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第4話

…思い出した!

僕は映し出されたディスプレイを見ながら、ため息をつくと机に突っ伏した。


そうだ、さっきまでは夢の中だと思っていたから、日頃女の子に間違えられる事が多くて、イライラしていたのをついぶちまけてしまったのだ。

いっそのこと女の子になるべきだと。


何て馬鹿なことをしてしまったんだ僕は…。キャンセルとかは効かないのかな?

顔を上げ、美晴さんに聞いてみた。


「美晴さん、すみません。元の男の子の体に戻すことは可能ですか?」


「うーん、可能と言えば可能ですが…」


「戻せるのなら、ぜひお願いします!」


冷静に考えたら女の子の体なんてまっぴら御免だ。

体が元に戻れるのなら戻したい。


「その代わり、貴方は死んだ後、地獄に行きますよ?それでもいいんですか?」


「はい?地獄…ですか?」


地獄、地獄ってあの針とか血の池とかがある恐ろしい場所のことか?罪人が死んだ後に行くとか言われている…なんで突然そんな話に?


「ええ、既にあなたの手続きは完了しています。いくつかの能力付与も含めてですね。それらを全て無かったことにするためには、今度はあなたのカルマポイントを使用することになります」


「カルマポイント?」


またなんか知らない言葉が出てきたぞ。


「はい、カルマ、罪、つまりは罪人ポイントですね。人は罪を犯すとカルマポイントが加算されていきます。善行を積むとポイントが減算される感じですね。そして、人生を終えた時点のカルマポイントの値で天国か地獄か、また別の人生を歩むかが決まります。貴方を男性に戻すためには、そうですね…ざっと300年ぐらい地獄でポイントを清算してもらう形になりますね」


「300年…」


ポイントを使用するということは、能力を無くしたり、性別を戻すのにポイントが使われるということか。

美晴さんは補償と言っていたから、性別の変更と能力付与は無料だったんだな。

それにしても元に戻すのに300年分のポイントって、どんだけ能力付与したんだよ。

うう、さすがに地獄には行きたくないな。

これはあきらめて女の子としての人生を歩んでいくしかないのか…。


僕は顔を両手で挟んでみた。

「この顔も自分がこうなることを決めたんですね」

「はい、そうなります」


僕は男の子の時よりも少し伸びた髪を指に絡めてみた。

「この髪も自分がこうなることを決めたんですね」

「はい、そうなります」


僕は女の子として自己主張しているおっぱいを軽くさわってみた。

「このおっぱいも自分がこうなることを決めたんですね」

「いえ、それは私の趣味です」


あんたの趣味かよ!

というか、あんたの要望も取り入れているのかよ!

能力付与のいくつかもこの人の趣味が入っていそうで怖いな。

あー、でももう変更効かないなら慣れるしかないのか…。


「…わかりました。不本意ですが、女の子として生きてみようと思います。なんとか…頑張って…」


美晴さんはほっとした様子で話しかけてきた。


「そうですか、安心しました。この度は私どもの不手際で東雲さんにはご迷惑をおかけしました。出来る限りの補償はさせていただきましたので、ご安心してください」


先ほどのやり取りを見ていると、あんまり安心出来ないんだけど。


これから女の子としてどうやって生きていけばいいのかとりとめもなく考えていたら、いつのまにか部屋の様子がうす暗くなってきた。

まぶたが重くなってだんだん目を開けていられなくなる。


「何かありましたら名刺の番号にご連絡してください。特に困ることがないようにしてはおりますが、念のため」


どうやら、話は終わったらしい。

目が完全に閉じられる前に、美晴さんのにこやかな顔が目に入ってきた。


「それでは、良い人生を」


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