慚愧の怪 登場人物
慚愧の怪の登場人物一覧です。本編をお読みになる前に、こちらをご一読してくださるとよりわかりやすいかと思います。お手数ですがよろしくお願いします。
▣ ”慚愧の怪”(ざんきのかい)
○掬緒
主人公。16歳。誕生日に故郷の者を皆殺しにされ、仇を討つべく戦い続ける。素直で思いやりがあり、弱者を虐げる者を嫌う。一度疑問に思ったことは答えがわからないと我慢ならない性質。弥勒から『飲食』の力を与えられ、黄金の弓矢で殀鬼に止めを刺す。
○ 䯊斬丸
”慚愧の怪”のリーダー格で、坐胆の一番弟子。25歳。冷静沈着な一方で、殀鬼の犠牲者への追悼の気持ちや、先人五供への敬意が強い。修行を重ねた為、どんな状況下でも殀鬼に変身しない。弥勒から『香』の力を与えられ、殀鬼の戦意を削ぎつつ鋼鉄の刀で斬撃を喰らわせる。
○彩蓮
”慚愧の怪”の一人。䯊斬丸の補佐役で22歳。優しく包容力に溢れた女性で、年下の”慚愧の怪”の心の支えになっている。ある理由から重度の男性恐怖症に陥っていたが、現在では克服している。弥勒から『花』の力を与えられ、数珠で無数の花弁を散らして殀鬼を惑わしつつ薙刀で斬り払う。
○綺清那
”慚愧の怪”の一人。12歳。大人しく人形遊びが好き。嘗ての同志である十郎のことが忘れられず、掬緒にその面影を重ねている。弥勒から『浄水』の力を与えられ、岩を銀の鉾で突いて水を溢れさせ、殀鬼を洗い流す。
○べるめろ
”慚愧の怪”の一人。10歳。のんびりおっとりしていて話し方もゆっくりしているが、戦闘時には普通の速さで喋る。”まま”という人物に会いたいらしいが、それが誰なのか本人もわかっていない。弥勒から『灯明』の力を与えられ、炎を纏う法輪の形をしたチャクラムを投げて殀鬼を燃やす。
○十郎
過去の”慚愧の怪”の一人。16歳。授かった力は『飲食』。気配りがよく、困っている人を放っておけない性格で周囲の人望も厚かったが、啞瞻との戦いで怪光線の直撃により力尽き、地獄へ送られるという最期を迎えた。これにより”慚愧の怪”は『生前に積んだ善行の数に関係なく、死後は必ず地獄に行く』という事実が明らかになり、残る四人の心に多大な悪影響を与えた。
▣養祥寺の関係者
○坐胆
”慚愧の怪”の師匠で、櫻蓮郷の領主。53歳。養祥寺本堂の縮地盤で殀鬼の気配を察知し、弟子たちを派遣している。嘗ては五供・八十四部隊の長として殀鬼と戦っていた。その後に出会ったある人物と丙・乙姉弟と共に櫻蓮郷を建国。五供の頃に弥勒から授かった法力で結界を張り、櫻蓮郷を殀鬼から守っている。
○丙
養祥寺の医師。48歳。嘗ては五供・八十四部隊の一人として戦っていた。“トガ“に敗北後は坐胆と離れ離れになってしまうが、後に偶然再会する。坐胆とは五供を結成する以前からの友人で、前世が殀鬼であるとわかってからも変わらず接し続けた。
○乙
養祥寺の庭師にして彫り師。46歳。嘗ては五供・八十四部隊の一人として戦っていた。坐胆の前世が殀鬼であることを知ってからは彼に対し懐疑的だったが、再会した時の喜び様を見て考えを改める。”慚愧の怪”に対し、強い尊敬の念を抱いている。
○福
養祥寺で飼われている猫。雄で三毛、金眼銀目であるなど縁起の良さの塊というべき姿をしている。人への警戒心が薄く、初めて会う者にもよく懐く。
▪️敵
○魚小女
掬緒が最初に戦った殀鬼。幼い少女の姿をしている。水中戦が得意。
○増蔓
掬緒が二番目に戦った殀鬼。年端もいかない少年の姿をしている。体を丸めて転がり、急峻な地形でも難なく移動する。
○喜猩々(きしょうじょう)
松が峰を襲う殀鬼。嘗ては䯊斬丸の仲間だったが、人間への身勝手な不信感から“トガ“に寝返った。戦闘力は䯊斬丸と互角。
