プロローグ
もう随分と前に書いた小説の完全リメイクです。
昔書いた方は文章が稚拙過ぎて読んでて恥ずかしかった……まぁ今でも稚拙かもしれませんが、だいぶ改善されてます!
話の大筋は前と変わらないですが、
新しいシーンや補間なども追加するので読んだ事がある人も楽しめるんじゃないかなと思います。
まぁ……何年も前にエタッた黒歴史小説なんで読んだ事ある人なんていないでしょうけど
泡沫の隙間に夢を見たーー
時間帯的に人通りが少ない道で猫の鳴き声が聞こえた。
少年は鳴き声の聞こえた方を向くと、そろりそろりと忍び足で近づく。
猫の近くまで近づくと足を止め、猫の方を見る。
しかし、猫は少年の方を向いているのに少年の事を見ていなかった。
まるで猫は少年の前にある虚空を見つめているようだった。
少年はちょっとしたいたずら心を働かせ、「ワッ!」と驚かせて自分の存在を知らしめた。
驚いた猫は虚空を振り切って走り出してしまった。
道路に飛び出した猫の方を見た少年の顔は海のように真っ青になった。
車のクラクションが鳴り響く中、猫は無事に走り去っていったというのに少年の顔色は変わらない。
まるで、世界に一人だけ取り残されてしまったかのような……
そして少年は一人になった。
◆
『雨傘 海』。それは自分がこの世で最も嫌いな人物の名前であり、それと同時に自分自身を指し示す名前でもある。
自分が自身の事を嫌っている理由は不思議な事に思い出せない。きっと思い出したくない程の理由があるのだろう。そうでなかったとしても、そしてその理由が大したことでなかったとしても自分自身が嫌いだという事実は変わりがないのだから考えても無駄だろう。
幼い頃は、そうでもなかったと思う。幼い頃と言っても、自分はまだ学生の身分だから、数年前程度なのだけれど。
幼い頃は悪戯ばかりして、人を困らせては笑っていた悪ガキだったと自覚している。それは実の姉の所為と言うか影響と言うかーー。
悪戯の内容は、パーティーの食事の中に下剤を混ぜたり、落とし穴を掘ったりは序の口で幼いながらにして、もっとえげつないことをしていた。
流石に今はそんなことはしていない。
そもそも、そんなことをして笑っていられる精神じゃなくなった。精神の成長かはたまた憔悴か、いずれにせよ思い出話にしても自分は笑えなくなっている。
そんな自分を周りは卑屈や根暗だと思うのだろう。いや、卑屈と思われる程、口数が多い訳ではないから精々根暗止まりか。
自覚しているだけまし、と言う言葉をよく聞くけど、自覚しているのに直さないのは自覚していないよりタチが悪いと自分は思う。
まぁそれは、自分はタチが悪いのだ、と言っていることと同義なのだけど。
そして自分は、そんな自分が嫌いだった。
◆
耳障りな電子音が部屋中に響き渡る。
音を止める為に重い身体を起こし枕元にあるスマホへと手を伸ばすが、伸ばした手は畳を叩くばかりで、何も掴めない。
見てみると、そこにいつもある筈のスマホがなかった。少し思案してみる。
「寝落ちしたのか……」
毛布の中を探すが見つからない。
アラーム音は止まらずに鳴り響いている事もありイライラは溜まるばかりだ。
本格的に探す為に布団から出ると、何か平らな物を踏みつける感触がし、アラーム音が鳴り止む。
そこで、やっと気がつく。
アラーム音は部屋中に鳴り響いていたのだから、毛布の下のような音の篭る場所にスマホがある筈が無いだろう。
いつもの事だが自分はどうも朝に弱いらしい。
だからと言って、これ以上部屋の中でグズグズしている暇はない。
今日は中学校の卒業式があるからだ。
踏みつけたスマホを拾いパジャマ代わりに着ている甚兵衛の袖下に入れ、壁に掛けてある制服を掴み取り部屋を出る。
そして台所にある冷蔵庫を目指し歩き始めた。
向かっている途中、道場へと続く廊下を見やるが、それだけで特に何もせず冷蔵庫に向け歩き続ける。
思うことはあるが、そんな事よりは卒業式の方が大事だ。
台所へ行く前に居間で制服を置く。
そして台所の冷蔵庫を開けて栄養ドリンクだけを取り出し飲み干した。
