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S級探索者は推し活のために探索する  作者: 黒井隼人


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S級探索者達は海龍神を圧倒する


クロウ、ジェニー、ロイ。三人の雰囲気ががらりと変わる。

N級魔物であり、水中で最強ともいえる水龍神:リヴァイアサンを相手に軽い様子見と称して先ほどまで軽い攻撃を加えていた。

しかし、それらが終わりということで本格的に攻め始めた。

両腕に魔力と水によって高速回転しているドリルをつけているクロウがリヴァイアサンへと超高速で突き進む。先ほどのジェニーの攻撃で自らの水の鎧をさらに分厚くし、今度は貫通弾にも対処できるように水の鎧に流れを作り出して攻撃を逸らそうとした。

クロウの右手のドリルの先端が水の鎧に突き刺さる。そして圧縮された水の流れがドリルを巻き込んで押し流そうとするが…。


「むん!」


力を籠めるとそのまま水の鎧を裂きはじめた。


「なっ!?」


身に纏う水の鎧をたやすく裂かれ驚きの声を上げるリヴァイアサン。そして裂いてできた空間に左手のドリルをねじ込み、そのまま突き進む。


「どりゃぁあ!!」


そしてそのままリヴァイアサンの体へとドリル事自らの左腕を突き刺した。


「捕まえ…た!!」


水中での魔法は物によってはうまく発動しない。炎であれば水で消され、雷であれば広範囲に広がりすぎ、氷だったら必要以上に凍らせて自らの動きを阻害してしまう。だからクロウ自身も魔法を使うことはしなかったが、今の状態ならば…。


「『ライジングフリーズ』!!」


突き刺した左手から魔力を解き放ち、雷と氷の合成魔法をリヴァイアサンの内部へと展開する。

迸る雷が巨体に流れ込み、その先で次々に凍り付かせていく。


『うわぁ…』

『えっぐいことしてんなぁ…』


全身から雷が迸り、ところどころ霜のようなものが飛び出始めているリヴァイアサンの姿を見てリスナー達もドン引きしている。

そしてクロウの攻撃によって動きが鈍くなっているその隙を見逃すほど二人は甘くはなかった。


「『チェインリフレクション』」


そう呟いたジェニーが連続で二丁拳銃のトリガーを引きまくる。それによってとてつもない量の魔弾が弾幕のようになってリヴァイアサンへと襲い掛かる。しかし、一部はクロウの攻撃によって水の鎧が剥がれはしたが、それでもすべての鎧が剥がれたわけではなく、それによって多くの魔弾の軌道が逸れて別の方向へと向かって行った。しかし、それをジェニーは予測していたようで、その逸らされた先の魔弾が変わった動きをし始める。


『なんだあれ?』

『?なんか魔弾の動き変じゃね?』

『ほんとだ。意識してさせた動きって感じじゃないね』


リスナー達もそれに気が付いたようで魔弾の動きに違和感を感じ始める。そしてその光景を見ていたみらいはその違和感の正体に気が付いた。


『魔弾同士がぶつかって跳ね返ってる…?』

『え…?あ、ほんとだ』


みらいの言葉を聞いてシェルフがよく見てみると、確かに水の鎧によって起動が変わった魔弾が別の魔弾にぶつかり、さらに軌道の変化が発生している。


『なんかたまにショート動画で見かけるブロック崩しの奴みたいな動きしてる』

『ミャオ……』

『チュピチュピチャパチャパ…』

『唐突な猫ミーム』

『水の鎧を崩していると見せかけてブロック崩していた…?』


リスナー達が話している間もジェニーは魔弾を放ち続け、大量の魔弾がリヴァイアサンを覆っていく。魔弾はぶつかり合うことで角度が変わり、それだけでなく反発し合うことでさらに加速、回転しだしてどんどん勢いが増していく。その結果徐々にリヴァイアサンの水の鎧を突破しつつあった。


「この…!?」


煩わしいというように尻尾を動かし、周囲を動き回る魔弾を叩き落そうとするが、その動きによって発生した水流に乗ってさらに加速し始める。それをさらに振り落とそうと動くが、先ほど流し込まれた雷と体から生えている霜によって体の動きが鈍くなっている。


