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S級探索者は推し活のために探索する  作者: 黒井隼人


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幕間:S級探索者は実験をする


――つらい…くるしい…きもちわるい…――


――ただただ不浄なる物を吸い上げ、不浄な地を浄化し続けた――


――利用され、ただ苦しい思いだけをさせられて――


――苦しい…誰か…助けて…――


海底ダンジョンの一件から一月ほど。

探究者の不穏な言葉から何かしらの事件が起きるのかと不安視されていたが、現状特に表立って何かが起こったわけでも無く、平穏な日常が流れていた。

当初ピリピリしていたみらいとシェルフもだいぶ落ち着いてきたようで、配信内でも笑顔が増えてきたようだ。

さて、そんななかとある日。みらい達は詩織と共にクロウの実家ともいえるB級ダンジョンへと来ていた。


「別にみらいちゃん達は来なくてもよかったんだがなー」

「マスターがなにやるか気になるじゃん」

「まあいいけどさぁ」


クロウ達一家が暮らしていたB級ダンジョンのボス部屋。かつてハデスとの戦いを繰り広げていた大木の中はすでに綺麗に治っており、元通りの姿になっていた。


『ほえーあの戦いの傷が一切ない』

『これがダンジョンの治癒力というか維持力というやつか』


もともとクロウが何かやりたいことがあるということでマーサと二人で来るつもりだったのだが、それが何か気になったシェルフはみらいと詩織を連れてついていく事を決めた。二人が一緒に来るということでリルとエメル、フィンも来ており、ちょうど帰宅したタイミングでかち合った六華もついてきていた。

結果大所帯になったのだが、ついでということでみらいも急遽配信することにしたのであった。


『それで、今日は何するん?』

「ちょっとした実験―。だから言うほど面白いことはないぞ」

『クロウさんが言ってもなぁ…』

『そんなこと言いながら何かしら面白いネタを期待!』

「無茶ぶりはやめぇや」

『あの、それはそれでいいんですが、そこにいる…おそらくボスと思われる狼さんはどうするんですか?』


リスナーの一人に言われ、全員の視線が少し離れた位置にいるエリアボスへと向かう。

そこにいたのは全身青々とした葉っぱで覆われている狼。木と葉によって体が作られているA級魔物の狼、フォレストウルフだ。

普段の遭遇であればその姿は雄々しく、威圧感もすさまじいのであろうが、ここにはS級探索者であるクロウ、そしてフォレストウルフの上位種であるN級魔物であるフェンリルのマーサ。そしてマーサほどではないにしても、S級魔物に匹敵する実力のリルとフィンもいる。そんな状態では威厳など保てるわけもなく…。


「クゥ~ン………」


尻尾を丸め、両目を前足で隠して縮こまって思いっきり震えていた。


『哀れなり』

『なんかかわいい』

『そりゃ上司やその子供が自分の部屋に来たらああなる』

『パワハラなんてサイテー』

「冤罪だ」


リスナー達に答えながらクロウはボスフロアを見渡す。クロウがやろうとしていることにとある条件が必要であり、その条件を探しやすいのがボスエリアだったのでここに来たのだが…。


