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不条理の修復者  作者: 麿枝 信助
第二章 舞い咲く恋慕は蝶の如く
43/67

幕間 『陽乃と輝樹の反省日誌 19日の回想』

 

 

 今日は四月十九日。

 

 あの人と出会ってから早二日が経過しました。

 

 一昨日約束をしてついに昨日、彼に気になってる本を貸したのですが…。

 

 ちゃんと読んでくれてるかな…。

 

 いやいや、勿論今日の放課後までに返して欲しいとかじゃないですよ!?読むペースは人それぞれですし、ぶっちゃけいつでもいいんですけど…。

 

 ……というか、それよりも、本音は読んでくれた感想を早く聞きたいという、私の胸の内から秘めた欲が湧き出てしまうのです…!

 

 あのシーン面白かったよね、とかここであのキャラの言動が後の伏線だった!とかとか!

 

 こういう事だったのかぁ!って結末を知った時の衝撃の強さたるや、やはりミステリーや推理小説は他のジャンルとは一線を画しているように思えます。

 

 私にも勿論中学や小学校の友達はいますが、残念ながら彼女達はそれほど本に対して興味が惹かれないようで。最近はインスタやタピオカなるものに夢中らしいです。

 

 私はそっちより物語の世界に没頭する方が性に合っているんですけどね。彼女達にも勧めはしたもののついぞ触ってくれませんでした。とほほ。

 

 なので、本好き仲間というのは私にはこれまでいませんでした。別に物語を楽しむのは一人でも出来るし、充分に面白くて満足しているので特に仲間が欲しいと思った事がなかったのは正直なところですけど。

 

 それくらい没頭するほど面白すぎる、というのも難儀ですよねぇ。本って。

 

 ……でも、ついにこの間、私にも本好き仲間が出来ちゃいました!!

 

 それこそ私にとっては初めてで。しかも異性の……。実際出来てみて感じたことは、想像よりもとても新鮮で刺激的でした。

 

 私のあの作品に対するここ好き!ポイントがどれほど彼と一緒なのかは気になるところです…!

 

 想像しただけで頬が緩みそうになる……。あぁああとにかく、あの感動を早く共有したいぃ……!

 

 そんな感じでどことなくそわそわしながら学校での時間を過ごす私でしたが、帰りの支度をしている時にひょっこりと彼から出向いてくれました。

 

 「…あの、雲陰」

 

 「あ、保井君」

 

 「これ、面白かった」

 

 「!!」

 

 そう言って、私が昨日渡した紙包みをそのまま返してくれました。

 

 ……って、え!?

 

 「え、も、もう読んだんですか!?貸したシリーズの最初の三冊全部!?私、早くて二日はかかるものかと思っていたんですけど…」

 

 「う、うん。一回読んだら最後まで気になっちゃって。昨日帰ったらずっと読んじまった」

 

 えぇええええええっ!!!

 

 こ、これは思いのほか面映ゆいというか……う…嬉しい…!!

 

 私の勧めた作品を好きって言ってもらえる事がこんなに響くなんて…!

 

 あと読むスピード早くないですか!?シリーズの最初だから設定も結構入ってるし、それに合計ページ数千はあると思うんですけど…

 

 っていうか、ちょっと待って。って事は…!

 

 「え、え!どうしよう続き持ってきてないよ今日…!」

 

 「あ、それは明日でいいから…その」

 

 

 「また、よろしく」

 

 

 「…っ!は、はい……」

 

 …なっ。

 

 なんですか……今の。

 

 今、にこって笑いました?彼。

 

 普段(失礼ですけど)あんなに怖い目つきしてるのに…。

 

 なんていうか。その。

 

 こういうの………ずるいですよね。

 

 ちょっとびっくりしました。心臓に悪いですよ、もう。

 

 「あ、じゃあ俺はこれで…」

 

 そう言い残し、そそくさとUターンする保井君。

 

 

