋ちゃん達とはあんまり距離あけないでいるよー』

 

 『……ありがとう。あ…それでなんだけど、今祓間先生が途中で道案内してるから、悪いんだけどそこで合流して終わりまで一緒にいてくれないかな?』

 

 『んー?オッケー!美紋ちゃんはどうする?』

 

 『真ん中らへん…ってことは、具合悪い生徒がどこにいても駆けつけられるようにサーちゃんが近くにいる筈。彼女に任せるように伝えて』

 

 『わかったー!伝えとくね!』

 

 『…ごめんね、薫。ありがとう』

 

 『うい!』

 

 『異元エナーク』を用いた念話。

 

 『波』の『異跡エイナス』を持つ薫となら、少しの距離であれば互いの『異元エナーク』を飛ばしてこのように会話が可能なのだ。

 

 『あ、待って』

 

 『ん?』

 

 切ろうとすると、薫の声で引き止められた。

 

 『アミュっちさぁ…もう少し肩の力抜いた方がいいよー。昨日も『異怪エモンス』いないか散々確認したっしょ?そもそもこんな田舎に『異怪エモンス』とかそんな何回も出ないって!』

 

 『そうだと…いいんだけど……』

 

 『それに、ちゃんと“お守り“も持たせてあるんでしょ?大丈夫大丈夫!』

 

 『……そうね』

 

 愛海は今も、本来自分のすべき事である筈の仕事を生徒に押し付けてしまっている…という罪悪感と己の無力さに打ちひしがれていた。

 

 薫は、そんな愛海に気を遣ってくれているのだろう。

 

 そうだ。一番上がそんな態度じゃ安心できるものも出来なくなってしまう。

 

 『…ふふ、ありがとね薫。今度何かいいものご馳走してあげる』

 

 『え、マジ!?やったー!!ちょっち前気になってたカフェあったんだけど行きたかったんだー!約束ねっ!!』

 

 『はいはい、食べすぎてまた太ったー、とかならないようにね』

 

 薫の明るい声を聞きながら、念話を切る。

 

 (…そう。今、この新入生合宿で『異怪エモンス』関連では私が責任者)

 

 愛海は、拳を握りしめ前を見据えた。

 

 (ちゃんと守り切るんだ…今度こそ、全員)

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 「はぁ……ひぃ、ひぃい…」

 

 先頭集団とは逆の、どちらかと言えば後ろよりの位置。

 

 そこでのろのろと亀の如くゆっくりと歩を進めているのは、陽乃と彼女に足並みを合わせている美紋であった。

 

 「陽乃ちゃん、ほら頑張って!このままだと最後尾になっちゃうよ!」

 

 「分かってるけどぉ…うぅ……あ、足がもうパンパンでぇ……!」

 

 美紋が陽乃を引っ張ってきているおかげか、まだ位置的には今の所全体の中間よりの場所にいた。

 

 美紋がおらず、自分のペースで登っていれば間違いなく陽乃は山頂の到着順で最後の数人になっていただろう。

 

 (な、何でこんな山登りなんかしなきゃ何ないんですかぁ…はぁ、こういうのは、好きな人だけすればいいんじゃないんですかぁ……!)

 

 いくら体を動かすのがいいと謳っても、それが苦手な人だっている。

 

 陽乃のような典型的なインドア人間にはこれほどの苦行はない。全く興味ないジャンルの本を二時間読み続けてくださいね、とアウトドア派の人間に強制すれば今の陽乃の気持ちは少しは伝わるだろう。

 

 いくら本を読むのがいいと謳っても、それが苦手な人だっているのだ。

 

 「はぁ、私みたいな人のためにこう……ロープウェイみたいなの…ふぅ、無いですよね……はい、知ってますともぉ……」

 

 「陽乃ちゃん、こういうのは長引けば長引くほど辛くなっちゃうから、さっさと登って早く休んだほうがいいと思うよ」

 

 「はいぃ…分かってますぅ……」

 

 そう口に出してるとはいえ、やっぱりきついものはきつい。

 

 美紋がいてくれたからこそ、陽乃一人では絶対に無理なこのペース配分で登る事ができた。

 

 それになんだかんだがんばれ〜、と近くで応援してくれた幸もいてくれたのもあったかもしれない。

 