○而爛
黄金色に輝く豪華絢爛な楼閣の主。殀鬼への憎悪が強いあまり、”慚愧の怪”を亡き者にしようとする。“トガ“とは全く関係のない只の人間。
○ 啞瞻
鼻につく言動が特徴の殀鬼。“慚愧の怪”にとっては十郎を死に追いやった仇敵である。「清く潔い心」に反応する怪光線を発射し、敵を一撃で倒してしまう。
○立平太
“トガ“の側近の殀鬼。人間社会を監視し、”トガ”に報告している。人間を新たな殀鬼にする手引きも行っている。
○哀蝉
謎の牛の監視・世話役を任されている殀鬼。掬緒と年が近そうな少年の姿をしている。言葉遣いは丁寧だが、性格は冷酷。殺人衝動を呼び起こす歌を歌い、一度に多数の人間を死に至らしめる。
○怪木師
陶芸製作に夢中で、本来の使命である『人間の殺戮』にはまるで興味がないという変わり者の殀鬼。虐げられている人間に対して親身を装い、魂を抜き取る。魂を抜かれた者は怪木師の傀儡となり、片棒を担がされる。
○燭灯角
灯台鬼を思わせる姿の殀鬼。元々異国からの難民であった為、言葉が通じない。“トガ“の手駒として各地を焼き尽くす傍ら、生き別れた娘の行方を追っている。
○畜飛出
蒼白の肌にぎょろ目という、夢に出そうな禍々しい容姿が特徴の殀鬼。社会から見捨てられた人間を集めて豚に変え、性別や大きさ、生育方法などで細かく分けて飼育している。呂律が回らず、何を言っているのかよくわからない。
○幻水兄弟
年端も行かぬ双子の少年の殀鬼。兄の玖英と弟の玖煙が一体化していて、腹を開けることで姿が変わる。玖煙が雲を発生させ、玖英が雷を落とすという戦法をとる。
○沙那
山の中にある湖のほとりで暮らす女性。牛に乗り彷徨い歩いていた掬緒の世話を焼くが、謎の”呪い”が発動して巨大な竜へと変貌してしまう。牛とは過去に浅からぬ関係があったようだが……?
○”トガ”
殀鬼の首領。ある目的の為に、『全ての人間を絶望の淵に叩き落としてから皆殺しにする』ことを目論み、各地に部下を派遣して大量虐殺を引き起こした。人間や”慚愧の怪”のみならず、奇々衆とも浅からぬ因縁があるといわれている。
❖奇々衆
○弥勒
名前に反して地蔵菩薩のような外見の奇々衆。性別はないが、声は男性的。少なくとも2000年以上は生きている。人間に、殀鬼と戦う為の『五供』の力や、その補助をする「法力」を授ける。人間を救うべく地獄の門を叩き、閻魔の協力の下「粒選り」を行った。
○閻魔
中華服を纏った青年のような外見の奇々衆。性別はないが、声は男性的。少なくとも6500年以上は生きている。地獄に堕ちた殀鬼を裁き、獄卒に命じて責苦を与えている。非常に厳格だが、筋の通った理由があれば多少は融通を利かせる。弥勒とは旧知の間柄。
○一の卒
殀鬼に責苦を与える責任者的存在「八獄卒」の一人。地獄の一丁目を管轄している。性別はないが、声は女性的。少なくとも5000年以上は生きている。䯊斬丸の前世・若中将の担当者で、彼が”慚愧の怪”として相応しい心構えでいる為の重要な示唆を与えた。転生後も彼を気遣い、動向を見守っている。
○二の卒
「八獄卒」の一人で、地獄の二丁目を管轄している。性別はないが、声は女性的。少なくとも5000年以上は生きている。若中将の地獄巡りに於いて、候補者が出なかった代わりに地獄の成り立ちを説明する。獄卒らしい苛烈さを持ちつつも、どこか人懐こさがある。
○三の卒
「八獄卒」の一人で、地獄の三丁目を管轄している。性別はないが、声は女性的。少なくとも5000年以上は生きている。若中将の地獄巡りに於いて、彩蓮の前世・戻橋姫についての所感を述べる。冷淡な性格。
○四の卒
