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援軍


「あのーこれって、なんですか?」


「今から森へ援軍を出しに……ユ、ユリウス様?」


「ユリ様!?」


「何で帰って来たんだよ!?」


「何でって言われても……」


私は苦笑いしながら答えた。


「大したことなかったので。」


「っなんだよ、驚かすなよ!」


「でもユリ様が無事で良かったぁ〜…」


「皆さん、もう大丈夫ですよーー!援軍は必要なくなりましたーー!」


赤色のリボンの受付嬢が冒険者たちに伝える。


「…あ?」


「…よっしゃ!帰って寝よ。」


「マジかぁ…肩透かしかよ。」


「ベラさんが敬語…明日槍でも降るか?」


冒険者たちはザワザワとしつつも、解散していく。


「ユ、ユ、ユリウス。か、帰って、き、来たのね。」


赤色のリボンの受付嬢が話しかけてきた。初対面で自己紹介もまだなのに名前呼び…?距離感が近い人なのだろう。


「はい。あなたは?」


「べ、ベラです!討伐&依頼カウンターの。」


「よろしくお願いします、ベラさん。改めて、ユリウスです。」


「は、はいっっぃ!」


ベラさんの精霊は不安定で彼方此方をビュンビュンと飛び回っている。嬉しすぎて舞い上がっている、という動作だ。少し微笑ましいけど、そこまで喜ばれると逆に気が引ける。何かについて過大評価されそうな気がした。


「ユリウス様、どんな魔物が居たか聞いても宜しいですか?」


対して、緑のリボン受付嬢さんの精霊は多少揺れてはいるものの、冷静な雰囲気だ。だけど、冷徹ではなく、温かい雰囲気だ。


「オークとゴブリンです」


「討伐の証となるモノは持っていますか?」


「いや…吹っ飛ん…ゴホン。逃げられました。」


「分かりました。2匹は共に行動していたのですか?」


「そうですね。」


「それは変ですね。普通はあり得ません……参考までにお聞きしますが、何処から向かって来ていましたか?」


「東です」


「…ダンジョニア帝国の方向ですか、分かりました。ありがとうございます。」


「……っあ。薬草持って来てな……ん?」


私は服に違和感を感じて、手を突っ込むと、三つ葉の薬草が入っていった。恐らく、精霊たちが入れてくれたのだろう。私は苦笑いした。


「風よ」


私は精霊にお願いした。服の袖に入った薬草たちが勢い良く飛び出し、カウンターの上に乗っていく。


「ひゃぅ!」


今度は首元から出てきた三つ葉が勢い良く耳に当たって、結構大きな声が出てしまった。……少し恥ずかしい。


昨日の今日ですらなく、今日の今日である。学習しない自分を殴り飛ばしたい。でも、殴ってこれ以上悪くなってもいけないので、自重する。


「お耳汚しを失礼しました。」


私は緑のリボンの受付嬢に目線向けてから、ベラさんにも向ける。


「いえ…」


「だ、大丈夫!です!寧ろ、かわっ…ゲフンゲフン」


ベラさんは咳をする。


「大丈夫ですか?」


「は は は はい!」


〇ーグルで検索した言葉の横のスピーカーを連打されたのかな?ベラさんの守護精霊はビュンビュンと動き回って楽しそうだ。


「これで全部です。」


カウンターに積まれた三つ葉は結構な量になっていた。だいたい、両手で掬っても溢れるくらいだ。いつの間に、これ程詰め込まれたのやら。守護精霊の謎は深まるばかりだ。


「はい、少々お待ち下さい。」


「エルフの耳が敏感と言うのは、本当だったのね!あの、優しく触るから、触らせて!お願いユリ様ぁー!」


「…遠慮しておきます。」


「ユリ様、宿屋は取ってる?」


「いえ、取っていませんよ。」


「じゃ、じゃあ、シスターに今日泊めて貰えるように、お願いするから!」


「…ですが」


「こんな夜じゃあ、宿屋空いてねぇーからなぁ…」


「うぐッ…」


「あ、あの。そ、それなら、あ、アタシの家に…」


ベラさんは言う。


「それは、流石に悪いですよ。」


「そ、そんな事、ぜ、全然ないです!」


ベラさんの精霊は、緊張のせいかガチガチだった。


「無理しなくて大丈夫ですよ。」


「ち、違くて…ほんとに……モニョモニョ」


最後の方は聞こえなかった。


「では、ギルドに泊まりますか?丁度一部屋余って有るので、お貸し致しますよ?」


「良いんですか!?」


「はい。では、ギルドマスターに確認してきますね。」


「名前を教えて貰っても良いですか?」

 

「グレゴリオです。」


「いえ、貴方の名前です。」


「っあ、失礼しました。オリビアです。」


「オリビアさん、宜しくお願いします。改めて、ユリウスです。」


私はオリビアさんへ手を差し出した。



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