第三話
引き続き、狂気と夢の世界をお楽しみください。
「ねねっ!君さっき独りで居た子だよね?一緒に行こーよ!」
縄梯子を登り始める。
「ち、ちょっと!ふがしちゃん、やめた方がいいよ、…」
「ついたー!……あれ?」
登りきった其の時、既に少女の姿は無かった。
ふがしが振り返れば、後から皆が恐々登ってくる。再び、全員が揃った。
其処は薄暗く、長い廊下の様な処だった。
完全に真っ暗と言う訳ではないので歩くのに困ることは無いが、足元が不 安定なため注意は必要である。
皆は唯黙々と廊下を歩き始めた。
「……私は漆深よ。まぁ、ネト名だけどね。」
沈黙に耐えきれなくなったらしい女性が自己紹介を始めた。其れから皆、自己紹介をする流れに成った。
「あ、私は寝娘っていいます。えっと、よろしく、…で、いいのかな……」
「僕はふがしだよ。よろしくね。寝娘ちゃんの友達だよー」
「…俺は柘榴。友達に連れられて来たんだけどよ、……まぁ、察しの通りだ。」
「………ぁ、…え、えと、あの、ぼ、僕、は、し、しざ、死桜、て、言います。」
其れからは各々の話や今日の話、楽しみにしていただとか自分達だけは如何して助かったのかとか。
そんな中ふがしはある共通点を見つけた。其れは、料理だ。
「ねぇ皆、今日のメニューの中で嫌いなのって何?」
今日は団体予約限定の、バイキング形式の食べ放題コースだったのだ。こう言っては何だがそこまで種類が多くはなかったので、食べようと思えば全種類を制覇することも容易い。実際、殆どの人がすべての料理を少しづつ食べていたように思う。
「今日のメニューの中なら、『たっぷりキノコのシチュー』て奴だな。俺茸苦手なんだよ…」
柘榴がいの一番に言い出し、他の皆も、
「私も茸苦手で…」
「実は私も、……」
「…ぼ、僕、も、……」
各々に続いた。
「ふぅーん、じゃあそれか。」
納得した様に言うふがしと、訳が解らないと言う様な他の面々。
その様子に気付きふがしは説明を付け加える。
「えっとね?あんなに大勢の人がパタパタ一気に死ぬわけないじゃん?だから誰かが狙ったのかなーって思ってさ。んで、一番毒物を仕込みやすいのって食べ物じゃん。だから僕らが食べてなくて他の人が食べてた料理に何か毒物が入れられてたんだと思うな。」
「へぇ、……なるほどなぁ、…まぁ、その可能性はあるな。」
(まぁ、僕には関係ないけどね。あんなおぞましい物食べられる人の気が知れないしね。)
話し合いながらふがしはぼんやりと考え事をしていた。
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