 その彼女は具合が悪くなった生徒がいつ出てもいいように全体の真ん中あたりにいるため、少し前に先に行き姿は見えなくなったが。

 

 「…そう言えば、かおるん今頃どうしてるかなぁ」

 

 「…さぁね」

 

 「ふ、祓間先生と二人で道案内してたよねー、もう終わってついてきてるのかなぁ〜」

 

 「………じゃない?」

 

 「……あ、はは〜…」

 

 一日が経過した今でもまだ、二人の仲は犬と猿の間柄らしい。というか、昨日より寧ろ酷くなっているのでは?と陽乃は思う。

 

 変化に気づいたのは朝食時。朝起きた時から、美紋は会話をするどころか一度も薫を見ていなかった。

 

 薫が起き抜けにおはよう!と挨拶をした時も、美紋の方は目を逸らして軽い会釈だけしていた。そんなあからさまな態度を見てしまっては、陽乃もかける言葉を少し選ばなければならない。

 

 「み、美紋ちゃん。かおるんもそんな悪気があってやってるわけじゃないと思うよ…!」

 

 「………どうだかね。逆に悪気が無くてもタチ悪いけど、それ」

 

 薫の話題を出した瞬間に顔が変わる美紋。

 

 美紋自身も気を使うということに関して言えば、例え嫌いでも周りの空気を悪くしない為に明るく振る舞えばいいという考えも併せ持ってはいる。

 

 しかし、美紋はそこまで器用でもなければ相手にする気遣いも持ち合わせていなかった。

 

 いい意味でも悪い意味でもある程度表に出してしまう為、美紋の事をよく思わない連中が存在するのも事実。それはそれで仕様がないと割り切ってはいたのでそこまで今まで特に気にしなかったのではあるが。

 

 「……はぁ…」

 

 よりにもよって同じ班。しかも同じ事情を抱える者同士。どんなに絡みたくなくてもある程度は接触しなければならない。

 

 これで何度目かも知れないため息を吐きながら、美紋は憂鬱な気持ちに浸っていた。ここでいくら愚痴ってももう起きてしまっている事は変えられない為、仕方なく気持ちを切り替えていくしかない。

 

 このまま燻っていても陽乃に迷惑がかかるだけである。何かこう、いい感じの話題はないかと歩きながら考えていると、ふと前にある影に目が留まった。

 

 「ん…?あれは……」

 

 隣で悲鳴をあげる身体に鞭を打ちながら、肩で息をしている陽乃の肩を叩く。

 

 「ねぇ、陽乃ちゃん。あれって…」

 

 「はぁ、ひぃ……ふぇ?」

 

 下を向きながら歩いていた陽乃も、顔を上げた。

 

 

 「はぁ…はぁ……ふぅ………」

 

 

 あの目立つ金髪は、見間違えようがない。

 

 

 荒い呼吸をして足を動かしている、保井輝樹が前の山道を登っていた。

 

 

 「あ…!」

 

 

 どくん、と胸が跳ねる。

 

 

 彼の姿を見ただけで、身体中の血液が一気に入れ替わったような気がした。

 

 「やっぱりうちのクラスの保井君だ。金髪だから分かりやすいよね。ウチのクラスにも何人か髪染めてる人いたけど、金は他のクラスにいたっけなぁ…」

 

 「………」

 

 「ウメコちゃんのは地毛らしいからカウント無しで…いや、アレも金髪に入るのかな?……って陽乃ちゃん?聞いてる?」

 

 「えっ!?あ……え、え…っとぉ…!何だったっけ?ごめん、聞こえてなかった…」

 

 「...あ、うん。それは全然いいんだけど......」

 

 美紋は即座に気づいた。陽乃の様子がなんかちょっとおかしい事に。

 

 目線が忙しなくどこか別の場所にいくような、落ち着かない、ソワソワする感じ。

 

 そしてその視線は定期的にある一点に集中していて。

 

 (……もしかして)

 

 何かに勘づく美紋をよそに、陽乃の方は自分の挙動不審な態度に気づく余裕もなかった。

 

 彼を見つけたのはいい。それは天の思し召しという奴だろうと心の中で手を合わせる。

 