 …いつもの私なら、ここで止まってしまう。

 

 だけど、本好きの魂がそうさせたのか、或いは他の何かが私を突き動かしたのか、今日の私はいつもと何かが違いました。

 

 

 「あ…待って!」

 

 

 「…!」

 

 咄嗟に、声が出てしまった。

 

 私の中でも何がどうなっているやら混乱しつつあるけれど、今はどうしてか勝手に口が動いてくれます。

 

 「あっ、その…あ、ちょっと、これからもう少しだけ時間、いただけますか……?」

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 「す、すいません、突然こんな……」

 

 「…別に。いいよ。俺も暇だし」

 

 「暇…?あの、部活とかされないんですか…?」

 

 「ん……今考え中」

 

 「あ、実は私もで…。保井君は何部入るとか、検討してます?」

 

 「いや…特には……」

 

 「………」

 

 「…………………」

 

 ……き、気まずいっ!! 

 

 何となく感づいてはいたのですが、基本的にあっちから何も話しかけてきてくれません!

 

 もう少しこう、会話を広げるというか……

 

 「…あの」

 

 あ、きた。

 

 「…用って、何?」

 

 あっそうきたか!!

 

 いややっぱり普通そうなりますよねすいません!!!

 

 話してた廊下じゃ何ですし取り敢えずこの前行った図書室に行きませんか?って誘ってからそれっきりですもんね私!!!

 

 はい、すいません。馬鹿は私ですよ陽乃。わかってます。

 

 誤魔化しのタイムオーバーでした。

 

 「あっ、ええっと……そのぉ」

 

 ……なんか、『私は貴方と感想戦がしたいのです!』とそのまま伝えるのはどことなく小っ恥ずかしいです。何故かはわかりませんが。

 

 私のこんなしょうもないエゴに付き合わせてしまって申し訳なくて言えない、という気持ちもあります。

 

 しかし。結論を言ってしまうと、無策です。ここから先、何も正直考えてません…はい。

 

 「…あっ。図書室、着いたみたいですよ!」

 

 何だかんだ色々考えているうちに目的地に着いてしまいました。

 

 むむ…こうなったらやっぱりそのまま伝えるしか……。

 

 「…?」

 

 あれ、保井君がいきなり図書室の机の下に手を伸ばしてる……?

 

 「あの、何か落としたんですか?」

 

 「…いや、俺のじゃないけど……、よっ。……これ」

 

 鉛筆。

 

 木製のところから察するに、これはどうやら図書館のモノのようです。

 

 「さっきたまたま目について。誰かが使って、返さずにそのまま放っておいたんだろう」

 

 そう言って彼はその鉛筆を受付のところへ戻しに行きました。

 

 「…おまたせ。……?、どうした?」

 

 「いえ、その…。やっぱり、優しい人なんだなぁって」

 

 落ちてる鉛筆に気づいてから、わざわざ拾って元の場所に戻せる人って本当にいい人しかしませんよね。

 

 「当たり前だよ、こんな事」

 

 「その当たり前が出来るって、すごい事だと思います」

 

 ……思えば、一昨日もそうやって見ず知らずの私を手伝ってくれたのかな。

 

 …いや、一応クラスメートではあるんですけども…。

 

 「いや、なんか。そういうの見るとほっとけないっていうか…。身体が勝手に動いちゃうっていうか……」

 

 そうぼそぼそ言いつつ、頰を掻く保井君。なんとなく、この二日間で彼がどういう人なのかわかってきました。

 

 「最初、クラスで見たときは怖い人かなぁって勝手に思っちゃってたんですけど……」

 

 「ぐふぅ」

 

 「でも、やっぱり人は見かけによりませんよね!いくらヤンキーみたいで髪染めてて目つき悪くても保井君みたいにいい人もいるんだって私、学びました!……ってあれ?保井君?どうしたんですか?」

 

 なんで頭抱えて呻いているんです?

