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事件解決


俺はコンビニでプリンを買った、ただのプリンじゃないクリームが乗っかったプリンだ。

どうでもいいか。

何故か緑くんが俺にHな本を買ってくれた事は吉田に黙っていよう。




俺「吉田、首尾はどうだ?」


吉田「もう終るよ、後はサインするだけだから」


サイン?

吉田は「見積書」と汚く書かれた紙を手に持っていた。

俺はソレを吉田から取り上げた。


吉田「なにするのさ!!」


俺「俺も見させてくれ」


なになに…

ライト代 6000円

カゴ代 7500円

塗装代 5500円

クリーニング代 8000円



どこのぼったくりバーだよ。ライト代とカゴ代を請求するのは解るが、塗装代とクリーニング代って何なんだ?

その前に請求金額がおかしい、自転車を買った方がよっぽど安上がりだ。




俺「吉田、お前騙されてるぞ」


吉田「今時の自転車って高いんじゃないの?」


緑くん「吉田さん、そんな事無いっすよ、どれ、俺にも見せて下さい」


吉田から見せて貰った見積書もどきを見て、緑くんは田淵くんを睨んだ。


緑くん「田淵、吉田さんを騙すなよ」


田淵くん「へいへい」


緑くん「まったく…もう一度話し合いをしましょう」

吉田は近い将来必ず詐欺にあうと思う。








俺「さっき思ったんだが、別に自転車の個々のパーツを弁償しなくても、自転車を買えばいいと思うんだが」


緑くん「俺もそう思います、吉田さんと田淵は?」


吉田「僕は別に良いよ」


田淵「仕方ねぇな」


何故君は毎度そんなに上から目線なんだ。


不良B「で、どこに行くんだ?」


俺「近くのホームセンターは?」


緑くん「俺さん、俺の行きつけのチャリ屋があるんですけど、どうっすか?」


俺「俺はいいが、吉田、お前はどうだ?」


吉田「仕方ないなー」


いつからそんなに偉くなったんだ君は。

元凶の癖に。



不良C「あー、あそこか、田淵お前はどうやって行くんだ?」


さっき気付いたんだが、吉田のバカが田淵くんの自転車を倒したせいで、何故かタイヤがパンクしていた。

緑くんのは無事だったが。


緑くん「田淵、お前は俺のチャリに乗って行ってくれ、俺は俺さんと吉田さんで歩いて行くから」


田淵くん「緑、悪りぃな、先に行ってるぜ!」


田淵くんは不良BCを引き連れて自転車屋に向かった。


俺「いいのか?」


緑くん「いいっすよ、喋りながら歩くのも楽しいっすから」


なんて出来た人間なんだ、どこぞのバカも見習って欲しいものだ。


吉田「早く行こうよ!」


緑くん「解りました、行きましょうか」


俺達も自転車屋に向かった。

途中で自販機があったので緑くんに奢ってあげた、かなり遠慮していたが。

吉田が恨めしい顔でこちらをチラチラ見てきたのでコイツにも奢ってやった。

俺としたことが…





緑くん「ここっすよ」


緑くん行きつけの自転車屋は個人経営の店で人気(ひとけ)の無い場所にあった。


俺「こんな人気の無い所で経営してて大丈夫なのか?」


緑くん「大丈夫っすよ、この店はオーダーメイド専門の店ですから」


俺「納得」


吉田「あれ?不良達がまだ来てないよ?」


そう言われれば、田淵くん達はまだ来ていない。

事故にでも遭ったのかのか?

