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想武伝  作者: 伊藤 陽己
プロローグ
5/15

儀式

藍川様のおかげで、原作が戻ってまいりました!!

この「想武伝」とは別で投稿しております。

よければ、見ていただけると嬉しいです★

(相変わらず、綺麗な顔してるなぁ)


本来の姿の琴羽はかっこいいというよりきれいだ。

信塚家は代々、家元が家督をしている。

信塚家で唯一の子息である琴羽は将来を約束されているも同然なのだが、

厳しい家族のもと稽古をつけられている。


その結果琴羽は女装することで女の子の琴羽と、本来の男の琴羽を使い分けることができている。

本人は女の子でいることを嫌がっているが。


「那津遅かったが?」


「ごめん、お父さんに掴まっちゃった。」


「確か今日は二人で儀式をするんだよな」


那津はうん、とうなずいた。


「琴羽、刀は?」


「さっき保尊さんに貸してもらった。」


「儀式の手順は?」


「まず、文字が書いてある一束の紙を円になるように並べる。次にその円の中心で刀を構える。そして自分で書いた文字の紙を投げて切る。」

「はい、よくできました。」


―ドクン―


そう言って笑った那津の笑顔に琴羽の心がときめいてしまった。


(好き...だけど、俺の長い初恋が結ばれることはない)


琴羽は胸の奥に芽生えた恋という名の想いを無理やり見て見ぬふりをした。

いつかは家を継がなければならない。

そうなれば、家に見合う家柄の女性と結婚することになるだろう。好きでもない初めて会う人と。


「那津って俺のことバカって思ってるの?」


「んー、普通よりバカとは思ってる。」


那津はいたずらっ子のようにペロッと舌を出した。


「お前正直に答えすぎ。少しは可愛く振る舞えよ。」


琴羽はわざと憎たらしく言った。


(俺は那津がこんな風に素直に言ってくれるからずっと一緒にいるのかもな)


「可愛くなくて悪かったですね!!!!いいよ、桐妻先輩は『可愛い』って言ってくれるし!!!」


琴羽は桐妻という名を聞き、心の中が暗い色に染められるのを感じた。

尊敬する先輩でもあり、ライバルでもある桐妻 泉矢。

入学したときから、琴羽は「絶対超えてやる。」と誓っている。

那津はそんな琴羽の気持ちも知らずに那津は張り切った。


「さて、そろそろ用意をしようか。」


那津と琴羽は道場の倉庫から文字の書いてある一束の紙と刀を出し、紙を円になるように並べた。

そしてその円の中心で刀を構えた。


「琴羽、準備はいい?これはタイミングが大切だよ。」


「言われなくても分かってる。集中しろ。」


那津と琴羽は深呼吸して同時に持っていた札を投げた。


「「はあ!!!」」


2つの札が同時に切られた。

その途端

円になるよう並べていた紙が光り、光の洪水が那津と琴羽を包み込んだ。


「きゃぁぁぁ――!!!」

「那津―――――――!!!」



「二人は行ったんですね。」


「春さん。」


保尊と春は道場に足を運んだ。


「何であの子たちなの...」


春は瞳に涙を浮かべた。


「いざとなったら俺もあちら側へ行く。」


「...はい。ですが。」


「春さん、大丈夫だ。あの二人なら俺は必要ない。」


―どうか二人とも無事で、必ず戻ってきて―



春は保尊に微笑んだ。


「お義父様とうさまがいるから大丈夫よね...」


保尊は春をそっと抱きしめた。

春は保尊の肩で体を震わせ涙を零した。


「大丈夫だ、必ず戻ってくる。あの二人なら『ただいま、疲れたよ』って笑って帰ってきてくれる。」


―父さん、後は頼みました。

 那津と琴羽を守ってください―


那津の両親はあちら側に行ってしまった子供たちを思った。

お疲れ様でした。

前回の話では、琴羽だったので今回も琴羽中心で書いてみました!!

皆様のご意見・ご感想、お待ちしております!!!

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