まっぷたつ
翌日になるとクロエちゃまは、何事もなかったかのようにアントワーヌの元に戻ってきた。
「ちっ。使えねえ君主だな」
こっそり毒を吐くアントワーヌであった。
アントワーヌが狩りに出かけると、クロエもついてきたりする。
「何でここまでついてくるんだよッ」
しっしっとまるで獣を追い払うかのようにアントワーヌ。
「ひどいわ、ひどいわ、ダーリンのばかーっ。腰痛めてもジギタリスわけてやらないからーっ」
泣きながら一緒にいさせてと懇願するクロエに、アントワーヌは舌を出す。
「ウルセエ、てめーなんか、どぶにでも落っこちて消えちまえ。このストーカー」
クロエは急に顔つきを変化させ、大きな樫の木の前に立つと、
「はあぁぁぁぁ・・・・・・」
と気合を込めた。
「な、なにがはじまるんだろう」
ほかの兵士も顔を見合わせ、クロエを見守る。
クロエは気合だけで樫の木を真っ二つに裂いてしまった!
「ひええええ」
アントワーヌはクロエに絶対逆らわない、・・・・・・ことを誓うのだった・・・・・・。
国王アンリはそのころどうしていたかというと、あんなことをされてもまだ、クロエのことを思っていたのであった。
「なんて素敵な怪力娘! ますます余の妻にふ・さ・わ・し・ぃ〜ん」
そんな、ばかな・・・・・・。
余談話挿入・・