居間に戻り制服に着替え、スマホを制服のポケットに入れ替える。
脱いだエセ甚兵衛を洗濯機に放り込む為に洗面所に向かうと玄関の方で戸が開く音がした。
「行ってきます」
玄関から聞こえた、その声の主は義妹である『雨傘 舞花』だろう。
自分とは、あまり仲が良くない。
"家では"不干渉で通している程で会話をするどころか目も合わせないない。
だから、舞花の言った「行ってきます」という言葉に「行ってらっしゃい」と言うことは無い。
昔は……おそらくまだ自分が自身を嫌っていなかった頃までは、「お兄ちゃん!」とか言いながら鬱陶しいくらい後ろにくっ付いていたのだけど……まぁそれも今では過ぎた事の一つでしかない。
洗濯機に着ていた甚兵衛を放り込んで、自分も玄関に置いてある鞄を持って家を出る。
そして、学校へと歩き出す。
これが、いつも通りのボクの朝だ。
今日で中学を卒業するけど高校生になったところで、この朝は変わることが無いだろう。
別に変えようとは思わないし、変えたいとも思っていない。
言ってしまえば、変えたくないと思っている訳でも無いから実際変わろうと変わらまいと関係ないのだけど。
両親は共働きで家にはあまり帰ってこない。
共働きと言っても、母は父の秘書なので職場も同じだし、家族仲は両親に関して言えば良好だ。
両親も子供を蔑ろにしたいと思っている訳では無いのだけど、仕事での立場もあるから中々帰ってくることが出来ないらしい。
帰ってくると、やたらと絡んでくるので面倒くさいからボクとしては帰ってこなくとも構わないのだけど。
その両親以上に帰ってくると面倒くさいのが姉だ。
姉の名前は『雨傘 真凛』。ボクが幼い頃にしていた悪戯は、この人の影響で始めたものだった。
悪戯されたから、悪戯しかえしたと言うのが始まりで、いつの間にか悪戯で競うようになって標的がお互いから他者に変わってしまっていったのだ。
そして、ボクはもう悪戯をやめたが……真凜姉さんは歳が18を越えても未だに続けているのだ。
それが帰ってくると面倒くさい理由だ。
両親の仕事は、幾つもの大手企業の社長を兼任していたりしてる。
元々由緒正しい武家だった事から、世間からは雨傘財閥だとか呼ばれている。
とは言うものの食べている物は普通にスーパーとかで買っている物だし、通っている学校も普通に市立の中学だ。
メイドどころか家政婦一人として雇っていない。
家はまぁ武家屋敷のような見てくれだが、部屋が多いだけでシアタールームとかそんな洒落た部屋は無い。
変わった部屋と言えば今はもう使われていない道場があるくらいだ。
生活的には他の家とあまり変わらないと思う。
まぁ、だからと言ってなんだって話なんだけど。
「やっと来たか、海。蓮のやつは先に来た舞花が引っ張ってったからもう居ねえぞ」
「あぁ……うん」
家を出て少し歩いた所で幼馴染の一人である『空皆 悠斗』がいつも通りボクの事を待っていた。
悠斗は、幼い頃からの付き合いで、親友と言える程には信頼している相手だ。
昔は一緒にバカをしていた覚えがある。
ボクと幼馴染という事は舞花の幼馴染でもあるという事であり。
あまり、舞花と話さなくなった今では、舞花とよく話す悠斗はボク以上に舞花にとっての兄のような存在なのではないだろうか。
まぁそれでも二人が漫画やドラマみたいに恋愛関係になる事はないだろう。
「ってか、俺たちも時間的にヤバいから走るぞ!」
そう言って走り出した悠斗を追いかけて走り出す。
遅れた理由はギリギリに起きた自分の所為だとは何と無く分かってはいたけど、謝る事はしなかった。
走っている途中で、道端で姦しい声と情けない男の声が聞こえてきた。
「悠斗と海! ちょっと助けてくれ!」
「あーあー聞こえねぇ聞こえねぇ」
悠斗は助けを求める声を無視してそのまま走っていく。
そしてボクも何事もなかったかのように素通りした。
情けない声で助けを求めてきたのは『神崎 蓮』。
中学校に入ってからの友人で、優柔不断な所もあるが、かなりのお人好しで人格者だ。それ故に女子にもモテる。
