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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
ラディンの場合 6
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ラディンの場合 28

『これはキツい……』

 ラディンは薬の効果で腹が痛んでいる。

 ラディンは調子が悪いのを隠すことができず、重い足取りで王宮の中をパトロールしていた。

「どうしたんだい? カゼかなんか?」

『これって、カゼに見えるのか?』

 腹を押さえているラディンは思った。レナードも、少しぐらいは察してくれてもいいのではないか? と思うが、これは、自分で下剤を飲んだ結果であるのだ。

 レナードの事を怒るのはお門違いだ。そう思い直し、ラディンはレナードに向けて言う。

「ちょっと胃腸カゼみたいだ……」

 ラディンが言うと、レナードは顎に手を当てて考え出した。

「今日の正午の決闘は……大丈夫か……?」

 ある意味準備は万全である。調子が悪いのは、シャムロックの策略によるもの。シャムロックは、この状態のラディンを見てほくそ笑んでいる事だろう。

「騎士ラディン。そんな様子で大丈夫か?」

 その声をした方を見ると、顔をニヤつかせたシャムロックがいた。その後ろにはアディセもいる。

『アディセと一緒に、俺の様子を確認に来たのか……』

 大体そんなところだろうと考えたラディンは、シャムロックの陰険さに、少しイラついた。

 だが、そんな事は顔にも出さず、シャムロックを見つけたレナードとラディンは、敬礼をした。

「その様子じゃ、正午の決闘は、無理そうだな? 棄権するか?」

『正直、そうしたい……』ラディンの本心はそれであった。

 一瞬、『棄権をすればそれでシャムロックの勝ちになるから、それでもいいかな?』などと考えそうになったが、すぐにその考えを振り切る。

 シャムロックは勝負に勝ちたいのではなく、ラディンに負けたままなのが嫌なのだ。

 シャムロックは、ラディンの事を自分の剣で叩きのめす事を望んでいるのだ。

「決闘から逃げる事は、騎士の誇りが許しません」

 ラディンはとりあえずそれっぽい事を言っておく。

「田舎出で、つい数日前までただの庶民だった君が、騎士の誇りなんて語るのかい? 本物の騎士である私から見れば、そんな誇りなんて無いも同じだ」

『ジョークのセンスが無いようだな……何が本物の騎士だ……人に下剤を盛ったくせに……』

 腹が痛いと、イライラする。シャムロックの言葉を聞いて、カンに触ったラディン。だが、ここで怒ってしまってはいけない。怒りを抑えながらラディンは言う。

「私はまだ未熟です。ですが、この誇りは本物であると思っています。いくらシャムロック様でも、それを侮辱する事は許しません」

 イライラで、視線が鋭くなっているラディンは言う。

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