「八獄卒」の一人で、地獄の四丁目を管轄している。性別はないが、声は女性的。少なくとも5000年以上は生きている。若中将の地獄巡りに於いて、綺清那の前世・泥嘆眼についての所感を述べ、さらに亡者が付き人を持てない真実を伝える。陰気で厳しい。
○五の卒
「八獄卒」の一人で、地獄の五丁目を管轄している。性別はないが、声は男性的。少なくとも5000年以上は生きている。「粒選り」候補者が全ての丁で最多であったことを誇らしげに語るが、早口な為に若中将にはその内容が殆ど入っていなかった。明るく豪快な性格。
○六の卒
「八獄卒」の一人で、地獄の六丁目を管轄している。性別はないが、声は男性的。少なくとも5000年以上は生きている。掬緒の前世・鎧喝食の担当者で、悔悛光を浴びて改心した彼を集合時刻ぎりぎりに連れてきた。”地上の人間の祈りと亡者の心の変化の関連性”に関心を持ち、論文を執筆している。
○七の卒
「八獄卒」の一人で、地獄の七丁目を管轄している。性別はないが、声は男性的。少なくとも5000年以上は生きている。十郎の前世の亡者の担当者で、若中将の地獄巡りに於いて、地獄の概要を説明する。何故か八獄卒の纏め役のように振舞っている。
○八の卒
「八獄卒」の一人で、地獄の八丁目を管轄している。性別はないが、声は男性的。少なくとも5000年以上は生きている。べるめろの前世・焔童子の担当者だった。飄々とした性格でいつも笑顔だが、責苦には容赦がない。罪を悔いる気配がなく、剰え再び殀鬼になって人間を滅ぼすと公言する亡者に頭を悩ませている。
▽その他
○福
養祥寺で飼われている猫。三毛で金目銀目の雄。非常に人懐こく、人見知りはしない。
○牛
而爛の処遇に納得できなかった掬緒が、逃げた先の雪山で出会う黒い牛。掬緒を闇で包んで”黒い霧”へと変えてしまう。その後は”トガ”の拠点の地下牢に幽閉されていたが、後に自力で脱出。その後は掬緒と行動を共にしていた。その正体は……?
○”黒い霧”
掬緒がが牛の発した闇に包まれて堕ちた姿。掬緒の面影はなく、目つきが鋭い。様々な集落に現れ、殀鬼を一撃で倒す。だがその後、集落の子どもを一人残らず連れ去ってしまう。
○晶珊
最強と称された五供・百五十部隊の『飲食』。男性。弥勒から”敵の思考を読む法力”を与えられるが、いつしかそれが”敵の過去を知る力”に変わってしまい、「自分は元人間を殺した」という罪悪感に苛まれるようになる。ある人物と運命的な繋がりがある。
○佳琉
百五十部隊の『灯明』。女性。部隊の解散後は晶珊と二人で暮らしており、結婚して家庭を持つつもりでいた。ある殀鬼を倒したことに酷く心を痛めており、それが悲劇を起こす。
○漣彌
百五十部隊の『浄水』。女性。部隊の解散後、羅呉と共にどこかへと姿を消す。
○羅呉
百五十部隊の『花』。男性。部隊の解散後、漣彌と共にどこかへと姿を消す。だが……。
○玻阿武砦
百五十部隊の『香』。男性。”トガ”との決戦直前に負傷した双子の兄・瑠阿武砦に代わって『香』の力を授かったが、”トガ”の攻撃を受けて死亡、百五十部隊唯一の戦死者となった。
○瑠阿武砦
百五十部隊の元『香』。男性。上記の理由で力を返し戦線を離脱した為、”トガ”の呪いを受けなかった。”トガ”撤退後は仲間と共に巡礼の旅をしていたが、あることが切欠で百五十部隊を瓦解させる。殀鬼を激しく憎んでおり、「弔われる価値すらない」と思っている。
○葡つ美
女性。瑠阿武砦が無言で仲間の元を去った後に出会い、彼と結婚する。五供ではないが、故郷を破壊され家族を殺された恨みから、夫同様殀鬼を激しく憎んでいる。
○ゆず
瑠阿武砦と葡つ美の一人娘。十五歳。元々の故郷を殀鬼に破壊され、周囲に何もない一軒家に移り住んだ。雪の中で倒れていた掬緒を介抱し、彼が殀鬼の姿になっても、その人間性を信じている。