第二話
少女は教室の片隅で本を静かに読んでいた。
「あの…君、新入生だよな?」
と翔は少女に問う。
すると少女は酷く驚いた様子でこちらを見てきた。
「えっと…突然声かけてごめん。こんなところで何してるんだ?みんなもうとっくに帰ったぞ?」
少女は一瞬困惑した表情を浮かべ問に答えた。
「え…見ての通り本を読んでますが…?」
「それはそうなんだけど…帰らないの?」
少女は再び困惑した表情を浮かべた。
「お、親が迎えにくるのを待ってるんだよね。来なくていいけど。」
「そ、そうか…。」
沈黙が続く。
先に沈黙を破ったのは少女の方だった。
「ねぇ、暇?」
「えっ…暇だけど…」
「じゃあちょっと付き合ってよ。ゲームしようぜ!」
「お、おう…?」
翔の思考は停止していた。
ゲームなんていうからしりとりとかそうゆうのかと思いきやこの少女、ナンプレをし始めたのである。
「なんだこれ…意味がわからない…ていうかなんでナンプレ…」
「あれ?あんたナンプレしたこと無いの?1マスも進んでないじゃん」
翔は返答をできずにいた。なんせ翔はナンプレの存在もやり方も少し知っている。
なのに未だ1マスも進められていないのは何故なのか。
その答えはすぐにわかった。
「あ、ごめん。それ上級者用だわ。しかも上級者でも苦戦するタイプの。」
「…。」
思わずぼーっとしてしまった。
「あ、でもごめん。私初心者用持ってない。私には簡単すぎるからね。」
さり気無くマウントを取られたが実際この少女、翔が持っているものよりも難しそうなものを爆速で解いていた。少女が言っていることは事実なのだろう。
「こんなのフェアじゃなかったね。ごめんごめん。勝負は平等に楽しめなきゃね!」
「これ、勝負だったのか?」
「え?」
しばらく続く沈黙。
「あ、トランプでもやる?」
さっきまでのやり取りは無かったことになったらしく、仕切り直したようだ。しかし時間が迫っていたので
「ごめん俺そろそろ帰らないと…。」
と断った。
「そ、そっか…。」
少女はどこかに寂しそうな表情で言う。
「…また遊ぼうな」
と翔が言うと少女は嬉しそうに
「相手してやるぜ!!」
と笑顔で言った。
翔は学校を後にしてふと思った。
そういえば少女の名前を聞いていないと。
「じっちゃん生徒名簿失くしてそうだし、明日会ったら聞くかー」
と翔は心の中で明日を楽しみにしつつ帰路に着いた。
通学路の桜は満開だった。
読んでくださりありがとうございます。
少しでも良いなと思っていただけたら幸いです。
それではまた次回お会いしましょう。