 しかし、この状況でどうやって話しかけたら自然かという選択肢が彼女の頭には浮かんでこなかった。

 

 「あ、そうだ陽乃ちゃん。そういえば私、ちょっと用を思い出したから先に行くね〜!」

 

 「え!?み…美紋ちゃんっ!?」

 

 そう言うと、美紋は何の前触れもなくペースを早めて先に行ってしまう。

 

 なんだかんだ今まで自分に付き合ってくれたのに、突然謎の用があるから、などという至極曖昧な理由で置いてけぼりになってしまう陽乃。予想だにしてない状況が二つも重なり、完全に彼女の思考回路はオーバーヒートしていた。

 

 そして輝樹の真横を過ぎて行った美紋で気づいたのか、ふと彼が後ろを振り返る。

 

 「あ…!」

 

 「あ……」

 

 そうなれば、目が互いに合うのは必然。

 

 「よ、よう…」

 

 「あ、うん…」

 

 ほぼ同じタイミングで手が上がり、軽くふる二人。

 

 陽乃が輝樹とこうして直接二人きりで話すのは、あの図書室の時以来であった。

 

 勿論その後もホームルームが終わった後などに陽乃は本を輝樹に貸してはいたが、図書室の別れ際の行動がよほど恥ずかしかったのか言葉を交わすのもせいぜい一言二言と必要最低限であり、あまり彼に近づけていなかったのだ。

 

 あれから数日、ようやくちょっぴり思い出しても身体の熱が収まってきたかなと思った矢先にこれである。

 

 同時に、輝樹の方も気が気じゃなかった。何たって振り向いたらそこには何となく気になる彼女が歩いてるではないか。彼も急すぎて只今心拍の乱れが尋常じゃなくなっておりますモードに突入していた。

 

 だが、このまま何もしないでいたら空気が気まずくなるのは目に見えている。比較的この状況を予想し予め耐性をつけられていた陽乃の方が先に動く。

 

 「ひ、久しぶり…?あ、いや、この間ぶり…だね……!」

 

 「お、おう。元気…?」

 

 「う、うん!私は大丈夫、保井君はどう?昨日寝れた?」

 

 「あ、うん…まぁ……」

 

 少しの静寂が続く。経験の無さから故に話題のデッキがお互い少なすぎるので、こういう時何を話したらいいかわからなくなってしまうのだ。

 

 「あ、歩こっか…?」

 

 「お、そうだな……!」

 

 何か話さなきゃと思い話題とその振り方を必死に考えている輝樹と、こうなったらいいなと思っていた事が実現したので二人で山道を歩いてるこの時間にドキドキしながら浸っている陽乃。

 

 気持ちが落ち着いている方が当然言葉も出てきやすい。今回は緊張より高揚感か勝るのか、陽乃は以前よりあれこれ考えずに聞くことができた。

 

 「あ、あの…!保井君は結構こういう山登りとか好きなの…?」

 

 「え!?」

 

 さて困った。ここでの回答によっては、陽乃の輝樹の印象が陽キャか陰キャかが決まってしまうかもしれない。

 

 輝樹自身が陰の気を持つものだからこそわかる。大抵陰の者は陽の者に弱い。

 

 二人になるのがこれが初めてではないとはいえ、一緒にいるなら気が合うやつといた方がいい。何故だか、その時彼女にどう思われたほうがいいかというのを考えてしまった自分がいた。

 

 「あー……まぁ、それほど好きって訳でもないけど…嫌いでもないかなぁ…」

 

 適度にぼかす。それが輝樹の中で咄嗟に出た最善の答えだった。

 

 「そうなんだ…私、こういうの全然ダメで…だから全体でも後ろの方にいるんだけどね。保井君は、もっと先にいるものだと思ってたけど…」

 

 「あ、いや…ちょっと足の調子が悪くて?な…はは……」

 

 「え、大丈夫!?」

 

 「あ、うん……さっき治ったっぽい」

 

 カッコつけたい…というより、どんな像を描いているかは分からないが、相手が抱いている輝樹自身のイメージを崩したくない。幻滅されるのが怖い。

 

 だからこそ嘘をついて自分を偽ってしまうし、相手の様子を必要以上に伺ってしまうのだ。

 

 (んー、別に気にしなくていいんじゃね?一回さらけ出すとよ、気分楽になるぜ?)

