詩パック「崩壊していく塔」「サーフィン」「私は残虐な咆哮を持っている。」「絵筆」
理由は前回と同じです
○崩壊していく塔
「塔が、塔が倒れる!」
拡声器からの声はノイズが混ざっています。
落下する部屋の中に居ます。
あと少しで地に打ち付けられるのか、
海へと突き刺さるのか、
ここにいてはよくわかりません。
石の壁や本棚が子供のように暴れています。
窓の外は薄暗く、この塔も薄暗く。
私は自由です。
いつだって逃げられるし、
いつだって終わらせられる。
破壊の連続の中、
私はスピード感を感じ、
混迷の中で、
私は生きているらしく。
○サーフィン
ささやかな日常のなかにいて、
取り込まれているのか、
あるいは、
どこかの海岸でサーフィンをするかのように生きているのか、
どちらだろう?
彼女はどちらにいるのだろう?
○私は残虐な咆哮を持っている。
私は残虐な咆哮を持っている。
私はいよいよそれを出そうと思う。
出さなければならないのだ。
結果は見えない。
路線が見えない。
しかし私はとっかかりを作らねばならぬのだ。
それが一筋のささくれであっても。
○絵筆
俺は絵筆を見ている。折れた絵筆を見ている。
折られた? さあ? 形容に今は興味はない。
その折れたところを注意深く見る。
真冬の竹ぼうきのようにささくれだっている。
俺はこれで何かを描くのか? 違う。
なぜ俺はこれを見続けている?
そうだ。
この絵筆は俺の一部ととてもよく似ている。