 

 「保井君?どこか具合でも悪いんですか?」

 

 「…え、無自覚………?」

 

 「???」

 

 わなわなと震えてこっち見てるんですけど。何でしょう?

 

 もしかして私が何かしちゃった?

 

 「だ、大丈夫。大丈夫だから、雲陰。うん。」

 

 「そうですか……もし何か具合でも悪くなったら遠慮なくすぐに言ってくださいね!」

 

 「…それは、お前次第というか……」

 

 「はい?なんです?」

 

 「いえ何でも」

 

 何かよくわかりませんが、いきなり頭痛とかで倒れちゃったら大変ですもんね。

 

 こういうのは、早めに対処するに越したことはありません!

 

 ……!あ!閃いちゃいました私!

 

 頭痛といえば!

 

 「あ、そういえば、あの事件のきっかけも変な頭痛でしたよね!被害者の共通していた症例が頭痛で!」

 

 「あの事件……?ああ、貸してもらった本の」

 

 …やりましたっ!!

 

 何とかうまく本の話題に誘導できましたよ!これは中々上手いのでは…!?と思わず自己評価を上げたくなっちゃいそうな程です!

 

 「あの時点で、もう犯人は仕掛けてたって私気づかなくって…!後から見直したら確かに!ってすごく納得したんですよ!」

 

 「確かに、あそこで病気の症状のタイミングがおかしいと思ったら、既に二回投薬してたとは…ずっと一回きりだと決め込んでいたなぁ」

 

 「そうそう!そこが巧妙なトコで!しかも事情聴取の時も全然わかりませんでしたもんね!」

 

 「まさか二重人格だったとは……。俺ミステリーとかあんま触れないけど、いかに作り込まれてるかってのがわかって、面白かった」

 

 「で、ですよね…!ですよね!!そこなんです!!」

 

 後半で、事件や人物の謎が一気に紐解かれるあの爽快感といったら!

 

 読んでてほんと、止まらなくなっちゃうんですよ!

 

 その後、適当なところに座って今貸しているシリーズについて語ったり、他の推理やミステリー小説のおススメをしたりとしているうちに、思った以上に時間が経ってしまったようです。

 

 ふと、時計が目に入ったのかあ、という声が彼の口から溢れるのが聞こえました。

 

 「えと…ごめん、そろそろ」

 

 「あっ、こちらこそ!ごめんなさいわざわざ引き止めちゃって…」

 

 「いや、全然…俺も、その。楽しかったし」

 

 よ、良かったぁ…!向こうも楽しいって思ってもらえてたんだ…!

 

 今、すごくホッとしてます。これで私しか楽しくなかったら、ただ一方的にミステリー小説について語ってくる滅茶苦茶変な人だと思われちゃいますからね。

 

 そう安堵しているのも束の間、私は先程からチラチラこっちを見てくる保井君の視線に気づきます。

 

 「…?どうかしました?」

 

 「へ?あ、いや…その……」

 

 歯切れが悪そうに目を親がす保井君。何かあったんでしょうか。

 

 「…俺たち、まずクラスメートだよな」

 

 「…え、まぁ。はい」

 

 「そんで、本も貸してもらって、これからも俺はそのシリーズを借りたい…」

 

 「……あ、ありがとうございます」

 

 な、なんか急に始まりました。

 

 なんでいきなりこんな経緯を説明するような……なんかこそばゆいんですけど……

 

 「えっと…それで?」

 

 「あ、だからだな。その……れ、連絡先…今後のためにも交換した方がいいんじゃないかなって……」

 

 意を決して、声が小さくなりながらも絞り出すように言葉にしようとする様はだれかとどこか似ていて。

 

 「あ、別に深い意味とかはなくてだな。昨日交換できなかったし、それにこれからも本貸してくれるんだったら必要かな、って思っただけであって」

 

 焦ると早口になるところとか、言葉が多くなるところとか、諸々そっくりで。

 

 「……ふ、」

 

 「…え?」

 

