不幸な吉田くん
まぁ要約すると、「俺達は電車に乗りたいから金をくれ」だ、君達自転車に乗ってるじゃない。
しかも、不良は吉田の周りをグルグルグルグル自転車で回っている、何かの儀式か?
しかもしかも、不良は一人ではなく四人だ、まぁ吉田は公務員だし、見たところ不良は高校生で公務員は高校生より強いと相場が決まっているものだ、もし危なくなれば高校生時代に陸上部に入っていた自慢の足が火を噴くだろう。
不良A「おい、跳んでみろよ」
不良の一人が吉田に言うなり、吉田はピョンピョン跳びはじめた、プライドが無いのか君は…
ポトッ
吉田「あっ」
吉田のスーツの中から、財布が落ちた。
どういういれかたをしたんだお前は。
不良B「おお!」
不良C「財布じゃねぇか!中身は…十万も入ってやがるぜ!」
不良達は財布を見るなり狂喜乱舞状態になっている、嬉しすぎるのか自転車を漕ぐのを忘れている。
キラーン!
これはチャンスと、吉田の目が光った!…光ってるように俺には見えた、吉田は弾かれた様に自転車の間を走り抜けた…と思った矢先の事だった。
ガシャ!!
奴は勢いよく自転車に足をぶつけてしまった。
吉田「痛った~!!」
よほど痛かったのか、地面をゴロゴロ転がっている、しかも自転車へのダメージもかなりのもので、見事にカスタマイズされた自転車のライトの部分が強打により割れ、カゴも見事にへっこんでいた。
不良A「あぁぁー!!?俺のチャリが!? どうしてくれんだよ!!」
不良Aは吉田の胸倉を掴み、上下左右にブンブンと振りまわした。
ポトッ
吉田&不良達「あ」
今度は給料袋が落ちた、そのスーツ穴開いてるんじゃないか?
吉田「あっ、それは!」
さすがに給料袋は駄目と思ったのか、落ちた給料袋を急いで拾おうとしたが、不良達はそれを許さなかった、しかし今時給料袋っておかしくないか?
不良A「これは頂くぜ!」
吉田「だ…駄目だよ!とりあえず話し合おうよ…ね?」
ね?じゃないだろ、不良相手に話し合いなんてお笑いも良いところだ。
不良A「そんなもんするわけ無いだろうが!!」
そろそろマズく成ってきたので、俺は仲裁に入りにいった。
俺「ちょっと待ってくれないか?」
今の俺に怖いという感情は不思議と無かった、ただ吉田を助けたい思いでいっぱいだった、ホントに。
不良B「誰だよ、お前は!」
俺「そいつの身内だ」
不良C「その身内が何しに来たんだよ!?」
俺「財布と給料袋を返して貰いに来た」
不良A「ああ!?ふざけんな!」
不良Aは雄叫びと共に俺に殴りかかってきた、上等だ!来るならこい!




