表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/15

冒険者ギルド 2


ーピーピー!


暫くすると、炊飯器ような音が聞こえた。…これも、魔導具の一瞬だろう。


そう考えていると、奥から先程の受付嬢が丁寧な足取りで、ピンと背筋を伸ばしやって来た。


「こちらが、ユリウス様の冒険者カードになります。現在、ユリウス様は登録したてですので、5級と成っております。細かい注意事項は、カードの裏に書かれております。冒険者ギルドとランクに付いてのご説明は必要でしょうか?」


「お願いします」


「承りました。冒険者ギルドでは、基本的にギルド員同士の争いは、話し合い、もしくは決闘でのみ、解説されます。また、法律違反や、非人道的な行いは、冒険者カードが剥奪される事もあります。その場合は、今後冒険者登録が不可能となります。ここまでで、ご質問はありますか?」


「ギルド員同士のだと、双方が分かっていない場合は如何なるんですか?」


「その場合は無効となります。ギルド外部での出来事に、ギルドが責任を取ることはありません。ただし、それらを発見した冒険者が、ギルドへ報告しなければ、規約違反と見做され、降格の可能性があります。」 


「非人道的な行いってなんですか?」


「新人イビリなどですね。半ば容認されている部分もありますが、発覚した場合は直ちに処分が下されます。」


「ありがとうございます。」


「では、ランクに付いて、ご説明致しますね。ランクは下から、5級、4級、3級、2級、1級となります。別名、初心者、中堅、優秀、天才、英雄とも呼ばれます。5級からの昇給は、一つ上の4級の依頼を5つ、5級の依頼を10個受けることです。また、3級からは、昇級依頼を指定させて頂きます。依頼にランク制限はありませんが、下級ランクの依頼ばかり受けることは、推奨されておりません。酷い場合は、非道徳的な行動として処分が下されます。また、依頼を受ける場合は、依頼書が貼り付けてあるピンを取ってから、破らないようお取り下さい。ここまでで、何かご質問はありますか?」



「ありません」


「冒険者カードに付いて、ご説明します。まず、カードに5級の証である、星が5つ記載されて、いるかご確認下さい」


鈍色の星が5つ描かれていた。


「あります」


「では、カードに少量の魔力を通して下さい」


「おぉ〜!」


私は歓声を上げる。魔力を吸込んで、カードの文字が変わり、私がさっき記入した情報が現れた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前 ユリウス


種族 エルフ


年齢 15


武器 弓


魔法 精霊魔法


備考)なし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ご確認出来たようですね。これで登録は終了致しました。早速依頼をお受けに成りますか?」


「お願いします。それと、宿屋の値段の平均を教えてくれませんか?」


「畏まりました。宿屋の平均は、銀貨5枚前後、安いところでは、3枚程ですね。初心者の方には、薬草採集を推奨しております。エルフの方であれば、大丈夫だとは思いますが、森の魔物に十分お気をつけ下さい。こちら、薬草採集の依頼です。ご確認下さい。また、薬草図鑑もありますので、ご確認下さい。依頼ボードの端、あちらの方向にございます。」


言われた通りの方を見ると、依頼ボードの影に隠れるように、何種類かの本が小さな机上に、鎖で繋がれ設置されていた。


「分かりました。ありがとうございます」


精霊に聞けば分かると思うが、一応確認しておこう。




「薬草採集は、常駐依頼ですので、手続きは必要ありません。また、薬草は、1株銅貨1枚です。その他の効能のある草花の買い取りは、依頼が発注されていない場合、値段が下がり易く成っております、お気を付けください。また、依頼達成報告は、あちらの討伐&採集カウンターをご利用ください。赤色のリボンを付けた受付嬢のカウンターです。」


私は、この人が気に入った。もちろん恋愛的な意味ではない。


他の受付嬢たちは、あからさまに私を凝視してくるが、この人は私が入って来た時から徹頭徹尾、仕事の顔で対応してくれた。


単純に、他の受付嬢だと居心地が悪そうだから、行きたくない。もちろん、無理であれば、仕方ないけれど。


「ありがとうございます。ここで依頼を受けることは出来ないんですか?」


私がそう言うと、他の受付嬢から、チラホラと妙な声が上がった。彼女らに付く守護精霊が感情を表に出して、とても残念そうにしていて、驚いた。


守護精霊とは、ある特定の生き物に魔力を貸し与える精霊の事で、例えるなら、前世で言う守護霊という所だ。


彼らの表情を隠せるようになるのが、1人前のエルフの証だ。もちろん僕も出来る。だが、人間はそうでないらしい。因みに、エルフは15歳から成人だ。


次いでに、目の前の受付嬢に付いている守護精霊たちは、先程から妙にそわそわと彼女の周りを飛び回っている。


受付嬢は一瞬考える素振りをして、告げる。


「…可能ですよ。ただ、専門のカウンターではないので、少々時間が掛かります。また、私は討伐や採集に付いて知識を持っていますが、他の受付嬢までは保証いたしかねます。討伐カウンターで依頼を受けることを推奨しますね。」


「分かりました。ご丁寧に説明頂き、ありがとうございます。」


「こちらこそ、ありがとうございました。」


「はい」


「冒険者には、乱暴な方や説明を省く方が多いので、久しぶりに良い仕事が出来た気がしました。」


「それって褒め言葉ですか?」


「もちろんですよ。」


受付嬢は、くすりと笑う。私も笑い返した。今度は、受付嬢は硬直しなかった。私は再び、受付嬢令嬢にお礼をした後、図鑑コーナーへ行く。


図鑑をパラリと捲ると、初めのページに貴重な薬草として、描かれていた。


グッドボタン、ブックマーク、高評価、感想、誤字脱字の指摘等々、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