 「ふふ、あはは」

 

 思わず、笑みが溢れてしまいました。

 

 「な、なんだよ。何も笑わなくたって……」

 

 「ごめんなさい。初めて、こんなに喋ってくれるところ聞いたから」

 

 「……むぅ」

 

 そう唇を尖らせてぽりぽりと頰を掻く姿は、私がイメージしていた彼とはかけ離れていて、なんだかとても新鮮に感じました。

 

 ……こんな顔、するんだ。…ちょっと意外です。

 

 普段はあんなに目つき悪くて怖そうなのに、ちょっと話しただけでこんなに簡単にその仮面が剥がれるなんて。

  

 案外中身はピュアなのかもしれませんね。

 

 …あれ?なんだろ。

 

 彼の知らない一面の意外性にびっくりしたのでしょうか。

 

 なんか、胸がきゅっと小さくなるような、不思議な感じがあります。

 

 そんな異変を疑問に思いつつ、気づいたらまた自然と自分の口が動いていました。

 

 「保井君って、割と顔に出るタイプなんですね」

 

 「え?そうか?いやまぁ、よく言われるけど…そういう雲陰だって、顔によく出るタイプだと思うぞ」

 

 「えっ、そうなんですか!?」

 

 「…ほら」

 

 「……あ、っ」

 

 慌てて口を手で押さえますが、もう遅かったようです。

 

 くぅう、は、恥ずかしい……。

 

 なんだかしてやられたみたいで悔しいです…。

 

 「にしし」

 

 あ!こ、このーっ!

 

 また!ずるいです!ずるいずるい!!

 

 今度は歯まで見せて笑うとか!!

 

 そんなとこ見せられたら、二重の意味で顔が熱くなっちゃうじゃないですか…もう…っ。

 

 く、悔しいです…。なんか無性に悔しいです今っ!

 

 な、何か…何か、こう、保井君をぎゃふんと言わせるような何か…っ!

 

 あっ!これならどうか…っ!

 

 「保井君!」

 

 じゃ、俺はこれで、って言って帰ろうとする彼ですが、そんな勝ち逃げ許しませんからね!

 

 図書室の入り口彼の背中にこう言いつけてやるのです!

 

 「残りも明日持ってくるから、楽しみに待っててね!じゃあまた明日!」

 

 「……!」

 

 どうですか!この陽乃の『いきなり敬語くずし』は!びっくりしたでしょう!

 

 そうそう!ふふ、その驚いた顔ですよ!手まで振っちゃいますから!

 

 「あ、ああ。また、明日…」

 

 彼もまた小さく手を振り返してくれました。

 

 …さて、私も満足しましたし。ちょっと図書室を探索したら帰りますか。

 

 ………………。

 

 ……、あれ?

 

 まって、まって。

 

 一回落ち着いて、陽乃。

 

 あーいや!落ち着きたくない!気づきたくない!

 

 ………………う、うう。ううう。

 

 ……も、もしかしなくても私さっき、結構恥ずかしい事自分からしちゃいました…?

 

 

 

 

 

 『四月十九日』

 

 

 ああああああああああああ!!!!!

 

 なんだあれ!?え、なんだあれなんだあれ!??!?

 

 え、笑顔付き女の子のバイバイって…あんなに破壊力あったっけ…?

 

 う、うわぁ。うわああ。

 

 し、しかも最後、敬語抜けてたし…!あれわざと?わざとなの?

 

 くっ、不覚にも可愛いと思っちまった…!…いや実際雲陰、結構可愛いトコあるし…。

 

 い、いやいやいや。何考えてやがりますか俺。不純ですよ不純。

 

 たかが手を振られた程度でこんなになるとは、情けない……。

 

 ……………。

 

 保井君、明日も楽しみに待っててね…か。

 

 ……………………えへ。

 

 …っといかん。脳裏から離れん。頰も締まらん……。

 

 女の子…おっそろしい……。

 

 っていうか俺、口数少なすぎでしょ。ペッ◯ーでももうちょい流暢に喋るよな。

 

 まぁ、最後の方は慣れつつあったというか、まだ一番最初よりかはマシだった気がするけども…。

 

 連絡先のくだりとか、もうちょい自然にできたような気もする……。

 

 っていうか、女の子とこんなに長く二人っきりで話したのっていつぶりだよオイ!

