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想武伝  作者: 伊藤 陽己
プロローグ
3/15

家族

頑張りました...

最近、暑いですね...

―放課後


「...今朝のは何だったんだろう?」


那津は琴羽と再び、登校時の道を帰っていた。

今日は偶々(たまたま)、剣道の部活動がなかったため、いつもより早く家路についている。


「どうしたのよ?朝から様子がおかしかったけど。」


「何でもないよ。」


何も話さない那津に琴羽は首を傾げた。

那津は琴羽に何でも話すが、嘘は付いていない代わりに今日は何も話さない。


「変なナっちゃん。」


「ほっといて。そういえば、今日するんだよね。」


那津は琴羽を睨むと、今日の予定を思い出した。

琴羽は、あぁ、と頷く。


「うん、やっぱりするんだね...儀式とやらを。」


二人は同時に溜息をつき、この後出会うであろう那津の父に思いを馳せた。


(今日か。面倒だなぁ。)


(何故、今なんですか...) 




―那津の家に帰宅


「遅いっ!!」


那津の家へと入った途端、二人の耳を痛めさせるほどの大声が鳴った。


「...お父さん、少しは声の大きさを控えて。」


那津は己の父、九条 保尊やすたかを見た。

175㎝はある体を、ドンッと鳴らしてこちらに向かう姿は巨人のようだ。

保尊は自分の体を「鍛え上げられた体」と剣道道場の弟子たちに見せびらかしては、

那津の母、九条 はるに叱られている。

母曰く、「暑苦しい」そうだ。


「お前達が帰ってくる時間が遅いからだ!!!」


「学校だから仕方ないんですって、保尊さん。」


琴羽は苦笑いしながらも「まあまあ。」と保尊をなだめている。

家の奥から着物の擦れている音と共に足音が那津達に近づいてきた。

この家の中で着物を常に着ている人物は一人しかいない。


「ただいま、母さん。」


那津は頭を自分の前に立っている母に笑顔を向けた。

那津の母、春も微笑みを顔に宿して帰ってきた那津と琴羽を迎える。


「お帰りなさい。那津も琴君もお疲れ様。」


春は那津よりも少し背は小さいが、日本人女性の平均の高さだ。

髪は後ろで団子にまとめていて、さながら旅館の女将である。

さりげなく、那津と琴羽の荷物を持つ姿はやはり子を気遣う母。

春と琴羽は血は繋がっていないが、春にとって小さい頃から見てきた琴羽は子に等しい。


「まったく、保尊さんも少しは我慢してください。二人とも疲れているんです。」


知らん顔する保尊と子を叱るように言う春の様子は見ている方も口が緩む。

那津や琴羽が小さい頃から、この夫婦はこんな調子だ。

はたから見れば、姉と弟とも見れる。


「知らん。それよりも今日は何をするか分かっているだろうな?」


横から春が「『それより』ってなんですか!?酷いです保尊さん。」と言っていても、保尊はどこ吹く風。

那津は、「やっぱり、するのか。」と頭の中で呟いた。

琴羽は複雑そうに答えた。


「儀式ですよね?」

どうでしたでしょうか?

皆様のご意見・ご感想、お待ちしております!!

春さんは伊藤の理想の母の姿かもしれませんねえ。

優しく、時に厳しく...芯の強い女性。

いいですねぇ。

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