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10.運命の出会い

 ドッカーーン、バリバリバリ


 みずきが王をあやめる勢いで王の前に立ちはだかったその時、爆音が鳴り響いた。

 音のする方を見ると、王の許しなく開かないはずの謁見の間の扉が開いていた。

 開いたというより、吹き飛んでいた。


 吹き飛んだ扉の後ろから、二人のネコ耳の女がお喋りをしながら現れた。

「カスミ、アンタさあ。

 何もブチ破らなくても良いんじゃないの」


「いやいや。しゃあないやんか。

 普通に開けようとしても、開けへんかったんやから。

 一応、押したり引いたり、スライドさせようとしたりしたやんか」

 活発そうなピンク髪のショートヘア女子は、一生懸命言い訳している。


「別に、扉に穴をあけるとか、燃やしてしまうとか、静かに入ってくる方法は、いくらでもあったでしょう。

 ここにいる相手は王様らしいんだから、失礼でしょ」


(あの扉に穴をあけるとか、無理でしょ。石で出来た扉を燃やすって、どういうこと?)

 みずきの頭の中に、いくつもの?マークが踊る。


 ピンク髪は、元気に答えた。

「まあ、先にリンプーが来てるらしいし、ちゃんとウチらが守ったらんとアカンやろ。

 せやから、ゆっくりしてられへんかったんや。

 ほら、ことわざにもあるやろ。

 押してもダメなら、壊しちまえって」


「まあ、良いですけど。どうでも」

 金髪のメガネ女子は冷静だ。

 みずきは、(そんなことわざ、聞いたことない)とか思っていた。


 それよりも、彼女たちはリンプーの仲間なのだろうか。

 だとすると、この地下迷宮(ダンジョン)のラスボスの一員なのか?

 リンプーは友達だから味方?

 でも、リンプーと友達になったのは最近だ。

 彼女たちがそのことを知る術もない。



 ダントン王が、戸惑っている。

「この謁見の間は鉄壁の密室のはずが、背後から忍び込んできたり、正面から扉を破って入ってきたり。

 これまでこの城の歴史上、謁見室に侵入者など一度もなかったはずなのだ。

 一体、どういうことなんだ?」


「ああ、アンタが王さんか?

 扉を破壊してもうて、スマンかったなあ。

 まあ、ウチらのために開けてくれへんかったんやから、しゃあないやんか。

 我慢しといてえな」

 ピンク色のショートカットのネコ耳娘が、頭を掻きながら謝る。


 ダントン王は、納得いかないという顔をしている。

「ここの扉は、レベル100の死刑執行人(エクセキューショナー)が全力で攻撃しても、ビクともしない強度なのだぞ。

 それをブチ破るとは、どういうことだ?

 それと、扉を守る護衛の者がいただろう。

 そいつらは、どうしたんだ?」


 ピンク髪は、ばつが悪そうに答える。

「ああ、アイツらか。

 眠かったんちゃうかなあ。

 ちょっと撫でてあげたら、寝てもうたわ」


 もう一人の金髪の前髪バッツンでメガネをかけたネコ耳娘が、呆れた様子だ。

「あなたの常識では、あれが撫でるなのね。

 泡吹いて倒れていたけど、あれって寝てたのね。

 まあ、別に良いですけど、どうでも」


 ダントン王が早口で話しかける。

「ちょ、ちょうどいいところに来た。

 貴様ら、そこのネコ女の仲間だな。

 その人間ヒューマンの女を倒したら、ネコ女の願いを聞いてやっても良いぞ」


 金髪のネコ耳娘が、王の指さす方を見る。

 そこには、満身創痍のみずきが堂々と立っていた。

 彼女は、黙ってみずきの方を見つめ続ける。


 二人のネコ耳娘が返事をしないので、少し不安になったのか、ダントン王は早口でまくしたてる。

「そこの小娘は、この謁見の間に忍び込みおったのだ。

 その報いを受けさせようとしたのだが、すばしっこくて捕まえられないのだ。

 死刑執行人(エクセキューショナー)二人を撫でて倒すほどの貴様らなら、捕まえられるのではないか?

 いっそ、貴様らが殺してしまっても構わんぞ」



 金髪のネコ耳娘が、黙ってみずきの方に歩を進める。

 あの門番の二人を倒して、謁見の間の扉をブチ破って入ってきた強者つわものの一人だ。

 警戒が必要だ。


 みずきは、しゃんと立つが少しよろけている。

 金髪のネコ耳娘は、その真正面に立った。

 みずきは、身構えた。


「見つけました。見つけましたよー」

 金髪のネコ耳娘が、ウルウルした目でこの物語の主人公を見つめている。


「えっ、何?」

 突発的な展開に、みずきは付いていけてない。


「ついに、見つけましたー」


「だから、何を?」


「ウフフフ、この世界のラスボスです」

 ネコ耳少女は、笑っている。

 ただ、眼鏡越しの目は笑っていないようにも見える。


「何、それ?」


「世界最強の勇者を倒す者です」


「いやいや、ラスボスって言ったら、最後は勇者に倒されちゃうやつじゃないの?

 それに私、世界を滅ぼす気とか無いですけど」」


「ゲームの世界ではそうですが、現実は違います」


「どういうこと?」


「この世界には、復活の呪文などありません。

 教会で甦るなんてこともありません。

 たとえ勇者だろうと主人公だろうと、死んだら終わりなんです」


「それって、ラスボスもでしょ」


「ゲームの世界では、ラスボスは一度死んだら終わりですが、勇者は違います。

 でも、現実世界では、そうはいきません。

 勇者も一度死んだら終わりなんです。

 そして、ラスボスを一発で倒せるゲームはありません。

 最初の対戦では、必ずラスボスが勝つんです」


「フーン、それでそのラスボスさんは何処に?」


「いやいや、あなたですよ」


「えっ、私?

 私は普通のJKですよ」


「まあ、ラスボスかどうかというのは、本人は自覚していないかも知れませんね」


「でも勇者を倒すって、別にラスボスである必要ないですよね。

 勇者が育つ前に倒されるとか、初見殺しとか、ゲームの中ではいくらでも勇者が倒れるイベントは、ありますよ。

 ゲームの中では、セーブデータからやり直せますけど」


「もうこの世界の勇者は、育ち切ってしまいました。

 さらに慎重な勇者なので、初見殺しには簡単にはかかりません」


「じゃあ、ダメじゃん。

 そんな勇者を私が倒せるとは思えないけど」


「いいえ、大丈夫です。

 あなたは十分強いですし、私もサポートしますから」


「サポート?」


「そうです。

 あなたはラスボスなのに、はじまりの町のスライムの雰囲気を漂わせています。

 初見殺しの条件を十分に備えています。

 必要な時が来るまで、その力を見せなくて良いようにサポートします」


 みずきは、ちょっと間をおいて聞きなおす。

「それって、勇者を倒したいってことですか?」


「はい」

 ネコ耳のメガネ女子は、真剣な顔でうなずいた。

次回更新は、10月1日(水)の予定です。

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