1話
どうしてこうなった。
いつもと変わらない部屋の温度
いつもと変わらない部屋の暗さ
しかし
時計が狂い、パソコンもフリーズし、さらには天井からノートパソコンぽい物が俺の後ろに落っこちて来た。それも全て一瞬のことだ。
そう
この『NP迷宮オンライン』のチュートリアルが終わって、さあ始めようと思った時だ。
時は1時間前に遡る。
部屋の掃除をしていたらいきなり出て来た、見覚えのない四角いゲーム機、大きさはP◯Pくらい、ボタンには何も書いてないが、構造もそっくりだが一箇所だけ違う。電源ボタンが左側にある十字キーの近くに設定してあることだ。なんとも危険な場所に設定してある。シャレにならない、主に手汗で滑った時とか。
電源ボタンをおしてみる。
電源が入った、充電は残っていたようだ。画面には大きく『NP迷宮オンライン』と白黒で書いてある。適当に電源ボタン以外をボタンを押してみる。反応があった。右側の一番右のボタンだ、そこはよく、丸やAの決定ボタンの配置の場所だ。そんなもんなんだろうか。
次の画面には質問が書いてある、各種プレイヤー設定なのだろうか。
1.性格選択
もちろん男だ。ネカマはしない。
2.年齢
20歳だ。大学は途中でやめた。
3.身長
183cm 日本人にしてはめぐまれている身長だろう
4.体重
76kg 少し太っているくらいだ
5.好きな武器をこの中から選べ
・ 剣
・ 槍
・ 弓
・ 杖
・ 拳
圧倒的リーチが長い『槍』にする。他のは却下だ、次点で剣だな。
6.好きな盾をこの中から選べ
・小手
・小盾
・盾
・大盾
小盾を選択する、使いやすそうだ。
7.好きな属性をこの中から選べ
炎
水
風
風を選択。何と無くだ。
8.ニックネームを決めてください
ジラーフ
これは学生時代につけられたアダ名を英語にしたものだ、背が高いのも苦労する。
9.ステータスを割り振ってください
筋力.0
体力.0
技量.0
速さ.0
賢さ.0
残りポイント.20
なんだかよくわからないが数字が出てきた。よくあるRPGゲームのステータスの割り振りってところでいいのだろうか。カチカチとボタンを押して、自分の性格にあうような割り振りをし、悩んだ結果このようになった。
筋力.4
体力.3
技量.5
速さ.7
賢さ.1
残りポイント.0
一種類の極振りはしない。筋力20の脳筋も考えたが、途中でつまらなくなりそうな予感がする。だからやめておく。
この設定でよろしいですか?
YES/NO
YESを選択、不備はなかったようだ。そうして冒頭に戻る、いきなり固形物が降って来たり、時計が狂ったりで、混乱している状態だ、とりあえず降って来たものであるノートパソコンのような物をデスクに乗せて起動させてみる。
NP迷宮オンライン
これまたデカデカと書いてある、そして、 恐る恐るエンターキーを押す
画面が変わった、認証中のようだ。
なんだか愉快な気分になれる気がする画像とともに、BGMが流れてきた、認証完了のようだ。画面真ん中にSTARTと書いてある。早速Enterを押す。
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NPオンラインへようこそ、このゲームは言わずもがなオンライン、だがシングルでやっても良し、みんなで集まってやるのも良しのコミュ症でも歓喜のリアルRPGとなっています。このゲームのストーリー的な目標はありません、ガンガン迷宮に入って最強を目指すのも良し、安定した生活をしてそのままニートで過ごすのも良し、プレイヤーの自由です。もちろん全てリアルですが、死んだら自分の部屋で復活します。その際のペナルティは、お金が半分になることです。とまあ、いろいろと説明しなければなりませんが正直めんどくさいのでパートナーを授けます。いろいろ聞いちゃってください。『習うより慣れよ』ですよ。
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ずらずらと書かれた文体を一通り見て最後の行を読むと“パチッ!”と音が後ろでしたので振り返るとともに、六芒星の魔法陣(笑)が現れて黄色に光っている。光が真ん中に集まりだし人の形になっていく。
なんてこったい
安そうな服を着た普通の女性だ。これと言って特徴がない。杖を持っている。
「私の名前はルクエ、今後ともヨロシクね、私のマスターさん」
自己紹介してきた。ここは紳士的な対応をするべきだ、と感が言ってる。
「ちょっとよくわからないけど俺の名前は ジラーフだ。よろしくな、ルクエ。」
「んー、40点てとこかな、硬いよ、マスター、もう少しリラックスしよう」
言われたので深呼吸、ハァーハァー、うん。今自分すごくテンパってる。
「とりあえず何も知らないマスターに知識をつけてもらわないと困るから、これをあげる。」
どっから取り出したのか検討着かないが、ぶっとい本と大きな箱を渡してきた。本はマニュアルのようだ。見るのが面倒いし俺は、説明書は読まない派だ。机に置く。ついでに箱も床に置く。
「ほとんどの人はその本の中身は見ないわ、だって面倒だもの。」
「じゃあなんで渡してきたんだよ?」
「一応通過儀礼なんで。」
「こっちの箱はなんだ?」
「アイテムボックスよ。」
「なんでも入る不思議なアレか。」
「そうね、私もわからない。」
簡単な言葉のキャッチボールが続く、あんまり会話は得意では無い。
「とりあえず、ネットの掲示板のまとめを見るといいわ。初心者に必要な情報が手に入ると思うぞ。」
ネット、普通のパソコンと変わらないが選択肢が出ている。