 

 昨日の燎平の言葉が脳裏に響く。

 

 イメージを保ちたい反面、今のように相手に心配までさせてしまうのはやりすぎたと反省する。

 

 かと言って、いきなり素を出せという訳にもいかない。

 

 どうすればいいか等考えながら進んでいると、陽乃の歩くペースが目に見えて下がってきた。

 

 「…あ……大丈夫か?雲陰…」

 

 「え、あ〜、えっと……」

 

 陽乃自身自分に体力がないのは重々承知してたが、美紋のペースが思っていたより早くかなり体力を消耗していた。そのせいか、流石にそろそろキツいのが隠せなくなってきているようだった。

 

 「し、正直これ…早く終わって欲しいなって思ってます……」

 

 「ん…そっか。じゃあ、ここら辺で一回休憩にしようか?」

 

 「そ、そうですね…ありがたいです……ふぅ…」

 

 とりあえず山道の脇にある近くの丸太に腰を下ろす二人。

 

 これでようやく少し落ち着ける…と思っていた陽乃であったが、隣に座る輝樹にそんな思考は一瞬で彼方に消し飛んだ。

 

 (え、え…っ!?今、私保井君の隣に座ってる…っ!!)

 

 そう。隣を見ると彼が座って水を飲んでいるではないか。

 

 (きっと保井君の方は疲れてないだろうに……も、もしかして私に気を遣って先に行かずに一緒にいてくれてるのかな…?)

 

 百パーセントそうである訳ではないが、ふとそんな考えが頭に浮かんでしまう陽乃。

 

 「……っ」

 

 思わず、唾を飲み込む。

 

 彼の思考は取り敢えず置いておいて、今こうして隣にいてくれる。それだけで胸が高鳴って身体が爆発しそうであった。

 

 一方、輝樹の方も気が気ではなかった。

 

 (ヤベェ……ノリで休むとか言っちゃったけど、変な風に捉えられてないかなぁ…?)

 

 圧倒的に異性と会話経験が足りない彼にとっては、何を言ってもこれ大丈夫だったかな…と不安になってしまうのだ。

 

 女の子とは男にとって未知の生態。こちらの常識を無意識に押し付けてしまい相手側に失礼をかましてしまうなんてのはよくありすぎる話である。

 

 (もし変な事言っちゃって不快にさせちゃったら…あぁ〜〜そう思うと次はどうしようか迷ってしまう………全然いい言葉が思い浮かばん助けて…………)

 

 次に振る話題、切り返し方、かける言葉に失礼に当たる部分はないかなど色々なシュミレーションをうんうんと考えているだけで熱で倒れてしまいそうだ。

 

 (…てか、あれ……?ほんとに身体が熱くな…って…)

 

 「ッ…!?」

 

 湧き上がる違和感に、思わず額を手で抑える輝樹。

 

 身体の様子がおかしい。内側から熱いものが次第に大きくなってきている。風邪を引いた時のようにぼーっとして、頭痛までもが併発する。

 

 考えすぎて知恵熱でも出てしまったのだろうか、と輝樹は困惑する。いや、それにしては症状がやや重すぎる気がする。滲み出る額の汗を拭いながら、思わず彼は頭を抱えた。

 

 「…あ、あれ。保井君?どうかしました…?顔色がちょっと良くないような…」

 

 「い…いや。今ちょっと、頭痛が…」

 

 「え、大変…!!」

 

 近寄り、顔を覗き込む陽乃。

 

 よく見ると、額を強く抑えていて呼吸が少し早くなっている。熱中症にも似た症状ではあるが、四月の下旬…この気温、この時期になる病床とは考えにくい。

 

 「う…!ケホ、ゲホゲホッ!」

 

 「保井君!?だ、大丈夫ですか!?」

 

 今度は咳までし始める輝樹。陽乃も病気などに詳しくはないため、具体的に何のとまでは分からないが、とにかくもう輝樹の症状が普通ではない状態なのは確かである。

 

 熱でもあるのか、頭を抱えて俯きながら咳をするその様子は苦しそうだった。

 

 (どうしよう、どうしよう…!)

