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憎悪と微笑み

すみません!

前回から1か月も放置状態でした…

これからゆっくりでも、定期的に投稿出来るように頑張ります!

「次はここです。」


戒さんが先ほどと同じ様な戸の前で止まった。戸を開けると一瞬同じ部屋なんじゃないかって思った。

それは同じ作りの部屋というのもあるが、それ以上に入った瞬間の雰囲気というか空気が同じだったから。

その薄暗い部屋の中には4人の男女が居た。


4人とも見た目で言えば俺と同じか少し年上のようだった。


4人を見て初めに思ったことは、さっきの子たちと同じだということ。

先ほどとは違い怯えといった感情がない代わりに憎しみや悲しみといった感情があった。だがどちらにもいえるのは、負の感情、そして俺を認めないという意思・・・いや、'俺を’と言うより'主を’といった方が正しいだろう。

わかりやすく睨んでいる人もいれば、無表情な人もいるが・・・。

それを感じとれたのは、相手の強い思いが目や雰囲気で見て取れたからというのもあるが、俺が今まで人の感情というものを敏感に感じ取り、見てきたからだろう。


俺は順番に見ていった。

一番右にいたのは俺と同じくらいか少し上くらいの青年で、この中で一番分かりやすいと思った。敵対心丸出しで俺を睨むように見ている。

深い緑色の髪を短くハネさせ瞳は同じ緑だったが髪よりも明るく、それは春の若葉を思い浮かばせた。身長は戒さんほどではないにしろ180弱程で、服の上からもほどよく筋肉がついていることがわかった。


それは隣の人と比べるとよくわかった。


隣の男の人は20代半ば位だろうか、赤茶の髪を襟足ですっきりと揃え瞳はチョコレートのように優しい茶色だった。

全体的にほっそりとした体つきがその人を小さく感じさせたが実際は俺より身長はありそうだ。170半ば位だろうか。

その人は隣の彼とは反対に心配そうな表情でこちらを見ている。それは俺に対してなのか、これからのことに対してなのかまではわからない。


その隣の彼女は俺と同じ位の見た目なのに、雰囲気は俺なんかよりずっと落着いていた。

身長は160位で、ストレートの黒髪を腰まで伸ばしており瞳は黒曜石のような輝きのある黒だった。無表情で座っている彼女はさながら日本人形の様だった。


そして彼女とは正反対の印象を受ける一番端に座っている女の人は、20代前半位で明るい茶色の髪は先ほどの男性と同じくらいか、もしかしたらもっと短いかもしれない位の長さだった。

身長は女性にしては高く170弱で俺と同じ位ありそう。

この人も一番右の彼と同じように苛立ちを隠しきれずに俺のことを睨んでいる。俺はそれ程までに強い意志を持った目をしている女性を見たことがなかった。その意志の強い朱色の瞳に少したじろいだけど、その奥に苛立ち以外の何かが・・・思い違いかもしれないが一瞬悲しみが、見えたような気がした。


それは向けられる感情こそ違うが、以前に母さんが無理をして俺に笑いかける時と似ていた。

大丈夫だと言った母さんの瞳の奥に苦しみや悲しみがあったことを俺は知っていた。それでも俺は気付かないふりをした。それが母さんにとっても俺にとっても良いことだと思っていたから。でも・・・


それが母さんを追い詰めたのかな。

俺がちゃんと言っていれば、母さんの苦しみを少しでも軽くすることが出来たんじゃないのかな、苦しみを軽くすることができなくても何か出来たのでは・・・・・今更こんなことをいくら考えたところで仕方の無いことなんだけど。


俺は母の悲しげな笑顔を思い出し、悲しくなる気持ちを外に出さない為にも先ほどと同じように彼らに向かって微笑んだ。

彼らはピクッと反応したが何も言わない。

紅は気付いていないが、その微笑みは彼の母が無理をして笑ったものにとても似ていた。


あれ?なんだろう・・・空気が変わった・・・気がする?


さっきまでのギスギスとしていた部屋の空気が薄くなった・・・ような気がした。睨んでいた2人も睨むことを止め少し呆然としたような顔で俺を見ている。

紅は原因が自分にあることを、分かっていなかった。


「彼が新しい‘主’だ。右から辰の(みなと)、酉の一夜(いちや)、巳の卯月(うづき)、申の夕日(ゆうひ)です。」


戒さんが紹介すると、一夜と呼ばれた男性だけは軽く頭を下げたが、港さんと夕日さんはまた俺のことを睨みつけ、卯月さんは興味が無いように無反応だった。


「・・・今日からここに住むことになりました。紅といいます。よろしくお願いします。」


俺はあまりここにいてはいけないと感じ、それだけ言うと部屋から出ようと向きを変えた。

その時、港が立ち上がった。


「待てよ」


その声は低い。何かを押さえ込んだ声に俺はゆっくりと振り返る。


「俺は、俺達は、あんたを‘主’だなんて認めないからな」


なんだ、そんなこと


「わかりました。・・・でも、ここに住むことだけは許して貰えると助かります」


その言葉に港さんは目をみはり、俺は今度こそ部屋を出た。


わかってる。ここは俺の居場所じゃない。

そんなこと誰よりも俺がよくわかってるんだ・・・。




まだまだ登場します…

あと少しお付き合いください。

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