第八話
引き続き、狂気と夢の世界をお楽しみください。
あれからだいぶ歩いた気がする。
二人は出口らしき場所を探しさ迷い歩いていた。
「あ、ふがしちゃん!!あれ!」
そう言って寝娘は奥に見える扉を指差した。
其れは大きな両開きの扉で、如何にも出入口の様な姿形だ。
「出口かも!さっきの鍵試してみようか!」
二人は期待に胸を踊らせ、扉に鍵を差し込む。
カチャリ。
音がした。鍵が開いたようだ。
「じゃあ、開けるね……」
ゆっくりと扉を開く。其処には。
「え……?」
其処には、例の少女が居た。
例によって、ニタァ。と微笑んでいる。
「ひっ、…は、はやく逃げましょう!」
寝娘はふがしを引っ張って行こうとする。
しかし、ふがしは動かなかった。
「ふがしちゃん?何してるの…?はやく逃げよう?」
「僕ね、あの子に話があるんだ。だから、行くなら行ってても好いよ?僕は残るから。」
にっこりと言う。すると寝娘は、何かの覚悟を決めたかの様に気を引き閉め、
「ううん、ふがしちゃんが此所に居るなら私も残るわ!」
「そっか、ありがとう。」
ふがしは微笑み、そして少女を見た。
優しく話しかける。
「僕達は、君に何もしないよ。だから、お話ししよ?」
「………うんっ!」
ニタリ。微笑んで応えた。
「お名前は何て言うの?僕はふがしだよ。」
「ふがしっ!…ぁたし、狸梨ヰ!よぉしく!」
「よろしく、狸梨ヰちゃん。あのね、此所にゴロゴロしてる人達を殺したのって、狸梨ヰちゃんなのかな?」
ニコニコと笑いながら、いきなり核心を突く質問を投げ付ける。
「ちょ、ちょっとふがしちゃん!?」
慌てて寝娘が止めるが、お構い無しに続ける。
「殺すってことが解らないかな?動かなくなるまでぐちゃぐちゃにして、べちゃべちゃのバラバラにして、一緒に遊んだの?」
少女、………狸梨ヰはフルフルと首を横に振った。
「ふぅん………そっか、…」
何やらにやけながらふがしは独り納得する。
「じゃあ、おいで……」
ふがしはにっこりと笑いかけると、狸梨ヰに向かって腕を広げ、子供が抱きついてくるのを待つかの様な姿勢をとる。
狸梨ヰは嬉しそうにふがしの元へ走ると、思い切り抱きついた。
「よしよし、今まで独りで辛かったね、大変だったね、…」
優しく撫でる。よしよし、と。優しく、優しく。
「ねぇ、寝娘ちゃん。一つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「え、私?何?私で良いなら答えるよ?」
その瞬間、残酷なまでに冷たい笑みを浮かべるふがし。
「今回の件、この子のせいじゃないみたいよ?じゃあ、一体誰の仕業なんだろうねぇ?」
寝娘はその意味を、意図を、読み取り背筋が凍った。
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