「その尻尾、邪魔だな」


静かにつぶやいたロイが暴れ回る尻尾の前へと移動し、容易く受け止める。そしてドリル形態の先端を水の鎧へと突き刺して鎧を裂いていくとそのままリヴァイアサンの体へと突き刺した。


「『ソードモード』」


突き刺した武器に魔力を送り、そのドリル部分を両刃の剣へと変化させる。


「むん!」


力を籠めて振り上げるとリヴァイアサンの体を切り裂きながら刃が体内から飛び出す。そして即座にさらに魔力を籠めることで刃を巨大化させ、更に力を籠めて振り下ろすとスパァンと水の鎧ごとリヴァイアサンの尾を叩ききった。


「ぐあぁぁぁ!?」


『すげぇ!』

『一刀両断だ!』

『ワザマエ!』

『はぎとらねば(使命感)』

『ハンターがおる』


尻尾が切られた激痛でリヴァイアサンが暴れ回る。


「おわっとと」


そんな状況にいまだにリヴァイアサンに片腕を突き刺していたクロウが振り回されていた。


「暴れる…な!!」


力を籠め、リヴァイアサンへと魔力を大量に流し込むとそれによって大暴れしていたリヴァイアサンの動きがピタリと止まった。


『力づくで止めやがったwww』

『相変わらず化け物か』

『まあクロウさんだし…』

『ほんと便利よねその言葉』


唐突に動きが止まったリヴァイアサンへと周囲を動き回っていた魔弾が大量に叩き込まれ、その鱗と身を削っていく。


「ソウヤ!そろそろいいんじゃないかしら?」

「だなー」


弱ってきているのか周囲の水の鎧はだいぶ薄くなってきた。それゆえにクロウ達の攻撃もたやすく通るようになってきた。


「んじゃ終わりにしますか」


そう言ってリヴァイアサンから腕を引き抜き、少し後方に下がる。


「このサイズなら…これくらいで十分かな?」


そう言って両手を開いた状態で向き合わせるとそこに十枚の魔法陣が展開された。


『久々に見た多重魔法陣』

『そう言えば最近見てないな』

『まあ使う相手ってそうそういないし…』


高威力を持つ多重立体魔法陣。強敵に対しては止めの一撃だったり、防御力の高い相手への有効だとして使っている。まあ、それが必要になるのは基本的にS級以上の魔物だったりするのでめったに使うことはないのだが、それでも少し前のN級騒乱の時に大盤振る舞いしていたので、リスナー達としては見慣れた光景の一つでもあったりした。

手を叩くことで十枚の魔法陣を重ね、再度広げることで魔法陣を発動させる。


「多重魔法陣 十式」


魔法陣が輝きだし、一本の槍を作り出す。


「『雷斬』!!」


ヒュン!とすさまじい速度で投げられた槍はたやすくリヴァイアサンの体を貫く。そして貫いた直後にリヴァイアサンの体に電撃が迸る。その直後に先ほど貫通した槍が急に方向を変え、再度リヴァイアサンへと向かって行く。


『槍の方向が変わった?』

『リヴァイアサンを狙って何度も方向が変わってる?』

『磁石みたいに引き寄せる性質でもあるのかな』


リスナーが察したようにこの雷切には複数の性質が宿っている。一つは感電。槍事態に電気が流れており、貫いた対象に雷を流し込んで帯電させる。そしてその帯電させた相手に対して引き寄せられていく。そして再度貫かれるときにその帯電している電気によって槍事態の速度がレールガンの要領で加速していく。そしてさらに帯電の量を増やしていく。帯電する電気が増えるにつれてどんどんやりも加速されていき、すさまじい勢いでリヴァイアサンを貫き続けた。