「あったあった。んじゃ俺は準備入るからー。それとその子は敵意無いなら放っておきな」

「ん!」


両手を上げながら丸まっているフォレストウルフの背に乗って六華が両手を元気に上げていた。


「………あまりいじめてやるなよ?」

『んー、このおてんば娘』

『上司の娘に絡まれて逃げれない部下のようだ…』

『やめたれ…それは心に来る…』


フォレストウルフの様相に一部のリスナーがダメージを受けているが気にせずにクロウは目的地に行く。そこはボスエリアの端の方にある何の変哲もない地面だった。


「ここ?」

「そ。ここ、魔脈の集まりがあってねぇ…ここがちょうどいいんだ」


そう言うと右手を軽く振るうと空中に魔法陣が浮かび上がった。その魔法陣がゆっくりと降りていくと地面へと張り付き、そのまま刻み込まれた。


「魔法陣?」

「そそ。前々からやってみたいことがあってねぇ。ようやく形になったんだ」

「なんでここに?」

「これ、発動状態をある程度維持しないといけなくてね。安定出力の魔力を吸収できる魔脈が必要だったのさ」

「すぐ発動するの?」

「いんや、それなりに時間は必要。だからその間暇なんだけど…そうだな…詩織さん」

「はい、なんでしょうか」

「せっかくだから模擬戦してみるか?」

「え」

「模擬戦というか稽古だな。ちょっと相手してあげるよ」


肩をぐるぐると回して軽い準備運動をしながら中心の方へと移動する。


「え、え?」

『クロウさん、マジ?』

『みらいちゃん相手にもやったことないのに…』

「そりゃね。みらいちゃんはまだ未熟だし、目標が定まってない。その状態で鍛えたところで力の行き先が迷子になるだけだ。でも、詩織さんはS級を目指し、そのための研鑽をしている。それなら少し背を押すのも先を行く者の務めさ」

『とか言いつつ本音は?』

「暇つぶし」

『おいこら』

「ま、冗談はともかく。これから先何があるかわからん。その状態で詩織さんの力を借りることも有るだろうから、こういう時に少しは力の底上げをしたいもんでね」


探究者の動きが読めない以上、何をしてくるかわからない。基本的にはクロウを含むS級探索者でどうにかできるだろうが、それでも数が5人という部分はどうあがいても変えることができない。つまり手が足りないことも発生する可能性がある。その際に他の探索者にも手を借りるだろうが、せめて身近で信頼できる人を鍛えておきたいというのもあった。


「魔法陣が安定するまでの少しの時間だが、相手をしてあげるよ」

「…わかりました。よろしくお願いします」


そう言って詩織はペコリと頭を下げ、その様子を見てクロウは満足げにうなずいた。


「うーし、そうと決まったらフォレストウルフ、少し下がってろー。巻き込まれるかもしれんぞ」

「くぅん…」


六華を背にしてとぼとぼと離れた場所にいるみらい達の方へと歩いていく。それを見送ってからクロウは詩織と対峙した。


「よし、んじゃあいつでもどうぞ」

「わかりました。では……いざ!」


居合の構えを取り、顔を上げた瞬間、詩織の姿が消える。直後…


パァン!


何かがはじけるような音と共にクロウの後方に詩織が姿を現す。


「ほう…」


防ぐことは想定内だが、受け止めるまでいかなかったのは想定外だった。今まで詩織の戦いは何度か見たことはあった。それゆえに受け止められる程度の魔力を指に籠めて受け止めようとしたが、その魔力が一撃で霧散した。これはクロウの見立て以上の一撃を詩織が叩き込んできたということの証左だ。


「ふむ。思っていたより実力をつけていたね」

「こちらとしてはあの一撃を指一本で防がれたのが驚きでしたけどね」


全身全霊を籠めた一撃。クロウとの実力差を知っているがゆえに初撃にすべてを籠めた。しかし、それですら傷一つつけることはなかった。それでも、クロウの仮面から覗く僅かな目から期待には応えられたということは詩織にも伝わった。


「さて、これで終わりか?まだまだ稽古は始まったばかりだぞ」

「ええ…行きます!」


その言葉で詩織が駆け出す。最初の時よりかは遅いが、それでも十分な速度での一撃がクロウへと襲い掛かるが、それらをすべて人差し指一本で受け止めていく。


『うわぁ…わかっちゃいたけど実力差半端ないな』

『最初の一撃は見えなかったからよくわからないけど、今じゃ普通に遊ばれてるね』

『というか、なんで人差し指でしおりんの刀受け止められるん?』

「あれは魔力を纏わせて刃が通らないようにしているのよ。いわば魔力の鎧で受け止めているって感じね」

『ほえー、最初の奴もそうなん?』

「ええ、でも詩織は最初の一撃でクロウの魔力の鎧を壊した。クロウが想定した以上の威力の一撃を叩き込んだってことだろうさ」


リスナー達の質問にリルとフィンが答えた。みらいとシェルフも見てはいるがそこまでわかっておらず、六華とエメルはフォレストウルフと遊んでおり、マーサはその様子を眺めつつ魔法陣の方を監視していた。