 

 取り敢えず背中をさすってはいるが、こういう時は先に先生を呼んだ方がいいのか、それとも一人にさせない方がいいのかこの状況でパニック状態の陽乃には分からなかった。

 

 他の生徒に頼めればいいのだが、さっきまでちらほらいた他の生徒も今は辺りに見当たらない。一本道だから一人くらいは通ってもいい筈なのにも関わらずである。

 

 「雲陰…ゲホッ、ごめん…!ゲホ、ケホゲホッ!!」

 

 「そ、そんな!全然私のことはいいから、今はとにかく休んで保井君!」

 

 咳も酷くなる一方、自分一人ではどうにも出来ないので他に人手が欲しい。

 

 今まで人が通らなかったのは何かタイミングが悪かったのだろう。自分たちの他にも、この近くにはまだ何人かはいた。

 

 もしかしたら生徒でもこういう時どうすればいいか知ってる人もいるかもしれないし、あともう一人でもいれば輝樹の側で看病できる人、それと先生を連れて来れる人で役割分担ができる筈だ。

 

 そう思いついた陽乃は輝樹のリュックと上着を枕にして彼を寝かせ、自分の荷物もそばに置く。

 

 「待っていて下さい、今近くにいる誰かを呼んで来ます…!」

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 新入生合宿、二日目のプログラムである山登りを初めてはや数時間。

 

 初期は先頭集団になんとか混ざれていた燎平であったが、ペースダウン+休憩の取りすぎで今ではすっかり後方に取り残されてしまっていた。

 

 「あーあ…また登んのだるくなってきた……やっぱ十五分は休みすぎだったか…」

 

 だいぶ時間が経ち、そろそろ来飛達は目的地へたどり着いている頃だろう。燎平もなるべく早く合流したかったが、終盤で気が緩んだのかまぁちょっとぐらい休んでも平気だろと眺めがいい休憩スポットで羽を休めていたら今までの疲れがどっと出てこの有様である。

 

 最初は周りの景色、雰囲気に当てられてテンションが上がっていたが、今ではすっかりそれにも慣れて足取りが重くなっている。

 

 仕方なく進むかという気持ちでのろのろと歩いていると、不意に右肩を叩かれた。

 

 「ん?な……」

 

 振り返ると、頬に尖った感触。

 

 「…何しへんだよ……美紋」

 

 「そりゃ何って…暇つぶし?」

 

 「えぇ…」

 

 ふふっ、とポニーテールを揺らしながら笑みをこぼす美紋。

 

 彼女はたまにこんな悪戯をするような、子供っぽいところがあるのだ。

 

 「まだこんな所にいたの?私に追いつかれるとか体力落ちたんじゃない?」

 

 「うっせぇわ、アイツらが早すぎるんだよ。それにお前遅くないじゃん…」

 

 「えー、割と遅い方だと思うけど…体力そんな無いし……」

 

 「知ってますよ〜去年の長距離走で陸上部に引け取らなかったの」

 

 「あれはーホラ、なんていうか…ノリ?」

 

 「ノリで陸上部員の立場脅かしにいくなや…」

 

 美紋は滅茶苦茶に負けず嫌いなところがある。空手の試合や、書道で納得いくまで書き続ける等、一度スイッチが入るとそういう(・・・・)モードになってしまうのだ。

 

 燎平は一度だけ美紋の空手の試合を見に行ったことがあるが、そこでの彼女は何というか、別人のようであった。

 

 普段のクールさや落ち着いた雰囲気は完全に取り除かれ、その目にあるのはただ勝利への執着のみ。

 

 県大会で準優勝まで上り詰めたその手腕は、日頃の弛まぬ努力と『絶対負けたくない』という強い意志あってこそだろう。

 

 そしてそれは基本的に割と何に対しても働くことがある。例えば、燎平たちと格闘ゲームをした際も、一番下手なのにも関わらず彼女が全員に勝つまで延々とやらされた記憶はまだ彼の中でも鮮明に思い出せる。

 

 「私、山登りなんて久しぶりにやってるけど…案外いいもんだね」

 

 「あー…うん、そうだよな。違う感じするよな、雰囲気とか」

 

 「そうそう、私たちの家の近くにも山はあるけど、滅多に入らないし、こんなじゃないもんね〜」

 