『やべぇ、どんどん早くなってる』

『もう一瞬も映らんやん』


すさまじい速度で移動する槍は目視できないレベルの速度になってリヴァイアサンに無数の穴をあける。


「そろそろいいだろう」


クロウの言葉を示すように槍がクロウの手元へと戻ってきた。


「さあ…トドメだ」


感電し、身動きができないリヴァイアサンへと突貫していく。そしてその手に持つ狩りを体内へと埋め込むように突き刺した。


「解放」


クロウの言葉に答えるようにドォン!とすさまじい音と共に埋め込まれた槍の魔力が解放され、帯電している電気と共にリヴァイアサンの体を駆け巡った。


「ぐ…ぉ………」


煙と共に口から声にならない声が漏れ、リヴァイアサンの姿が消えて魔石と素材が遺された。


「討伐完了っと」

『おおー!』

『さすがL級とS級』

『危なげなかったね』


リヴァイアサンの姿が消え、リスナー達の間にも安堵の雰囲気が流れる。


『クロウさん、これであとはダンジョンコアを回収すればおしまいですかね?』

「ああ。その後は転移でも使って入り口付近に移動して脱出だな」

「あっけなかったわね」

「N級魔物というのはあの程度なのか?」

「まあ、大体あんな感じかな。ここはリヴァイアサンにとっては有利な場所だし、他の奴よりかはいささか強い感じだが大体あんな感じだったな」

「あれくらいなら私達でも対処できそうね」

「だな。N級魔物というのがどれくらいの強さか知りたかったし、ちょうどいい相手になった」

「あっそ。まあ満足できたのなら何より。んじゃあとっととダンジョンコアを確保して今回の一件を終わらせよう」


クロウの言葉に二人は頷き、更に潜っていく。しばらく進んでいくと海底にうすぼんやりと明りが見え始める。


『あれは…』

『ダンジョンコアだね。露出してるんだ』

「まあな、基本的にダンジョンコアのある部屋があるが、そこにあるドアは後付けでそのダンジョンを攻略後に設置する物だからな」

『ああ、だからギルドカードを提示する場所があるのか』

『確かに、あれがあるのって普通に考えておかしいもんな』

『後付けなら納得』


そんな話をしている間にダンジョンコアの傍へと到着した。


「さて、それじゃあこれを回収してさっさと…」


帰ろう。ジェニーがそう言おうとした途端にふとダンジョンコアの姿が消える。


『え?』

『消えた?』


みらいやリスナー達が驚くが、それ以上の驚きがクロウ達を襲っていた。

みらいたちからしたらダンジョンコアだけが消えたように見えたが、クロウ達からするともう一つ消えた物があった。

それは…


「どこだここ…?」

『え?』


クロウがつぶやきつつ手のひらに炎を生み出す。


『あれ?炎?』

『水中だから作りにくいんじゃ…?』

「水が消えたのよ。あの一瞬で」

「水が消えたというより、俺たちが別のところに飛ばされたんだ」


突然の状況に驚きつつも即座に戦闘態勢を取る三人。そしてこんなことをする奴が誰なのか。クロウは推測できていた。


「………ずいぶんと手の込んだことをするんだな」

「ソウヤ?」

「いるんだろ?出てこい、探究者」

『え、探究者!?』

『今回もかかわってるのか?』


クロウの言葉にリスナー達がざわめく。そんな中手を叩く軽い音と共に少し離れた位置に一人の青年、探究者が姿を現した。


「よくわかったね。僕がいるなんて」

「こんなことするのはテメェ位だろ。今回の件でもテメェが関わっていたのか」

「まあね。といってもあくまでこのダンジョンにあのリヴァイアサンを生み出しただけだけどね。君が来てくれたらありがたがったけど、来るかどうかわからなかったからまあどうでもよかったんだけどね」

「あっそ。で、何が目的だ?」

「別に。ただ君の本気を見たかっただけだよ。まあ、あの程度じゃそれも無理だったようだし、想定外の二人がいたから無理だったけどね」

「あら、私達がお邪魔だったと?」

「そうでも無いよ。君達のような強者がいると知れたのも一つの収穫だ。ついでだから君達がどこまでできるか。少し試させてもらおうか」


そう言って探究者がニコリと笑った瞬間。クロウの拳が探究者の顔面へと突き刺さり、その体を吹き飛ばす。


「ちょうどいい、兄さんと姉さんにしたことの借り、返せてねぇんだ。その分まとめて返してやらぁ」


空間収納からおのが武器の指ぬきグローブを取り出し、それを装着してクロウは鋭い目つきで探究者を睨みつけた。




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