第1話
ピピピ…ピピピ…と目覚まし時計のアラーム音が鳴り始める。
僕は寝ぼけまなこをこすりながら、枕元にあった目覚ましのアラームを止めた。
時間は朝6時。
うっすらと朝日がカーテンの隙間から差し込んでいる。
春休みなのだからもう少しゆっくり寝ていても良いところだが、もうすぐ学校が始まることもあり、昨日からこの時間に起きるようにしている。
まずは着替えてジョギングに行かなくちゃ…。
特に運動系の部活をしていた訳ではないが、体力づくりのためジョギングを日課にしている。
ベットから起き上がり、ジョギング用のジャージがしまってあるクローゼットを開けた。
ジョギングのあとはみんなの朝食の用意。今日は何にしようかな、昨日は目玉焼きだったから、スクランブルエッグにしようか…。
と朝食のメニューを考えながら、パジャマの上着のボタンをプチプチと外したところで違和感に気付いた。
「なんだ、これ…」
パジャマの下に着ていたTシャツがはち切れんばかりに膨らんでいる。
なんかのヤバい病気なのかと焦り、とりあえず触ってみた。
「ひぅ…」
痛みは無かったが、変な感覚に思わず声が出てしまった。
むにゅむにゅとやわらかい。
僕は意を決してTシャツをまくってみることにした。
クローゼットの扉の裏側についている鏡をおそるおそる見てみると、そこで見たものは…。
「お…おっぱい?」
鏡に映っていたのは女性の乳房だった。
しかも、大きい。まるでマスクメロンのような大きさだ。
色は白く形も綺麗でピンク色をした乳首が可愛らしい見事なおっぱいがそこにあった。
「えーと…どういうことだ?」
マジマジと見るのもなんだかいけないことをしているような気分になり、Tシャツを下げ、ふと顔を上げた。
すると、その鏡に写っていたのは普段見慣れた自分の顔ではなく、見知らぬ女の子の顔がそこにはあった。
やや幼い感じもする可愛らしい顔、クリクリとした瞳、淡い桜色をした唇。
街を歩いたらほとんどの男の子が振り向くであろうその顔だち。
だが、よく見てみると、自分の顔の面影がうっすらと残っているようでもあった。
これはつまり…僕が女の子になってしまったということなのか…。
たらりと汗が頬を伝った。
そういえば、さっきから声もおかしい。いつもより声が高くなっているような気がする。
「ま、まさか!」
僕はある事に気が付き、急いでパジャマのズボンを脱ぎ、パンツの中を覗いてみた。
「な…ない…」
そこには本来あるべきものがなかった。
へなへなとその場に座り込む。
そりゃ確かに僕は女顔で体型も女の子みたいだったし、何度かいっそのこと女の子に生まれたかったとか、朝起きたら女の子になっていないかと思ってはいたけど、本当に女の子になってしまうなんて…。
がっくりとうなだれ、これからどうすればよいのかわからず、しばらく途方にくれていたが、ふとある事に気がつき立ち上がった。
「そうだ、これは夢だ!夢なんだ!夢であるべきだ!」
現実逃避。
もはや自分にとって今起こっていることと夢の中、どちらが現実なのかわからなくなってきているが、パジャマを着直すと、再び夢の世界に帰るべくベットに戻った。
ごきげんよう、はじめまして。
とりかへばやみりんと申します。
小説を書くのは初めてなのですが、性転換モノを一度書いてみたかったので、書き始めてみました。
よろしくお願いします。