 なんでもない会話を重ねながら、歩を進める二人。

 

 「……」

 

 「…」

 

 少しだけ、空気が硬い。

 

 いつもならもう少し自然に言葉のキャッチボールができる二人も、今日はその限りではないようだった。

 

 彼らの頭の中にあるのは、やはり昨日のこと。

 

 燎平が火種になって、美紋と薫がかなり大きい口喧嘩をしてしまった事であった。

 

 「……あ、美紋。昨日の事だけどさ…」

 

 「…待って」

 

 話を切り出そうとすると、美紋に遮られる。

 

 「燎平のことだから俺のせいで…とか思ってるかも知んないけど、全然そんな事ないから」

 

 「で、でも…俺があんな余計な事言わなきゃさぁ……」

 

 「……」

 

 美紋は少し顔を伏せてから、燎平の目を見て口を開く。

 

 「…確かに燎平にも非はなくはないと思うし、私も熱があがっちゃったのもあるけど…やっぱりあの言い方は無い。あんな、あんな自分任せな言い方……私たちの気持ちも知らないくせに…」

 

 そう。燎平たちがいきなり人生で見たこともないような怪物に襲われ、命を脅かされ、どれだけその事に恐怖したか。

 

 そして散々な思いをしたかと思えば、今度はその『異怪エモンス』は今後生涯襲い続けてくると言われ、立ち向かうか逃げるかの二択しかないという。

 

 流れに任せて行動して、ようやく気持ちが事実に追いつきそうな時にハードな特訓ときた。彼らにとっては、たまったものではないだろう。

 

 そんな時に、あのキツい言い方をされたら多少なりとも傷はつく。燎平は比較的言われ慣れている方ではあったが、少し心の奥底にモヤモヤが残っていた。

 

 (…確かに、俺たち自身が何とかしなきゃいけない場面だってあるかもしれない。けど…けどさぁ……最初くらいはもっと優しくしてくれてもいいんじゃないのか…?)

 

 バイトや仕事だって、先輩の指導やマニュアル無しじゃ上手くいかない。誰だって最初は、失敗しながら、経験と共に何かを学ぶものだろう。

 

 だが、燎平たちはその経験すらさせて貰ってない段階。プロセス的には、何かを学ぶ→試す→失敗する→出来るようになるという具合だが、彼らは一番最初の部分がまず抜けていたので、ただ『失敗した』というマイナスな経験のみあるといった状況。それではただの嫌な出来事である。

 

 未経験者が右も左も分からないスポーツの大会に出て失敗し、まだ十分な技術がないのにも関わらずいきなりまた試合に出させられるような気持ちだろう。不安や焦りで心がいっぱいで、自分のケツを拭くどころじゃない。その技術すら今の彼らにはないのだ。

 

 そして、そこまではただの愚痴。そんな事を憂いていても、今の状況げんじつが変わるわけではない事を彼らは気づいている。

 

 今はただ、自分に出来ることを精一杯するしかない。

 

 ひたすらに頑張ることで恐怖や焦りを紛らわすしか前を向く方法はないのだと、そう言い聞かせて今の自分を欺くしかない。

 

 結局はその考えに落ち着く事を彼らは何となく分かっているので、自分の今の状況にはあまりどうこう言わないのが暗黙の了解となりつつあった。

 

 「まぁ、燎平にもっと根性があれば昨日はあんなにならなかったのかもしれないけどね〜」

 

 「うぐ…何も反論出来ない……」

 

 とは言え、昨日の出来事に関して燎平が原因の一つであったのは事実。

 

 美紋はそれを起点に、日課の燎平いじりを行う。

 

 「ふふっ、まぁ、それが燎平じゃん。変に抱え込まない方がいいよー?」

 

 「…お前それ慰めてるの?貶してるの?」

 

 「さぁね、両方じゃない?」

 

 他愛もない会話に花が咲く中、燎平は頭の隅で考える。

 

 (そもそも、今の俺に、もう一度あの異形な『異怪エモンス』に向かい合える勇気があるのか…?)