いや、どちらかと言えば起こす方か。

どちらにせよ心配極まりない事だ。




田淵くん「おーーーい!」


吉田「あ、来た!」


来たのはいいが、田淵くんが自転車を降りて押している。


緑くん「田淵、どうした?事故にでも遭ったか?」


田淵「ちげーよ、乗ってたらタイヤがパンクしたんだよ」


恐らく吉田が倒した時に与えたダメージのせいだろう。


緑くん「ここで直して貰うか」


吉田「誰か店から来るよ!」




外が騒がしいので店員が様子を見に来たのだろう。


「店の前で騒がないでくれ………ん?緑くんじゃないか!」


緑くん「店長、お久しぶりっすね」




店長「こんな大人数で店に来て、どうしたんだい?」


緑くん「それが…」


緑くんは自転車屋の店長に今までのいきさつを話した。


店長「なるほど、そういう事なら特別に自転車を売ってあげよう!」


緑くん「ありがとうございます」


緑くんが話をつけてくれたので俺達は自転車を見て回る事にした。

しかし、この店長、口調は穏やかなのだが見てくれが田淵くん以上に厳つい。

自転車を売るというより壊してそうなイメージが浮かんだ。

先入観を持ってはダメだな、失礼だし。








田淵くん「おぉ!!」


不良B「どうした田淵!?」


田淵くん「これカッコ良くね!?」


田淵くんが興奮しながら一つの自転車を指差しながら言った。

鼻息が荒い…


不良C「おぉ!すげぇ!」


店長「君、自転車を見る目あるね、乗ってみるかい?」


田淵くん「いいんすか!?」


店長「良いとも、外で乗るといいよ」


そう言うと、田淵くんの自転車以上にカスタマイズされた自転車を外に運んで行った。


田淵くん「お前ら行くぞ!」


不良BC「おう!」


三人は意気揚々と店長について行った。


緑くん「あいつらはああいうのが好きなんすよ」


俺「そうなのか…ん?吉田は?」


緑くん「外で猫と遊んでましたよ」


猫に喰われてしまえ。




緑くん「俺さんは今からどうします?」


俺「せっかく来たんだし見て回るよ」


緑くん「それがいいっすね、俺は田淵の様子を見てきますから」


緑くんは田淵くんらの居る店の外に出ていった。

それから、残った俺は店に置いてある自転車を見ることにした。


俺「どれも高いんだな…全部十万円代か…」


さすがオーダーメイドだ、競輪選手が乗っていそうな自転車だらけで、とてもじゃないが手がでない代物だ。





田淵くん「うぉーー!マジ最高ぉぉぉ!!」


チラッと外を見ると、田淵くんが狂った様にあの自転車を乗り回していた。

俺も少し興味があるから見に行こうか。





緑くん「俺さん、どうしたんすか?」


俺「あの自転車を見に来ただけだよ」


緑くん「そうっすか、俺さん、もうそろそろ自転車を選ばないと…閉店に近い時間ですし」




緑くんに言われて携帯を見ると、もう8時30分じゃない。

たしかにもうそろそろ本腰を入れて自転車を選ばないとまずい。

しかし、先程自転車を見た限りではかなり高かったんだが…。





俺「選ぶのは良いんだが、高かったぞ?」


緑くん「大丈夫っすよ、俺がいれば店長が安くしてくれますから」


俺「それは良かったよ」










吉田「可愛いいんだニャ~猫は♪」


ナデナデ


猫「ニャーン♪」


野良猫「ニャオー!」


猫「!?」


吉田「猫ちゃーん、どこ行くんだニャー!」








不良C「おい!田淵ぉぉぉ!代わりやがれ!」

田淵くん「あと百周したらな!」


猫「ニャーン」


吉田「待つんだニャオー!」


田淵くん「!?オッサン!危ねぇぇぇぇ!!!」


ガシャン!!!