現に蓮が助けを求めたのは女子勢に囲まれて何やら答え辛い選択を迫られていたからだと見受けられた。
女子勢の中には自分の義妹を筆頭に従妹や幼馴染など見知った顔が混ざっている。
どうでも良い話だけど、従妹も幼い頃から一緒にいれば幼馴染と言っても過言ではないと思うのだけど、どうなのだろう。
まぁ表現と言うか属性的に被ってしまうから従妹と幼馴染で分けた方がいいのだろうけど、実質的にあの二人は親戚か親戚でないかの違いしかないのだから、どっちでもいいことなのだけど。
そんな3人を含めた女子勢に囲まれて中々前に進めない蓮にボクから言える事は一つ。
(遅刻しないといいな)
まぁ言えるからと言って、口に出そうとは思わないんだけど。
◆
立ったり、座ったり、歌ったりを繰り返した卒業式は感動もなく終わる。
泣いている同級生を冷めた目で見ながら学校を後にした。
楽しかった思い出も嬉しかった思い出も悔しかった思い出も悲しかった思い出もあった。
学校を卒業した所で、その思い出がなくなる訳ではないのに、何で彼ら彼女らは何で泣いているのだろうか、いくら考えてもその理由をボクは思い出せなかった。
「ちょっ、お前一人だけ逃げようとすんなよ。花見の買い出しのこと忘れてんのか」
「あ……うん」
校門から少し歩いた所で誰かが声をかけてきた。
誰か、と言ってもボクに話しかけてくる人など悠斗と蓮くらいで、あとは偶に蓮の取り巻きの女子がいるだけだ。
今回は悠斗のようだった。
「はぁ。だと思ったぜ」
中学校最後の思い出作りをしようと蓮の取り巻きの後輩が提案したお別れ会の花見。
どういうことか知らないけど、食べ物やジュースなどの買い出しはボクと悠斗と蓮の男子勢が行く事になった。主役の卒業生である筈の自分達が行かないと行けないのだろう。悠斗は何の疑問にも思っていないようだった。おそらく、体育祭や文化祭の打ち上げの買い出しも男子勢で行ったので、それが当たり前だと刷り込まれてしまっているのだろう。
買い出しに行くのはボクと悠斗と蓮なのだけど、見たところ蓮の姿が見当たらなかった。
「蓮は」
「あいつは、なんか行列作って告白されてるよ。マジ、もげればいいのに」
「あぁ」
一年前も卒業していった先輩達が行列を作って蓮に告白していたことを思い出す。
何故、失敗すると分かりきっているのに列に並んでまで告白をするのだろうか。アイドルの握手会のような感覚で告白される蓮を気の毒に思う。
もっとも女子にちやほやされている時点で、同情の余地など皆無であるのは間違いないのだけど。
「おーい。二人とも待ってくれぇ」
「噂をすればってやつだな」
悠斗の事だ。影がさす、という諺の先を知らないのだろう。
「それにしても早いな。"その"行列どうしたんだよ」
「用事があるからって逃げてきた」
「なるほど、それで行列を引き連れているのか」
「え? うわぁ!」
蓮は自分が引き連れてきた女子の大群を目の当たりにすると驚いて、ボクと悠斗の手を掴んで走り出す。
ボクらが蓮に引っ張られて走り出すと、女子達も後を追って走り出す。
そんな場面に巻き込まれて、とんだ茶番だなと悠斗と二人で愚痴る。
この時間帯は人通りが少ない道まで、なんとか逃げ切ったボクら三人は息を切らしながら休憩していた。
「なんとか逃げ切ったな」
「おま、ふざけんな。一人、逃げろ。巻き込むな」
呼吸が乱れているからか、片言で文句を言う悠斗。しかし、そんな悠斗を無視して蓮は道の先を指差した。
「なぁ、あれなんだ?」
「お前マイペース過ぎんだろって……うわ、なんか光ってね?」
蓮の指差した先を見てみると、悠斗が言った通り地面が光輝いていた。
悠斗は好奇心を隠さず、光る地面へと近づく。
「魔法陣? なんで光ってんだ? 青色発光ダイオード?」
「いや、青くないよ」
蓮の指摘した通り、全く青くない。
悠斗が魔法陣と言ったそれを自分も近づいて見てみると、地面は幾何学模様が円形に並んだような形で光を放っていた。それはまるで本当に魔法陣であるかのようだった。
「結局これ何なんだ?」
「いや、だから魔法陣じゃね? ホンモノ?」
悠斗は取り出した携帯で写メを撮りながら言う。
