ラディンの場合 6
そして、あの名家の娘という女子隊員を落として、上手く結婚をし、名家の地位と家柄を手に入れる。
「理想としてはそんなもんだが、問題は隊長があの子の事を気に入っているって事と、シャムロックに一回勝ってしまった事だな……」
シャムロックは絶対に自分に敵意を持っているだろう。その事を考えると、憂鬱になってくる。
「もう、こんな所で一人で考えていても仕方がない!」
そう思ったラディンは外から入ってくる光を見つめた。
高いところに一つある小さな窓からは、星の光がこぼれてくる。
その星の光を、ぼう……っと眺めるラディンは、これからの事を考えて頭を悩ませるのは、今はやめておく。
今は、明日のためにまどろみの中に沈もうとしていたのだ。
そこに、ドアを『コンコン……』と叩く音が聞こえた。
「どうぞ」
ラディンは、誰が入ってくるかわからないため、そう答えた。これが、隊長かなんかだったら、大変失礼極まりない事になっていたはずだ。
ドアの向こう側から顔を出したのは、一人のメイドだった。
『このメイド……レナードが可愛いって言ってた……』
彼女の顔を、じっ……と見つめながら考えるラディン。
「あの……私の顔に何か……?」
緊張をした感じのその子は、ラディンの事を怯えたような顔で見ていた。
「いえ……私の部屋に、どのようなご用向きですか?」
この王宮に入る直前に、猛勉強をして覚えた丁寧語を使って答えるラディン。
「これから……あなたのお世話をする事になりました、メイドのアディセです……」
『メイドがお世話……?』
ラディンは首をかしげた。いくら親衛隊といっても、メイドが一人付いて世話までしてくれるものなのだろうか?
『まあ、明日レナードにでも聞いてみるか……』
そう考えたラディンは、アディセの事を見て、ニヤリと笑った。
それで、ビクンと体をこわばらせるアディセ。それに気づき、顔をアディセから外してラディンは言う。
「なんでもありませんよ。これから、お世話をよろしくお願いします」
とりあえず、そう言っておいたラディン。なんにせよ、彼女が自分の世話についたのは好都合である。彼女のおかげで、明日からレナードと仲良くするための指針ができたというものだ。




