第六話
引き続き、狂気と夢の世界をお楽しみください。
部屋一面、紅。
元の色が解らないくらいに、此れは、そう、血の色だった。
部屋の真ん中にはテーブル。二つの物体が向かい合って座っていた。
物体は、人間であろうと推測は出来るが、其れは血に染まり原型が解らない程にぐちゃぐちゃで、言うなれば「人間」より「肉塊」と言う方が正しかった。
どちらかと言うと内蔵が飛び出したり元は人間だったものがぐちゃぐちゃに成っていると言うより、内蔵の様な肉塊が幾つも集まり人間らしき形を造っていると言う感じだ。
びちゃ、
びちゃ、
びちゃ、
びちゃ、
びちゃ、
ふがしは歩く。其の部屋を。其の床の上を。
いつの間にか裸足に成って。
まるで地獄の血の池のような其の上を、ひたりひたりと歩いて行く。
無表情だった其の顔は、今では表情を帯びていた。
恍惚の表情を。
まるで綺麗なイルミネーションを見ているかの様な。
まるで史上最高のラブロマンスを眺めているかの様な。
まるでずっと探し求めていた宝物を見つけたかの様な。
まるで猫が獲物を見つけたかの様な。
まるで、……
ニンマリと笑みを浮かべ、その場に座り込み、其の目は二つの物体に釘付けに成っている。座ったことにより自分にべっとりと血が付いた事等気にしていない。
「ふ、……うふふ………えへ、……あははははははは」
遂に堪えきれなかったのか爆笑し出す。
不謹慎だとか、人の不幸を云々言われそうだが、仕方ない。
とても綺麗で可愛くて、其れで居て何とも滑稽で、気分を高揚させる覚醒剤の様だ。笑うなと言う方が無理な話だ。
「あはははははは!かぁ~いいなぁ~、ふへへへへへ」
狂ったように言えば一つに抱き付き頬擦りをする。
まるで小さい子供を愛でる親戚のようだ。
(はぁ、幸せだなぁ…ずっとここにいたいなぁ……)
しかしそう言う訳にもいかない。
進まねば。
ふがしは部屋の奥へと進み、隠し扉を開ける。本当に、部屋の全てを知っているかの様に。
隠し扉の中は下に降りる階段が続いていた。
階段を降りる足音だけが響く。
響く。響く。
響く。響く。
響く。響く。
響く。響く。
響く。響く。
永い階段だった。やっと下に降りる。
何だか疲れた。休みたい。
すると目の前に、少女がいた。
先程の鉈を持ったまま、ニタァ。同じ笑みを浮かべている。
ふがしの目は少女へと釘付けに成る。
(逃げろ…)
体が、警告する。
(はやく逃げろ……)
足は一歩一歩、後退る。
(厭、一緒にいたいの。)
一歩、又一歩、
(この子と話さなきゃ。きっと仲良くなれるのに、)
徐々に其のスピードは速まり、
(お願い、止まって、これ以上逃げないでよ……)
遂に後ろを向いて走り出す。
(だめ!厭なの話したいの!あの子と一緒に居たいの……!!)
気付けばふがしは全力疾走していた。
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