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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
アディラの戦い 3
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アディラの戦い 8

  18部 戦闘の後に


 アディラは、駐屯地の様子を確認した。

「やっぱり、物資は逃がしてある……」

 期待をしていた敵の物資は、持ち去られたか? 使用不能にされているか? の、どちらかだ。

 小麦粉の袋を開けてみると、中には汚泥が混じったドロドロの黒い物体が入っていた。

 使えそうな武器も無く、何度もこまめに補給を行うことのできる、敵の地の利を最大限に使った方法であった。

「フザケルな! 駐屯地さえ取れば食料が手に入ると言ったのに!」

 近くにあるテントを踏み潰しながらそう言い出す兵士。

 食料は一番の問題であった。食料はことごとく食べることができないようになっているのを見て、『これも、噂の炊事兵の仕業か?』と、考える。

 この状況は、半分隊長も予想をしていたことらしく、苦虫を噛み潰したような顔をしている。

「撤退をするべき……なんだけど……」

 どう見ても兵に力は無く、腹を減らしている。今回の戦いで、士気はすり減らしてしまっているし、今回、物資を得る事ができなかったことで、士気は落ちるところまで落ちてしまった。

 だが、隊長とファラリスのため、この戦いには勝たねばならないのだ。

「おい! 厨房にシチューがあるぞ!」

 ふと、その声を聞いたアディラ。アディラは厨房に向かっていく。ここまで用意周到に物資を破壊しておいて、シチューが残っているというのは不自然極まりなかった。

 アディラが炊事兵だったら、敵に食べられないように床にでもぶちまけていた事だろう。それがそのまま残っているのだ。

「まだあったかいぞ! このシチュー!」

 そう言うと、周囲から「おおー!」という、感嘆の声が聞こえてくる。

「早まるな! 敵の罠かもしれん!」

 そう言い、アディラは厨房のテントに向かっていった。


 そのテントには、兵士達が人垣を作っていた。その人垣をかき分けて、中に向かっているアディラ。

 おたまで、すくい上げたシチューを、おたまから吸う兵士

「やめろ! 毒かもしれんぞ!」

 そう言って止めようとするアディラだが、

 兵士達は、その言葉を聞きはしない。

「順番だ! 順番!」

 そう声が上がり、この厨房に用意をされている皿とスプーンを持つ兵士たち。

「これは、止められないか……」

 アディラは。この状況を見て、呆然としていた。彼の言葉には誰も耳を貸さず、目の前のシチューの事しか考えていない。

「兵士達は飢えているし、仕方ないか……」

 そう考えながら、シチューが毒入りでは無いことを祈るアディラ。

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