その間にもクロウによる詩織の稽古は続いていた。


「一撃一撃に関してはA級にも匹敵する威力だ。それに関してはこのまま研鑽を続けていけばいいだろう。だが、攻撃の合間に隙が多い。それを何とかしないと…」


詩織が攻撃後、着地して足を止めた瞬間を狙って指先から魔力の塊が発射されて詩織の足を払った。


「あっ!」

「足元を掬われる」


転びそうになったところを即座に左手に持つ鞘で支え、そのまま棒高跳びの要領で跳躍して空中で姿勢を立て直してクロウから距離を取った。


「遠距離攻撃できる相手に距離を取るのはよくないぞ」


着地点で足を狙うように魔力の塊を放つが、それを詩織が切り払う。しかし、その魔力の塊は一発だけではなく、連射で何発も放たれ続けた。


「特に自分から遠距離攻撃できない場合はな」


放たれる無数の塊を詩織が刀と鞘で打ち払っていく。それができるだけの密度、強度、速度でやっているが、その結果詩織の足は完全に止められてしまった。

防戦一方となってしまった詩織の足は止まるが、それでも打ち払いながらもしっかりとタイミングを見計らっていた。

そしてほんの一瞬弾幕に隙ができた。それがクロウによって作られた物かもしれないが、その一瞬を逃さず詩織は駆け出す。それを追うようにクロウが放つ弾幕が軌道をを変えていくが、駆け出した詩織は回避しつつ、当たりそうな物だけ切り払って駆け出す詩織は再度で現れた一瞬の隙で方向を変えてクロウへとまっすぐ突き進んでいく。


「ほう」


仮面の下に笑みを浮かべ、向かってくる詩織へと弾幕を展開する。詩織は自らに直撃しそうな塊のみ切り払い、それ以外は無視して突っ込んでいく。自らの体をかすめ、痛みが体をはしってもそれを気にせず距離を詰め、刀を振るいだす。

一撃、二撃。すれ違いざまの一撃はクロウに防がれる。しかし気にせず着地と共に勢いを殺さずに体をひねって追撃をする。三撃、四撃、五撃。防がれても構わず剣を、鞘を振るう。


