プロローグ 虚無の中で
ああ、つまんねー。
そう思うのも、何回目だろうか。数えることすらもうしていない。
こんな真っ白な世界の中、何もなく、ただ『無』が広がる世界。地平線すらなく、ただ空間に漂っている。
自分の体が今、どんな状態であるかすらも不明だ。身体の感覚が全くない。五体満足であるかどうかも不明だ。もしかしたら、人の原型を留めていないのかもしれない。
こんな何もかも不安定な世界の中、ただ時間だけがゆっくりと過ぎていく。何も出来ず、身体も思うように動かない。ここまで暇を持て余す状況なんてあるだろうか。
唯一、『感じる』ことがあるとすれば、ここでの自分という『存在』が確実にどこかへ少しずつ流れてしまっていることだ。何もしなければ、いずれ自分は消えてしまうだろう。
ただただ垂れ流される他人の人生も見飽きた。
こんなところに閉じ込められたまま何も出来ずに終わってしまうのがつまらない。この世界がつまらない。自分に対してつまらない。
何かおもしれーこと、起きねーかなー。
そう考えることくらいしか、つまらなくないことがなかった。
「あ、俺様は一章の12で出てくるから!そこんとこよろしくなー!」