緑くん「今の音は!?」


俺「解らない、行ってみよう!」


まさかな、この期に及んでまた厄介事が増える訳が…










吉田くん「痛いニャー!!!」


田淵くん「のぉぉぉぉぉ!足が痛てぇぇぇぇ!!!」


店長「自転車がぁぁぁぁぁぁ!!!」



俺と緑くんが見たものは地獄絵図だった。

吉田と田淵くんは痛さでそこら辺を走り回り、店長は無残に壊れた自転車を見て 固まっていた。

とりあえず吉田の安否を確かめにいった。




俺「吉田!大丈夫か!?」


吉田「大丈夫じゃ無いニャー」


俺「ニャー?頭打ったのか?」


吉田「猫と遊んでたら猫語を喋る癖があるんだよ」


何が猫語だ、語尾に「ニャ」を付けただけじゃないか。

そんなに猫が好きなら猫の国に行くがいい。

そして帰ってくるな。




俺「とりあえず大丈夫なんだな!?」


吉田「だから、大丈夫じゃ…」


俺「大丈夫なんだな!!!?」


吉田「大丈夫です…」


吉田には悪いが今は大丈夫ということにした。

だって、吉田の事だ今度は逆に田淵くんに慰謝料とかを要求しかねないからな。

そうなると本当に収拾がつかなくなってくるからだ。


俺「まぁそこで、休んでてくれ」


吉田「どこ行くの?」


俺「彼の安否も確かめに行ってくる」


そう言うと俺は田淵くんのもとに急いだ。










不良B「田淵!大丈夫か!?」


不良C「田淵!大丈夫なのか!?」


田淵くん「お前ら!二人して似たこと言うんじゃねぇぇぇぇ!!」




緑くん「田淵、救急箱持って来たぞ」


田淵くん「足痛てぇんだから、優しくしてくれよ!」


緑くん「怪我人が文句を言うな、じっとしてろよ消毒液かけてやるから」


プシュ~


田淵くん「ぎゃあぁぁぁぁぁ~!!!」


緑くん「大袈裟だなぁ」









俺「どうした!?」


緑くん「消毒液が痛いらしくて叫んでるんすよ、それより吉田さんは大丈夫なんですか?」


俺「あいつは猫の毛玉でも食わせとけば大丈夫だよ」


緑くん「そうっすか?」


緑くんと話していたら、店長がこちらにやって来た。

嗚呼、今日が命日か。




店長「緑くん!!!」


緑くん「店長!すみません!」


緑くんは店長に頭を下げた。

緑くんだけに頭を下げさせる訳にはいかない、俺も頭を下げた。


俺「すみませんでした!」


俺と緑くんが謝ると店長は笑い出した。

気が狂ったか!?


店長「二人とも顔を上げておくれ」


俺&緑くん「?」


店長「謝る必要は無いよ、あれは事故だからしょうがないよ、それよりあの二人は大丈夫なのかい?」


俺&緑くん「全く大丈夫です」



なんて出来た人間なんだ、緑くんといい店長といい、あのバカと田淵くんの心配をしてくれるなんて。

俺もこんな人間でありたいものだ。


店長「それは良かったよ!」


俺「あの自転車は俺と吉田で買い取らせて貰います」


緑くん「俺さん!?田淵も周りを見てなかったし、俺も払います!」


俺「いいんだ、ちょうど欲しがってたしさ」


緑「…でも!」


それから吉田と田淵くんを呼んで話し合った結果、俺と吉田で買い取らせて貰う事にした。

緑くんは終始「俺が払います!」と言ってくれ、田淵くんは余程嬉しかったのかニヤニヤニヤニヤしていた。

壊れた自転車は店長が直してくれ、さらに店長の優しさにより、定価20万のところを10万にしてくれた。










田淵くん「いやっほぉぉぉぉぉ!!!」


俺「嬉しそうだな」


緑くん「そうっすね、俺さん、ありがとうござます」


俺「ハハッ、君がお礼を言わなくてもいいよ」


吉田「あいつがお礼を言うべきだよ!」


俺「お前は黙ってなさい」



いきなり田淵くんがこっちに自転車に乗りながら向かってきた。


緑くん「どうした?田淵」


田淵くん「礼ぐらい言わねーとな、おっさん、あんがとよ!」


早口でそう言うと早々と不良達の所に戻った。

ほぉ、君の口からそんな言葉が出るとは思わなんだ。

吉田も些か驚いていた。


緑くん「へぇ…アイツの口からお礼の言葉が出るなんて…」


俺「よっぽど嬉しいんだろうな」






不良C「おーい!緑ぃ!帰るぞ!」


緑くん「そろそろお別れっすかね」


俺「そうみたいだな、また会えたら一緒に酒でも飲みに行こうか」


緑くん「えぇ、喜んで行きますよ」


田淵くん「早くしろおぉぉぉぉぉ!!!」


静かにしてくれよ。

緑くんと話してるんだから。


俺「じゃあ、またな!」


緑くん「はい、さようなら!」


緑くんは田淵くんらと帰っていった。

さぁて、俺らも帰るか!










吉田「僕は左に曲がるから、また明日!」


俺「あぁ、また明日な」


俺と吉田もそれぞれの家に帰った。




この事件から一週間後、道端でバッタリ緑くんと会い、本当に一緒に飲みに行った。

俺は吉田を緑くんは田淵くんと不良BCを連れて。

日本は実に狭い。

俺らは事件前に行くはずだった居酒屋に行き、皆でワイワイしながら楽しんだ。

本当に楽しかった。

俺はこの出来事を忘れる事は無いだろう。






最後までお読み頂いてありがとうございました!

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