「ああああああああ!!」


気合と共に声が漏れ、その攻撃の速度がどんどん増していく。その速度はまさに疾風。無数の連撃が移動と共に放たれていく。


「これで…」


速度の上りがなくなり、詩織が最後の一撃を振るうと、その一撃によってクロウの腕がはじかれた。


『おお!!』

『クロウさんの腕を弾きあげた!?』

「少しは…届きましたかね…」

「ああ。悪くない成長だ」

「それは…よかった…」


力なく笑い、詩織の体から力が抜けてそのまま倒れこんでしまう。


「おっと」


それを受け止め、横抱きに持ち上げる。


『お姫様だっこだ!』

「精魂尽きて気絶したんだからゆるしてや」


苦笑を浮かべつつマーサのところへと下ろして寝かせる。


「お疲れ様。どうだった?」

「悪くない。伸びしろもいいし、時間はかかるだろうが、それでも届くかもしれないな」


そこらへんに感じては運もあるので何とも言えないが、それでもS級に至るほどのポテンシャルは有していそうだった。


「さて…それじゃ、本命のほう行きますか」

『あ、忘れてた』

『そういやしおりんの稽古は待ち時間の間の場繋ものだった』


先ほどの激戦を見せられ、リスナー達も今回来た目的の方を忘れていたようだ。

改めて魔法陣の方を見てみると魔法陣は淡い光を放っていた。


「魔法陣の方はいつでも発動できる状態になってるよ」

「そか、ありがとう母さん」

「それで、この魔法陣って何なの?」

「これは召喚魔法陣。しかもただの転移じゃない。前にみらいちゃん達が巻き込まれた魔法陣を改良して作り上げた。異世界の人を呼び出す魔法陣だよ」

『異世界召喚!?』

『え、それ大丈夫なのやって』

「知らん!」

「許可は?」

「取ってない!!」

「えぇ…」

「まあ、そもそもこの召喚魔法陣、ただ異世界の人の話聞きたくて作り上げたものだしね。きちんとこちらの呼び声に答えた人しか呼ばれないようにしてるし、召喚後に相手の世界にアンカーを設置して帰ることができるようにしてるけどね」

『ああ、そこらへんはちゃんと改良してるのか』

「そりゃね、こっちの都合で呼び寄せて帰れませんなんて非道なことはせんよ。まあ、そこらへん調整するのに時間がかかって今日実験する感じだけどねー」


理論上はすべて問題ない。仮にアンカーが相手の世界に設置できなかったとしても、少なくとも座標が判明して転移することはできるようにはしてある。それゆえに帰すことができないというようなことはまずおこらない。


「んじゃ呼ぶぞー」


そう言って手をかざすと魔法陣の輝きが一層強まる。


「『我は希う。異なる世界の住人よ。我が呼びかけに応えよ。我が問いかけに応えよ。我が願いに応え、いざこの地へ姿を現したまえ!』」


クロウの呪文に応えるように魔法陣の輝きがより一層強くなった。


『おお!召喚口上ありなのか!』

『いるのその口上』

『いる(迫真)』

「口上ないと誤作動起こしかねないからこれを起動のキーにしてるんだよ」

『ああ、そう言うことか』


発動を終えたクロウがリスナー達の反応に答えていると輝きが収まり、そこに召喚されたであろう人物が倒れ伏した状態で召喚された。しかし、その姿は…


『えっと…』

『人…だよね?』

『その割には体がいびつだし肌の色が…』

『ところどころ緑色だったり紫色だったり…え、どういうこと?』


その姿はところどころにイボのような吹き出物があり、肌も見えている範囲で数色に別れている。無造作に伸びたであろう髪は荒れており、散らばるように広がっていて顔がよく見えない。


「もしもーし」


クロウが声をかけるが、召喚された人物は反応しない。


「んー…?呼びかけに応えてくれたわけだから生きてるはずだけど…ちょっと調べてみますかね」


そう言って鑑定をし始める。


「んー………うげっ、こりゃひどい。よく生きてるなこの子…」

「え、そんなに?」

「というか、この子ってことはもしかして女の子?」

「そそ。ライラと同じくらいの年の子かな?なんなの?異世界ってあの年代の子に厳しい世界なの?」


そう言いつついくつかの魔法陣を少女の周囲へと展開していく。


「んじゃちゃちゃっと治療しちゃいますかー」


そう言って複数の魔法陣を同時に展開し始めた。


「治療ってこの子どういう状況なの?」

「えーっとそうだね…わかりやすく言うと、この子使い古された浄水器のフィルターみたいな状態なんよ」

『つまり汚れやらゴミやらが大量にまとわりついている状態ってこと?』

「そそ。どうもこの子の体質なのか、澱んだ魔力を吸収して正常な魔力にして放出することで浄化できるみたいでね。ただ、それをするとその澱みのゴミが体内に蓄積しちゃうタイプなんだ。本来ならそれも別の人に浄化してもらえば問題ないんだけど、どうにもそれをされなかったみたいで…」

「その汚れがずっとたまってこの状態になったってこと?」

「そゆこと。その汚れた魔力が体内に蓄積され、体自体にも影響を与えたみたいだね。肌の色が変質し、余剰分の魔力がイボのような物になって噴き出てる。ひでぇ有様」

「治せるの?」

「問題ない。この程度内部の不純物を取り除いて魔力を循環させて正常化させるだけだからな」


そう言って魔法陣を動かしていく。魔法陣が不浄な物を少しずつ吸収していき、そして不浄な魔力を吸収して正常な魔力を流し込んでいく。治療が進むたびに変質した肌の色が戻っていき、イボも縮んでいく。