「勇者召喚とか使い魔召喚とかさ色々あるけど、海はどう思う?」
「さぁ?」
いきなり話を振られたので、返事は適当になった。そもそもボクは悠斗のように漫画やラノベはあまり読まないので、そういう事を言われても何の話なのかよく分かっていなかったのだけど。
「で、その魔法陣は何でここにある訳なんだ?」
「そりゃ、お前を召喚するためだろ」
そう言って悠斗は蓮の後ろに回って背中を押して言った。
「行ってこいよっと」
「えっ! 何するんだよ」
押された本人である蓮はバランスを立て直すために悠斗の腕を掴んだ。
「って、ちょっ!? 手、放せっ…うぉ」
悠斗はその言葉を最後に魔法陣の中に消えていった。
流石にボクも傍観してはいられず、蓮だけでも助けるために手を伸ばす。
「ダメだ、海!」
しかし、蓮はボクのことを押して飛ばした。
悠斗が消えたからか蓮は危険だと感じたのだろう。
蓮はボクを押した反動で魔法陣の中に吸い込まれて魔法陣と共に消えていった。
蓮に押し飛ばされたボクは、そのまま道路の真ん中に押し出されて倒れる。
そして青色空と車のクラクションと体を襲う衝撃を最後にボクの意識は途絶えた。
奇しくもその道は夢に見た場所と同じ道だった。
◆
目が醒めると体が縮んでいた!?
なんて事はなかった……縮んでいるどころか体の感覚がなかったのだけど。
真っ暗な空間。地面はなく壁も遮蔽物もなく空もなく、もちろん地平線などの境界もない。
上も下も前も後ろも右も左もない。
浮いているという感覚もなく漂っているのかすら分からない。
ただ真っ暗な空間にいるという事実しかかなった。
そして、ゆっくりと思い出す。
最後の記憶から、なんとなく自分が死んだのだと理解した。
家族や親友、従兄妹、幼馴染みなど自分と親しかった事のある人達を思い浮かべて、ボクはやっと思い出した。
「彼ら彼女らは、別れが悲しかったから泣いたのか……」
涙が溢れる感覚はない。それでも、自分は泣いているのだと分かった。
今は会話すらしていない義妹や従妹や幼馴染みは、昔は皆んなと仲が良かった。あの頃は楽しかった。あの頃は幸せだった。そして、それを全て壊したのは自分だった。
蓮が皆んなと仲良く話していると、もしかしたら自分があそこに立っていたのかもしれないと思ってしまう事もあった。
悠斗から、悔しくないのかよって言われた事もあった。その度に、何が?と答えて、悠斗に鈍感な所だけは変わっていないなと言われた。悔しいなどと思う権利など自分にはないのに本当は思ってしまっていた。
しどうして"オレ"は変わってしまったんだろう。なんて分かりきったことを何度も何度も考えていた。
皆んなが憶えていないから、自分も忘れてしまった。
だからこそ、そんな自分が、そんな"雨傘海"が……
「そんな"ボク"が大嫌いなんだ!」
「私は神様でもなければ聖職者でもないから、その懺悔を赦す事は出来ないけど。聞いてあげる事は出来たよ。それで君の重荷は少しでも軽くなったかな?」
依然として真っ暗なままの空間に自分ではない声が響く。
「心配しなくても、大丈夫。私は死神でもなければ閻魔大王でもないし、迎えの天使でもない。そもそも君は死んでいないしね」
死んでいない……
「そう。とは言え、肉体的に死んでいないってだけで、今の君は心と魂だけが、ここにきているんだ。生き霊というか幽体離脱というか、まぁだいたいそんな感じで、体の方は植物状態のようなモノかな」
死んでいないのなら、ここはどこなのだろう……
「ここは、さしずめ物語の外という所かな」
何故、自分はそんな所にいるのだろう……
「君にお願いがあるから、私が呼んだのさ」
自分を呼んだ。何故……
「君が、勇者と魔王と転生者の友人であるから」
意味が分からなかった。
勇者と魔王というのはゲームなどで出てくるあれなのは分かるけど、それを友人に持った覚えはない。
「簡単に説明してしまえば、神崎蓮は勇者として異世界に呼ばれ、空皆悠斗は異世界で魔王になる」
ますます意味が分からなかった。
「君は見ただろう。魔法陣に吸い込まれた二人を」