1.ステータス
2.買い物
3.BBS
4.パートナー
BBSを使う。中学校、高校と今まで、よくやってきたことだ。表記に感慨深い。
スレッド一覧から初心者スレを選ぶ。っていうかそれしかない。
★☆★☆★☆
1 名前:権兵衛
よくわからないゲームに手を出したらいつの間にかよくわからないパートナーと冒険の旅に出ることになってしまった。そこのあんた。耳の穴かっぽじってよく聞けよ。
俺もだ…orz
ということで旅は道ずれ世は情けってことでみんなでこのゲームについてよく知ろう。
2 名前:権兵衛さん
しまった!母ちゃんに買い物頼まれてた。このゲーム面白そうだけど、買い物にいかなきゃw
3 名前:権兵衛さん
<<2
よくまあこんな時に買い物に行く気になったな、尊敬するわwwwパートナーどうすんだよwww
4 名前:権兵衛さん
部屋を出ようと思って扉を開けたら広くて白い空間になってて、で変な球体が浮かんでた。外に出れない(;_;)
5 名前:権兵衛さん
俺の方も一緒だ。窓の外を見ても真っ暗で光が見えない、眠らない町東京のはずなのにな。白い空間だけだ。
6 名前:権兵衛さん
マニュアル読んだ?このゲームログアウトできないみたいだよ。
7 名前:権兵衛さん
マジか
8 名前:権兵衛さん
助けてママー
9 名前:権兵衛さん
ママー(T ^ T)
10 名前:権兵衛さん
異常なマザコン率www
11 名前:権兵衛さん
冗談はやめといてこれからどうするよ、腹減ってきたんだが、何も食いもんないし…
12 名前:権兵衛さん
カロリーメ◯ト常備してないとか情弱乙wwww
この後も関係ない内容が続く、やはり急な環境の変化によってみんなストレスが溜まっているようだ。というよりこのゲームって誰も玄人プレイヤーは居ないのかと真剣に考える。
24 名前:権兵衛さん
この中で玄人プレイヤーっている?スレが一つしかないってのも気になるし…
25名前:権兵衛さん
俺もそれ気になる、逆に今日初めてだよって人挙手してくれないか?
26 名前:権兵衛さん
( ^ω^ )/
27 名前:権兵衛さん
( ^ω^ )/
28 名前:権兵衛さん
( ^ω^ )/
29 名前:権兵衛さん
( ^ω^ )/
30 名前:権兵衛さん
ほとんど初心者と見てもいいようだな。それにしても誰かまともな人居ないのかな?
31 名前:権兵衛さん
マニュアル全部読んだよ( ^ω^ )
32 名前:権兵衛さん
救世主キターーー!!
33 名前:権兵衛さん
キターー!
34 名前:権兵衛さん
よく、あれ読む気になったよな……
35 名前:権兵衛さん
<<34
パートナーが超スパルタでして…
36 名前:権兵衛さん
かわいそうに…俺のパートナーはかわい子ちゃんだよ、今も膝に乗ってるし…
37 名前:権兵衛さん
<<36
裏山死刑
★☆★☆★☆
とまあこんな感じで妙にテンションの高い住人達が、かくかくしかじか言ってるうちに大事なことはメモることができが情報が少ない。パソコンをそっと閉じる。
ルクエは寝ていた。
そっと移動してドアを開けると、やはり白い空間で球体が浮いている。
「だいたいわかった?暇すぎて寝ちゃったけど。」
「うん。わかったよ。とりあえずBBS見るのもいいけど迷宮にいきたくなってね。」
「装備も持たずにどこに行くつもりだよ」
「あ、忘れてた。確かアイテムボックスに入ってるんだっけ、初期装備って。」
ため息をつくルクエ。俺はアイテムボックスを開けて中身を確認する。
10個入っていた。
錆びた槍
錆びた小盾
道具袋
薬草x5
大銅貨x2
道具袋に薬草と金を入れていざ出発だ。と、その前に。ステータスをパソコンでみておく。
名前:ジラーフ
性別:男
持ち金:200GP
レベル:lv1
職業:槍使い
職業スキル
槍術:lv1
小盾術:lv1
風魔術:lv1
スキル
クイックlv1
装備
武器:錆びた槍
盾 :錆びた小盾
鎧 :布っぽい服
装飾:なし
これ以上の記載はない。大同銅貨1枚100GPということがわかった。最初に振り分けたステータスってなんだったんだろうか。ついでにパートナーのところも押してみる。
ステータスを割り振ってください
筋力.0
体力.0
技量.0
速さ.0
賢さ.0
残りポイント.20
案の定またもやスキル割り振りがある。サポーター向きの傾向にする。
ステータスを割り振ってください
筋力.1
体力.3
技量.5
速さ.1
賢さ.10
残りポイント.0
いわゆる後衛タイプのステータスができた。これで後ろは任せれるかな。認証完了のようだ、っていうか最初から杖持ってるってことは後衛が前提だったのかもしれない。
ルクエのステータスが表示される。
名前:ルクエ
性別:女
レベル:lv1
職業:呪文使い
職業スキル
杖術:lv1
火魔術:lv1
水魔術:lv1
回復魔術lv1
スキル
バーンlv1
ウォータlv1
ヒールlv1
装備
武器:木の杖
盾 :なし
鎧 :布っぽい服
装飾:なし
とのことだ。回復魔法を覚えているのはステータス割り振りが良かったのかもしれない。逆を言えば、回復魔法を持たないで迷宮に入ってしまう可能性があった。
ということで、迷宮に出発だ。行き方は至ってイージー、白い空間で浮いている球体に触ればいいだけだ。行ける場所は最初は“草原”だけ、チュートリアルのようなものなのだろうか。
とりあえず、レッツ迷宮へ
GO
圧倒的説明と描写が足りないと思いますので疑問点等がある場合感想に書いてくれたら、うれしいです。次回の前書きに補足します