 

 まぁ色々傷ついた所もあったんけど…主に心の部分が。

 

 雲陰、地味にこっちの心抉ってくるの上手かったな……あれ、無自覚っぽいけど…。

 

 やっぱ怖がられてたよ……あとなんかすげぇズバズバ言われた気がするけど……。

 

 でも、そんな所も含めて…楽しかったな。

 

 …そういえば、用事って結局なんだったんだろうな。本について話す事だったのかな。

 

 …本も楽しみだけど、もっと楽しみな事が出来ちまったかもしれねぇ……。

 

 久し振りに、今日はぐっすり眠れそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 『四月十九日』

 

 

 ああああああああああああ!!!!!

 

 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいぃいいい!!!!!!

 

 また…私はなんて出すぎた事をぉ〜っ!!!

 

 普通の女の子とか、友達ならいいですよ?ええ、まだ。

 

 ですが!出会って数日も経たない男の子にあんな…あんな……はああ……。

 

 ……………………。

 

 …いや、一周回ってあれくらい普通なのかな…?

 

 いきなり敬語崩して手を振るなんて、急に距離を詰めすぎたみたいで……うう。

 

 いやいやいや、やっぱりまだ恥ずかしいですっ!私は違うんです私は!

 

 手を振りあってお別れとか……その、ここ、恋人みたいじゃないですかっ!!

 

 なんとも思わない男の子の知り合いなら会釈かせいぜい手をかざすくらいしか私、普通やらないもん……。

 

 なのに……なのに、あんな明るい声出して手を振るとかぁ……っ。

 

 まだ出会って三日ですよ?数ヶ月とかならまだ、まだ理解の仕様もありますがたったの三日ですよ?

 

 はぁ……。それにしてももう少し慎みを覚えるべきでした…。

 

 ……………。

 

 ……でも、思ったより楽しかったな。

 

 ミステリーや推理小説とか、一人で楽しむのには十分かと思っていましたが、誰かと気持ちを共有するってこんなにも面白いものなんですね…!

 

 もっと大人数でどうすれば完全犯罪になったか、とか考察してみるのも面白いかもしれません。

 

 ……今まで、本のことに関してはずっと一人だったから。

 

 なんだか、新しい世界に連れてってもらった気分です。保井君には感謝しないとですね。

 

 …それにしても、彼の印象がここ二日でこんなに変わるなんて。

 

 言葉遣いも思ったより丁寧だったし、変に見下したりとか、態度が大きいわけでもないし。

 

 怖そうと思ってた自分が馬鹿みたいですね、ふふ。

 

 誰が使ったかも分からない鉛筆を戻したのはかなり衝撃的でしたよ。

 

 …クラスメートの人のどれくらいが、彼の優しさに気づいているんでしょうかね。

 

 …………それに。

 

 不意に見せる、あのずるい笑顔。

 

 普段の顔からは絶対想像できませんよ、あんなの。

 

 明日も本持って行ったら、また見れるかなぁ……。

 

 あぁ、早く続き話したいなぁ。

 

 まだまだおススメの本沢山あるし、このシリーズが気に入ってくれたなら、絶対あっちのシリーズや短編も好きになるだろうし。

 

 ふふ、待ち遠しいですね。

 

 今度はもっとゆっくり、お話できたらいいなぁ……。

 

 ……………。

 

 あれ……?

 

 何で私、あの人の事ばっかり考えて……。

 

 ………………………っ。

 

 


陽乃「……あれ、まただ。また人差し指の皮剥けてる」

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