………。
「私は、そんな彼らの友人である君にお願いしたい事があるんだ。だから君をここに呼んだ」
お願いしたい事……
「彼らの行った世界で彼らから、勇者や魔王それに転生者から物語を守って欲しい」
運命を守る……
「古来から勇者などの主人公は運命を変える力を持つ。滅びの運命から星を救うのなら構わない。しかし彼らが運命を変えすぎると逆に星が滅びかねないのだよ。だから君に止めてきて欲しい」
いきなり、止めてきて欲しいと言われても……
「もちろん、お礼はしよう。君が私のお願いを引き受けてくれるのなら、君の願いを一つ叶えて上げよう。何でもとは言えないけどね。不老不死は無理だけど不老に出来るくらいが限界かな。死者を蘇らせる事も無理だけど、死者の魂と会話する事は出来るよ。さっきも言ったけど私は神様じゃないし、全能でも万能でもないから叶えられるのは、それくらいが限度だ」
メリットとデメリット。
ボクが引き受けずにそのまま帰った場合、悠斗や蓮は、そこにいない。義妹……舞花達は悲しみ続ける事になるだろう。そして、ボクは一人真実を知っていながら、話せないでいる。勇者として召喚されたから消えた。そんな与太話を誰が信じると言うのだろうか。舞花達は真実を知らないまま、帰ってくるかも分からない蓮をずっと待ち続ける事になる。そんなのは……
"死者の魂と会話する事は出来るよ"
……だったら、答えは一つしかない。
「引き受けます」
そう言った瞬間に、自分に体の感覚が戻ってきた。
地に足が付き、空間が明るくなった。
空間が明るくなったとは言え暗闇から真っ白い空間に変わっただけだったのだけど。
「ありがとう。とは言え、私が君に干渉出来るのはここまでのようだ」
「それって、どういう……」
「すまない。後のことはその先にいる私の仲間に聞い……」
聞こえていた声はどんどん小さくなっていき、しまいには聞こえなくなった。
(先ってどこだろう……)
周りを見渡すといつの間にか大きな扉がそこにはあった。
迷う必要はない。
ボクは扉を開いて、その中へと踏み出した……
主要キャラ解説
『雨傘 海』
この作品の主人公で、この時点で心身共に15歳。精神年齢が大人という主人公が多い中で珍しい高校生ですらない子供。
過去にトラウマを持っていて、主人公は周りが覚えていないのを良いことに自分も忘れようとしたが、トラウマの内容を覚えていないだけで、結局根暗になってしまった。
昔は大の悪戯好きだった。
家柄は良い勝ち組で、なんか雨傘家で代々受け継がれている門外不出の武術を使えるとかいう作者の黒歴史的厨二設定がある。
『雨傘 舞花』
主人公の義理の妹。
元々は雨傘家の分家筋の生まれ、色々あって一族がほぼ全滅したので引き取られたのだけど、この小説には全く関係の無い設定なので詳しくは、作者の気が向いたらそれ関係の説明が必要な小説書くかも。
昔は主人公の事が好きだったけど、主人公が根暗になってから鞍替えした。
「いってきます」の一言しか台詞がなかったが今後の登場予定あり。
『雨傘真凛』
こっちは主人公の実の姉。
過去の主人公に多大な影響を与えた人物だが、今のところ登場予定は皆無。
実は作者が書いてる(今のところ公開するとは言っていない)他の小説には登場する。
『空皆悠斗』
主人公の幼馴染みの一人であり、親友。
口数が少ない、と言うかコミュ障になった主人公が虐められていないのは彼と蓮のお陰。
異世界で魔王となる。
ただし、第一部での出番はもうない。
ちなみに全三部構成の予定。
『神崎蓮』
主人公の友人。
テンプレモテモテ主人公設定。
主人公の海と同じように過去にトラウマをもっているという主人公らしい設定がある。
他作品の勇者を見てみると、ワザとウザく設定されてるモノも多いが、本物の人格者だけど苦悩もさせたり、第二の主人公を目指したキャラクター像で書いていくつもり。
まぁ悠斗と同じで一部での出番はもう無いのだけど。
『謎の声の人物』
取り敢えず神様ではない。
今後も度々出てきます。
『転生者』
今のところ、名前すら出ていないけど、かなりの重要人物。