 

 いや、ないと燎平は即答する。

 

 勇気とかそういうの以前に、前回はオベルガイアを見た瞬間に卒倒した彼である。

 

 もし、万が一今の状態で遭遇した際、いかに気絶せずに『異怪エモンス』から逃げるかをずっと燎平は頭の中で考えていた。

 

 今、例え立ち向かっても瞬殺されるのは目に見えている。

 

 一番最初の街を出てすらいないのに中ボス倒せとか言ってるようなものだ。無理ゲーにも程がある。

 

 「…燎平?燎平ってば」

 

 「……ん?ああ、ごめん。聞いてなかった」

 

 「いや、それはいいんだけど。目開けたまま死んじゃったかと思った」

 

 「え…発想が怖……今だって歩いてるじゃん…」

 

 「えー、なんかほら、漫画であるじゃん。魂みたいなのがひょーって抜けるやつ」

 

 「この世界漫画じゃないんだけどなぁ…」

 

 「ふふ、あの世界でなら似たような事できるかもよ?今度やってみてよ」

 

 「え……それ俺に遠回しに死ねって言ってる?ちょっと今度の新作試してみてよ、みたいなノリで死ねって言ってる?俺嫌われてる?」

 

 「ふふっ、急にバグらないで欲しんだけど。気持ち悪っ…」

 

 「笑ってるし。てか俺さ、きも、より気持ち悪っ…の方がダメージ食らうんだけどもしかして:」

 

 「わざと☆」

 

 「やっぱりかー」

 

 頭の中では心配や不安が渦巻いていても、美紋と言葉を重ねると、どこか落ち着けると感じる燎平。

 

 このような扱いも、彼女の絶対的な信頼があってこそのものだ。寧ろ、彼女なりに燎平を元気付けているつもりなのかもしれない。

 

 美紋が近くにいる。話しかけてくれる。隣で笑ってくれている。

 

 「…ふふっ」

 

 「……はは」

 

 

 (…ああ)

 

 

 (こんな、当たり前、いつも通りがずっとーー)

 

 

 

 

 だが。

 

 

 

 

 不意に。唐突に。

 

 

 その日常というのは終わりを告げるもの。

 

 

 

 ズンッ!!と重い衝撃が身体中を駆け抜けたかと思うと、色鮮やかであった周囲の景色が死んだかのように一斉に色を失った。

 

 

 

 「な、何だ!?」

 

 「え!?こ、れって……っ!」

 

 もう、知らないとは言えない。

 

 半ば強制的に、燎平たちの精神体が『裏側ミラ』に接続されたのだ。

 

 「え、え…!マジかよ、何でいきなり…!?」

 

 「知らないわよ!と、とにかく早く『異元展開エナークス』!」

 

 「あ、そうだった…!」

 

 急ぎ、『異元展開エナークス』をする二人。

 

 昨日の特訓が生きたのか、前回よりスムーズに『異元展開エナークス』が完了した。

 

 「なんで、こんないきなり…!」

 

 「何で……って、それは……」

 

 『裏側ミラ』が展開される理由は二つしかない。

 

 一つ目は、『修復者リセッター』などの『異元エナーク』を内包する者が意図的に展開するもの。

 

 そして二つ目は、『異怪エモンス』が出現したという合図。

 

 

 …確認するまでもなかった。

 

 

 いや、今度はもっと鮮明に肌でその存在を感じる。

 

 

 「え、『異怪エモンス』……!」

 

 

 異形な怪物と呼べるそれが、まさしく彼らの側で息を潜めていた。

 

 

 

 

花蓮「さーやって参りました誰得最近出番が皆無な生徒会で駄弁ろうのコーナー!!」

芯一「い、いえ〜!」

翔璃「こういう時、一番にノってくれるのが薫だからイマイチ勢いがないな」

花蓮「今薫は新顔君たちと合宿行ってるんだもんね!楽しんでると良いなぁ〜!」

芯一「薫、一年の時に編入してきたからだっけ?今の二年に追いつけないの?」

花蓮「あー、そこね。私も詳しくは知らないんだけどね、そればっかりは出席日数の問題らしいから…」

翔璃「成る程な…」

花蓮「でも、夏までちゃんと通えば出席日数足りるっぽいから、軽い試験受けて合格すれば二学期から二年に戻れるらしいよ!」

芯一「へぇ、ウチはそういうシステムなんだねぇ」

翔璃「良かったな、薫…」

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