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S級探索者は推し活のために探索する  作者: 黒井隼人


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S級探索者は精霊を拾ったダンジョンへと赴く

シェルフに関する説明配信をした日の夜。


「…そういえばあそこ調査してないな」

「あそこ?」


膝上で丸くなっているルディを撫でながらぼそりとつぶやくように漏れた言葉に背もたれになっているマーサが反応した。


「シェルフを拾ったダンジョンだよ。昨日話していてそう言えばあそこの調査はしてないなと思いだした」

「本来なら真っ先に調査する場所じゃないかい?」

「そうなんだけどねぇ。当時何も見つからなかったから記憶から抜け落ちてた」

「何もなかったんかい?」

「ああ。シェルフがそのダンジョンの中では特異な物だったからな。なぜそこにいるのか?シェルフが何者なのか?一応その場で軽く調査はしてみたんだが…」

「何も見つからなかった、と」


クロウが頷いた。


「別世界からの転移とかなら空間の歪みとかあると思うけど、それも見つからなかったからなぁ」


あの場でしたのはシェルフが転移したであろう痕跡の確認。魔素の違いからシェルフがダンジョンとは全くの別の存在であろうことは推定できたが、どこから来たのかがわからないのでそれらを探ってみたのだが、それに関する痕跡が見つからなかった。


「あの時よりかはいろいろとできるようになっているし、今調べてみれば少し違うかなぁ…」

「どうだろうね。まあ、とりあえずわかることがあるかもしれないなら調べてみるのがいいんじゃない?」

「だなぁ…ちょいシェルフに言って来るわ」


よっと。と声を上げて立ち上がる。まどろんでいたルディが不満げな声を上げるが、それをなだめつつマーサの方へとルディを預けてから部屋を出る。


「シェルフー、起きてるかー?」


シェルフの扉をノックしながら声をかける。


「マスター?どうしたの」


扉が開いてシェルフが顔を出す。


「ああ、明日だがちょっと調査行ってくる」

「どこに?」

「シェルフを拾ったダンジョン。あそこ今回の一件の後で調べてないこと思い出してな」

「あれ?他の人が調べたりしてないの?」

「たぶんしてないんじゃないか?というか、たぶんしたとしても他と同じ感じだと思うから細かいところまではわからんかもしれん」

「そうなんだ。明日何時ごろ行くの?」

「んー…午前中に行って夕方当たりには帰ってこようかなと思ってる」

「わかった、みらいちゃんにそう伝えとくねー」

「ああ」


伝えることは伝えたので扉を閉めて自室へと戻ろうと歩き出す。


「…ん?」


ふと浮かんだ疑問に首を傾げた。


「なんでみらいちゃんに伝えるんだ?」


そう呟くが、シェルフには届くこともなく、まあいいかと思って自室へと戻った。



そして翌日。

クロウはマーサと共にシェルフを拾ったダンジョンへと来ていたのだが…。


「ここがシェルフちゃんがいたダンジョン?」

「らしいよ。私は覚えてないけど」

「ここはB級ダンジョンですから油断は禁物ですよ」


みらいとシェルフ、詩織の三人とリル、フィン、エメルたちも来ていた。


「どうしてこうなった」

「そりゃ、シェルフに伝えればこうなるだろうさ」


ため息交じりの呟きにマーサがあっけらかんと答えた。

午前十時ころに準備を終え、シェルフに声をかけてからダンジョンへと赴こうとしたら、それよりも早くに自宅へとシェルフがみらいたちを招いていた。

そしてそのままクロウの調査へと同行し、配信もするという話になってしまったのだ。


「特に隠すこともないんだろう?」

「現状ではなー。何が発見されるかわからんから何とも言えないのが事実だが」


現時点で判明していることはない。今回の探索で精霊たちの拠点が判明すればいいのだが、それだってまずありえないだろう。

とはいえ、何か余計な物を見つける可能性がないわけではないので、そこら辺を懸念はしているのだが。


「まあ、なるようになるか」


配信内で見つかるのがまずい物なんて他にもないわけでも無いし、他の配信している探索者の配信で見つかることもあるから、考えても仕方ないだろう。


「さて、準備はできてるかい?早めに調査進めちゃおう」

「あ、はい。わかりました」


みらいたちを促し、クロウは調査を始めた。



「さて、それでは改めて、私たちは以前クロウさんがシェルフちゃんを見つけたというダンジョンに来ています」


配信を始め、挨拶もろもろを済ませたみらいが今いるダンジョンについて話していた。


『ほえー、ここが』

『ここってB級ダンジョンなんだっけ?』

「そうそう。ここは階層変異ダンジョンでな。基本的に階層ごとに環境が異なるダンジョンなんだ」

『それって前に言ってた火山の下に氷河があるみたいな感じ?』

「そこまで極端ではないがな。森の下に洞窟があったり、その下に墓地があったりと。似た環境ではあるが、テーマが違うというのかな?そういう感じの洞窟なんだ」


今来ているダンジョンは全三十階層。一つ一つの階層で出てくる魔物の種類が違い、素材集めや魔石集めに結構貢献しているダンジョンだ。


『なんで今更ここに来たの?』

「改めて調査してないなと思い出してね。そもそもここは他の人も来てるだろうし、何か異変があれば報告されている場所なんだよ」


このダンジョンは結構人気のダンジョンであり、B級ダンジョンであるがゆえに、高ランクの探索者たちがよく訪れたりもする。それゆえに何かしらの変化があれば真っ先に報告されるであろう場所でもあるのだ。


