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第十話

引き続き、狂気と夢の世界をお楽しみください。

「あー……。最後の最後に嫌な想いさせやがって。」


 ふがしはボソリと呟く。

 そして振り返ると、キョトンとしている狸梨ヰと目が合った。


「狸梨ヰちゃん、遊ぼっか。」


 にっこりと微笑む。其の表情はつい先程人を殺したとは思えない程穏やかだった。


「うんっ!なにすりゅの?」


「ふふっ♪今から此の鉈で、さっきのお姉さんをバラバラにするの。」


「ばらばらー!すりゅー!」


「うんうん。じゃあ一緒に殺ろうね。」


 ぐちゃ。


 ぐちゅ。


 バキッ。


 ぐりゅ。


 ぐちゃぐちゃ。


 ずりゅ。



 暫くすれば、其れは原型を留めておらず、見るも無惨な光景が広がっていた。


「つぎは?どーすりゅの?」


 たどたどしい口調。狸梨ヰは此の遊びを心の底から楽しんでいる様だった。


「ふふっ、次はねー……」


 総ての過程が終わった時、二人は血塗れに、一つは無数の肉塊に成っていた。


 ふがしは狸梨ヰを保護し、自分の趣味趣向を一から教え込むことを心に決める。


 二人で血の雨を浴び乍、狸梨ヰが疲れた様子を見せたので少し休もうかと提案する。


「どうする?お昼寝する?」


「うん、すりゅー…」


 そう言うと狸梨ヰは静かに眠りについた。


 優しく其の背中を撫でる。暫くするとふがしは周りの光景を見渡し、其の美しさにほぅ、…とため息を吐き血を啜る。クセになる味だ。鉄の味、とよく言うが嫌悪感は無い。寧ろ至高の味とも言えるだろう。


………


「ね、ねぇ、…も、もしかして、さぁ、……こ、こ、此処、で、出口、……じゃない、かな。。。」


 死桜は漆深に告げる。

 二人は寝娘と別れた後、独自に出口を探していた。そしてふがし達とはまた別のルートで此の扉に辿り着く。


「本当ね!出られるかも知れないわ!さぁ、はやく開けましょう!!」


 漆深は嬉しそうに声を弾ませ、はやく扉を開こうと急かす。


 しかし、


「……い、嫌な、…よ、よか、予感がす、する、んだ………。あ、開けない、方が、…好いんじゃ、な、ないかな、…。」


 其の匂いを、雰囲気を、空気を、死桜は敏感に感じ取っていた。

 必死に止めようとするも、漆深は止まる気配がない。


「嗚呼、もう!焦れったいわね!私が開けるわよ、貴方は下がってて?」


 そう言って勢いよく扉を開いた。


 其処で地べたに座り込み狂ったように笑い声を挙げているふがしと、


  目が合った。


………


 漆深と死桜の処理を終え、ふがしは狸梨ヰの方へと振り返る。



「狸梨ヰちゃん、今度は何して遊…………狸梨ヰちゃん、?」


 狸梨ヰの姿は、其処には無かった。


 少女が居たと言う痕跡すらない。


「嘘でしょ?ねぇ?漆深ちゃん、死桜くん。狸梨ヰちゃん何処行ったか知らない?可笑しいなぁ、僕に無断で消えるはずないのに。ねぇ?…あれ?漆深ちゃん?死桜くん?…知らないの?そっか。じゃあ寝娘ちゃんは?知らない?………………ふぅん、そっかぁ…何処行ったんだろうね?あの子。……あれ?あの子って誰だっけ?あれ?そもそも、僕、誰と話してるんだっけ?」


 無機質な部屋の中、彼女は独り立ち尽くしていた。

 血溜まりも肉塊も、人だった物も無い。ましてや先程まで話していた人物等、果たして本当に存在していたのだろうか…?



 独り寂しい部屋の中。


 泣き崩れる事しか出来なかった彼女は。

最後までご愛読いただきありがとうございました。


………


狂気と夢の世界、如何だったでしょうか。


次は貴方も、こんな夢の世界へ招待されると好いですね。


それではまた、何処かで。


………


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