フルータの場合13
これは高貴とか高飛車とかいう前の、女の嫉妬に近いようなものなのだろうか? と、思う。
「何? 今何かを考えた?」
ギロリとした目でフルータの事を睨むレイティ。
「まあ、女性の目から見れば、そう思うのかもしれないけど……」
「じょ、せ、い、の、め、か、ら?」
さらに顔を近づけてくるレイティ。
『どうしたもんか……?』
フルータはそう思う。
「何を考えているのかな? そういう余計なことを考えているから、余計に腹の中が気になってくるんだよ」
それを聞いたフルータは、ドキリとした。自分が、言葉を考えて波風立てないようにしているのが、レイティには伝わっているらしい。
「別に本音を言ってくれればいいじゃない……どう? メイド服って可愛いよね? フルータもそう思っているんだよね?」
そこまで言われれば仕方がない。フルータは、冷静になって偽りのない本音を言う。
「正直、どうでもいい。メイドの服装なんて、気にならないね。豪華なドレスとかを眺めている方が、僕としては好みだ」
「ふーん……」
それに何を思ったのか? レイティはフルータから顔を外した。
「まあいいわ。豪華なドレスの方が好きなら、それでいいと思うわね」
そう言い、フルータの先を歩いていく。厨房にまで先に歩いて行ったレイティの足取りは、幾分早足になっているような気がした。
『今日、厨房の仕事が終わったら、庭園に来るように』
厨房での仕事中、レイティからそう言われた。
なぜか、レイティがセルダの事を睨んでいたような気がするが、それは、いつもの事なので、気にとめていなかった。
今は、庭園の机と椅子の並べられた一角に着いている。その時のことを思い出しながら、フルータは思う。
セルダは、レイティの隙を見て、一言だけフルータに向けて言う。
「お前……狙われてるぞ……」
そう言ったセルダだが、その直後に背中に刺すような視線を感じ、セルダとフルータはふたり揃って振り返った。
「相変わらずセルダは……」
そうレイティが一言言うと、セルダはレイティによって叩き伏せられていた。
「相変わらずキミは強いな……どこかの道場で、格闘技でも学んでいたのか……?」
フルータが言うのに、レイティはセルダの首を絞めながら言った。
「まあ、私くらいのお嬢様にもなると、危険なことも多いからね。護身術は一通り叩き込まれているよ」
「お嬢様がそんな事をするのか……?」
自分の想像するお嬢様の像と違うのを感じたフルータ。
「だが、こいつが、自衛のために武術を使った事は一度もないけどな……」
そうセルダが言うと、レイティはさらにセルダの事を締め上げた。
「ご忠告には感謝するが、そういう余計な事を言うから、自分の首を絞めるし、レイティに首を締められるんだぞ……」
フルータはそう言う。だが、レイティの腕をパンパン叩きながらレイティの腕から逃れようとしているセルダに、それが伝わっているようには見えなかった。
「まったく……どうしてこいつはそこまで嫌味臭いんだろうねぇ?」
レイティがそう言ってセルダの首から手を離した。
「お前が危険だからな、フルータにお前が危険なのを教えてやっているんだぞ……」
セルダが最後まで言うと、また、レイティに叩き伏せられた。
「もう、つっこむ言葉も思いつかないよ……」
フルータはいつまでも懲りないセルダを見て、心底からそう思った。レイティに叩き伏せられる彼の姿を見て、フルータもため息が漏れてきたのだ。