「それにしても、なんでこの子こんな状態に?」

「さてねぇ。澱みの浄化をしてたんだろうけど、よっぽど広範囲か高頻度にやらないとここまでひどくはならんもんだが…そもそも治療されたような様子もない。やらせるだけやらしてあとは使い捨てとかそんなところかもな。っと、これで良し。治療完了っと」


治療を終え、最後に鑑定で異常がないかを調べて問題ないことを確認する。


「さてと」


いまだに目を覚ます様子はないがそれでも話を聞く必要があるので、とりあえず適当な敷物を空間収納から取り出してそこに改めて寝かせる。その際にちらりと彼女の顔が見えた途端。


『あらカワイイ』

『そうだね、素朴な感じで結構かわいい子だ』

『ライラちゃんも同じようにかわいかったけど、今度の子は儚げな雰囲気やね』

『なるほど、つまりクロウさんはこういう儚げな子が好みなのか』

「クロウさん?」

「違うよ?」


唐突な流れ弾によってみらいにジト目でにらまれるが即座に否定する。


『でも、クロウさんに呼ばれてきたんだよね』

「まあ、そうなるな」

『ということはやはり呼び込んだクロウさんの趣味が…』

「いや、俺は適当に声かけてその声に答えてくれた人を招いてるだけだからね」

『つまりナンパして連れ込んだと』

「クロウさん?」

「違うからね?」

「はいはい。お説教は後々。それでこの子どうするの?」


長くなりそうになったところをシェルフが割って本題へと戻す。


「んー…元の世界に帰らすのもありだけど…でも、この状況になるまで…下手したらなった状態でも放置してた世界に帰らすのもなぁ…」

「すぐに帰らさないとダメなのかい?」


悩んでいるクロウへとマーサが問いかけてきた。


「ん?座標のアンカーはあるし、仮に消えてもこの魔法陣がある間はいつでも帰すことできるけど…」

「それなら目が覚めてしばらくしてから確認してみればいい。この世界で生きていくにしても手に職は必要だろう?」

「まあね。この子の力なら治療院で働けるだろう。きちんと内部の不浄を浄化できる環境に置けば苦しむこともなく力を行使することもできるだろうさ」


さすがに同じような待遇をさせるのは問題なので、そこらへんはきちんとしておく。まあ、そもそもこの子がそこで働くかどうかという問題があるのだが、そこらへんは目を覚ましたら聞けばいいだろう。


「とりあえずここにずっと置いとくわけにもいかないだろう。ギルドの医務室にでも連れて行ったらどうだい?」

「そだねー。んじゃあやることやったし帰るとするかー」


よういしょっと言いつつ少女を横抱きに持ち上げる。


「母さん、詩織さんをお願い」

「ええ、わかってるわ」


その後配信を終え、ギルドの方へと戻って少女を医務室へと預けた。

その時ギルマスから呼び出しを受け説教を受けたのだが、クロウ自身はどこ吹く風といった感じで一切響いていなかった。しかし、その後のみらいによるOHANASIはかなり答えたようだった。

そして肝心の少女はというと…。


「えっと…次の方…」

「はいはい!俺俺!」

「おいこら!次は俺の番だろうが!元気なのに割り込んでくるんじゃねぇ!」

「テメェこそ元気いっぱいじゃねぇか!!こちとら足を怪我してんだ引っ込んでろ!」

「んだとテメェ!!」

「あ、あの喧嘩は…」

「アンタ達うるさいよ!!騒ぐ元気があるのなら叩きだすよ!!」


少女…レイは『医務室の天使』という別名を密かに噂され、日々探索者の男たちの喧嘩の種になっていたりする。当の本人に悪気はなく、血の気の多い探索者達にベテランの看護師たちが怒鳴り散らして黙らせるというのが彼女が来てからの医務室の日課になりつつあるのであった。



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