『クロウさんなら何かわかるとか?』

「どうだろうな。シェルフを見つけた時にも調べたけどあの時は何もわからなかったから」

『今だと何かわかるかもしれないから、念のために来たって感じ?』

「そんな感じ」

「シェルフちゃんを見つけた場所って覚えてるの?」

「忘れた」

『おい』

「仕方ないだろ。いかんせん二年も前の話だぞ?それに何か目的があってきたのならともかく、魔石集めに来ただけなんだから」

「適当なところで探索していてたまたま見つけたって感じですか?」

「そんな感じ。だからふらふらうろついていたからどこで見つけたか覚えてないんだよね」

「具体的にどんな魔物を倒していたかは覚えていませんか?」

「基本ワンパンしてたからなぁ…」


詩織の問いかけに思い出そうと考えだすが、なかなか思い出せない。


『B級ダンジョンの魔物をワンパンしてたらしいですよ』

『まあ、クロウさんだからなぁ…』

『二年前からそうだったのかぁ…』

「まあ、進んでいけば思い出すだろ。あの頃からある程度は効率求めて動いていたから」

「マスターなら後半行ってそうだよね」

「そうですね。二十階層前後を目指してみましょうか」


詩織の言葉に全員が頷いた。

そのまま特に急ぐこともなく階層を降りていく。

途中途中で出てくる魔物を基本はみらいたちのチームが倒すようにして、数が増えてきた場合はクロウが処理していた。


「…ふぅ…数が多いですね…」

「今いる階層は小粒の物が多いからなー」


今いる階層は八階層。ここは森林地帯となっており、昆虫系の魔物が多い。

昆虫系の魔物は一体一体はそこまで強くないのだが、その分数が多く、その物量によって押しつぶそうとしてくる。


「うぅー…気持ち悪い…」

『虫故に仕方ないかもだが、集まると絵面がきっつい…』

『集合体恐怖症のワイ、無事死亡』

『無理せず画面外すなり見るのやめるなりしとけよ』

「マスター、これどこまで続くの?」

「んー?次の階層も同じ感じで、その次はボス部屋だったかな?」

「十階層ごとにボス部屋があるんですか?」

「ああ。十階層はメタルシザーズ。鋼鉄でできている巨大カマキリだな。その鋭い釜はどんな盾だろうと容易く切り裂くから、まともに攻撃を受けたらタンクだろうとひとたまりもないな」

『ほえー、強敵なん?』

「どうだろうな。基本ワンパンで消し飛ぶからわからん」

『この人に聞いても参考にならないな…(´・ω・`)』

『まあ、化け物レベルの強さだからね…』

「クロウさん、私達で戦っても大丈夫ですか?」

「んー…リスクはあるけど、まあ大丈夫かな。兄さんと姉さんもいるし、詩織さんもいるし」


メタルシザーズは巨大な鋼鉄製のカマキリのような物であり、その頑丈さと大きさからのリーチの長さ。そして一撃の鋭さからそれなりに強敵ではある。しかし、リルとフィンならばその程度の攻撃に当たることはないし、詩織であってもさばききることはできるだろう。

シェルフも回避をメインにすれば攻撃が当たることはないだろうが、その硬さからまともにダメージが与えられないかもしれない。みらいは遠距離からの攻撃なので油断さえしなければ攻撃範囲に入ることはないだろう。


「火力がいささか心配なところもあるが、まあ、そういった部分で足りない部分を知るのも大事だろう」


これから先探索を続けていけばゴーレムのように頑丈な敵も出てくる。そういった敵の対処法を今のうちに学んでおくのもいいかもしれない。


「んじゃここらへんは鬱陶しいからサクサク進むかー」


そう言って指を鳴らすと離れた場所で何かが爆ぜるような音が聞こえてきた。


『……何したの?』

「近くにいた魔物消し飛ばした」

『最初からやれ定期』

「やったら取れ高消えるやんけ」

「アハハ…」


あっけなく対処していくクロウにみらいも苦笑を浮かべていた。


その後下の階層も変わらずクロウが雑魚敵を対処して最短距離で次の階層へと向かった。

そしてあっという間に十階層にあるボス部屋の扉の前へと来ていた。


『クロウさんが本気出すとこんなに早いのか…』

「まあ、大抵の敵はワンパンだし。んじゃ次はボス戦だ。さっき話したようにメタルシザーズだが。俺は基本的に離れた場所で見てる。手を出すことはしないし、俺の事は気にせずに敵に集中して戦ってくれ」

「わかりました」


そう言って数歩後ろに下がる。詩織たちは作戦会議をし始めた。


「それで、何か変化はあったかい?」


のんびりと後方で待機していたマーサが問いかけてくる。


「今のところ何も。やっぱもうちょい下層だったかなぁ…」

「だろうね。ここまでくる際に狩ったのは数が多いがその分小粒だった。クロウが求めているような魔石を落とすとしたらもうちょい先だろうさ」

「やっぱそうかぁ…」


ここまで来た際に倒した魔物は強くてもC級クラスだった。数が多いので大量に魔石が手に入るが、それでも求めているB級魔石にはならない。そうなるとやはり更なる下の階層をうろついていたんだろう。


「ちなみにボス部屋を往復していたってことはないのかい?」

「それだったらさすがに覚えているよ。特に意識せずに適当に歩いていたから覚えてないだけで」

「それもそうだね。っと相談が終わったようだよ」


話し合いが終わったようでみらいがクロウを手招きしていた。


「準備はできたかい?」

「はい!」

「いつでもいいよー」

「あいよ。んじゃあ行くとしますか」


グッと扉を押し開けてボス部屋の中へと入った。



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