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剣と厨房。二人の成り上がり。  作者: 岩戸 勇太
ラディンの場合 4
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ラディンの場合 16

 七部  レクステの言葉。


「これで、約束は果たしたぞ。お前との付き合いはこれっきりだからな」

 それは、城下町の喫茶店で、ラディンとレクステが一緒のテーブルに座っている時だった。

「約束? そこだが、レナードはお前に何を言ったんだ?」

 ラディンが言うと、忌々しげに「ふん……」と、一回鼻を鳴らしたレクステが言う。

「『一回でいいから、一緒にお茶をしたい』とか言っていたぞ」

 レナードはそんなふうに言っていたらしい。これでは、レナードには罪はない。これだけの事で、レクステがあんなに怒るなどとは思わないものだろう。

 ラディンは、レナードの事を思い出す。

「お茶をするだけで、決闘に勝たなきゃならんか……お前は一体、どこまでお高く止まっているんだよ……」

「私は、高貴な出だ。田舎から出てきた下賎な男など、私と会話をできるだけ、幸運だと思え」

「その下賎な男に負けたくせに……」

「ふん……」と、鼻を鳴らしながら言うラディン。それを言うと、レクステは、「キッ……」とラディンの事を睨んだ。

「あんな卑怯な真似を使うとは、騎士の風上にも置けない奴だ! あんなものを負けとは認めん!」

「完全に大負けだろう? お前泣いちゃってたし」

「きーさーまー!!」

 レクステに、挑発をするラディン。レクステはそれに、ものの見事に乗ってしまっている。

「可愛い奴だな……」

 ニヤリと笑ってレクステに向けて言うラディン。

「なっ……何をいきなり……私が可愛いなどと……」

 レクステは驚きながら言う。

「そうやって、俺の言葉一つで、泣いたり、笑ったり、恥ずかしがったり。もうちっと、人の煽りに耐性を付けたらどうだ?」

 ラディンはまたも笑いながら言う。

「なっ……なんだと! 私をバカにしたのかぁぁあぁ!」

 そう言い、レクステは、机越しにラディンの事を殴るために拳を振り上げた。

 ラディンはそれでも微動だにしなかった。

 レクステの拳は、ラディンにまでは届かず、ラディンの前でとまってしまう。

「この距離で届くわけがないだろう」

 ラディンは言うと、ジュースのコップからストローを抜いた。

「こういう物を、何か持たないと」

 そう言って、ストローの先でレクステの額をつついた。

 怒りは当然覚めていない。だが、これ以上やっても手玉に取られるだけだと感じたのか? レクステは椅子に座った。

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