第3話 “人形少女、でびゅ~する” ★挿絵/写真あり
カシャ、カシャ。
カスタマーさんの白くて小さかったのとは違う、黒くて大きてごついの。筒がにゅって突き出していて。
今の私にはわかります、”かめら”と言うのよね。可愛い私を、オーナーが永遠に残したくて、写真を撮っているのですわ。
ちゃんと可愛く撮れているのかしら。
足元にはまだあの箱、白い布をかぶせたままの台。背後にはガラス窓。
ちょっと幽体離脱して覗いてみたら、随分高い場所みたいで、川や街並みがよく見えます。
寝間着の私が隣で見つめる中、朝ごはんをすまされたオーナー。名付けをしていただいた、思い出深いドレス。
オーナーの記憶によるとこれは、”おーくしょん”と言う場所で購入した、とっても特別なドレス。”砂糖菓子の少女のドレス”と言うお名前が付けられた、”でぃーらー”製の一点物? だそうですわ。
お膝の上で手をそろえて、お澄まし顔している私を、ぱしゃり。
薔薇の花を胸に抱いて、甘い香りに顔をうずめる私を、ぱしゃり。
窓から差し込む陽の光を背に、膝立ちした憂い顔の私を、ぱしゃり。
恥じらうようにオーナーから顔を背け、指の背を唇に添える私を、ぱしゃり。
ポージングを変えていただくたび、そっと優しく私に触れるオーナー。ちょっとドキドキしたそのお顔に、私は切なくなってしまうの。”可愛いよ、紗雪”、”あぁ、その表情、たまらない”、”んんん、いい!”そんな一言を添えて、ぱしゃり、する貴方。私からは言葉を返してあげられないなんて、なんて残酷なの。ただのお人形の私と、一生懸命向き合って、気遣いをしてくれる貴方に私は何も返せないの。
「ごめんね、紗雪。疲れたでしょう? 今日の撮影はここまでにしましょう。あはは、熱中しすぎて、お昼も大分過ぎていましたね。まあ、1食抜くくらいいつもの事。今撮れた写真、見てみませんか」
そう言って、ソファーの所に私を連れて行くと、お膝の上に乗せてくれたの!
黒い大きな塊、カメラの、先ほどまで私に向けられていたのと逆側。私にも見えるようにお顔の前に差し出してくれたわ。
あら、こうなっているのね? 黒い画面に私のお顔が映っているわ? あれれ、これは”かがみ”と言うものだったかしら。私の勘違い?
「時間でモニターが消えていましたね」
人差し指でカメラの右上を触ると。びっくり! 光ったわ! 明るくなって、私のお顔が見えなくなったの。
と思ったら、私だわ、私がいるの。でも、今お膝の上で至福の時を噛みしめている私ではなくて、さっきまでオーナーにポージングしてもらっていた私よ。なんて不思議なのかしら。
「うん、良く撮れていますね。きちんと見るのは後でPCに取り込んでからですが、やっぱりモデルが美人さんだと違います。背景が用意出来ていないのでアップ気味の写真が多めですが、紗雪がしっかり写せているので、これはこれで良いですね」
うっすらと開いた唇に添えられた指、アップで写された口元。一筋の髪の毛が絡んでなんだか少し退廃的。ああ、オーナーはきっとこんな細かな私の仕草の一つ一つに、妖艶さを感じて興奮なされたのね。た、確かに私が見ても、つやつやのリップと相まって、とってもその、色っぽいのだわ。
それに、あら。この時はずいぶんあどけなく写ってる。大人っぽく迫っているつもりなのに、オーナーからは頼りなげに見上げる乙女に見えていたのね。
面白いわ! 私があなたにポージングしていただいて、撮影してもらいながら思っていたことと、貴方がこうしてレンズを通して見ていた私。抱く想いの違いが、写真に写る鏡合わせの私から伝わってくるの。
1枚1枚、撮った写真を順番にカメラの後ろの小さな画面に映し出すオーナー。重そうだけれど、腕は疲れないのかしら。人形の私に見えるはずがない、そう分かっているはずなのに、しっかり私が見やすいように支えてくれている貴方。
最後に最初の写真が。
「あ、あはは。本体フラッシュをたいた時の写真ですか。これはひどい」
うぅぅ、これはあんまりだわ! パシャってまぶしい光に照らされたときの写真ね。
お外は明るかったはずなのに、真っ暗闇の中に浮かび上がる私。お目目はピカッて光って、強い光に照らされてのっぺらとしているの。まるでお化けじゃない。だめ、だめよ、この写真はすぐお消しになって。
「ですが、これもいい思い出。はは、今日は日差しが良かったので救われましたが、これからを考えるとストロボとかカメラ機材にも投資しないといけないでしょうね……」
え、え。消してくださらないの? お買い物は良いのだわ、でもその前にこの写真はダメよ! こんな写真を見ていたらオーナー、私の事嫌いになってしまうかもしれないじゃない。
「よし。ではPCに取り込んで。現像? のやり方も勉強しないとだめですね。画像加工のソフトまでは使いこなせないので、現像ソフトまで、まずは使えるようにしましょう!」
カメラをソファに一度置くと、私を左腕にそっと抱き上げるオーナー。肘の内側に私のお尻を落ち着けて、ちゃんとお顔が見えるように抱きしめてくれているわ。お顔にかかった灰銀色の髪をそっとのけて、前髪を整えるの。
「うん、やはり、かわいい。しばらくPCでの作業になるけど、隣で見ていてくださいね」
ええ。もちろんよ。貴女がする事なら何でも、いつでもお傍にいさせて、オーナー。
魔法よ、魔法だわ! オーナーの記憶の中にある物語に出てくる、おじさま魔法使いに違いないわ。
PCとモニター? それを使って、さっきカメラの小さな”えきしょう、もにたー”で見ていた写真を、大きく映し出したの。
そうしたら今度はね、右手に握った黒い物、”まうす”、ネズミさん? を指揮し始めたの。
するとなんて不思議なの。映し出された私の姿が、くっきり鮮明になったり、ほわ~んってロマンチックになったり。
カチカチってしたら、お顔が暗くてちょっと寂しそう。って思った表情が、途端に明るくなって、今の私みたいにきらきらとオーナーの事を見つめる、夢見る女の子な表情に見えるようになったの。
オーナーって、実は魔法使いだったのね。少し前の時間の私の姿を、こうして自在に操っているのよ。”がぞうへんしゅう?”魔法の使い手だったのだわ。ああ、もしかしたらその魔法で、私が語り掛ける言葉もわかったりしないかしら。”どうがへんしゅう”魔法がきっとそれじゃないかしら。ね、ちょっと使ってみてくださらない?
「では、いよいよ紗雪のTwikkerデビューですよ」
あら、残念。どうがへんしゅう魔法は使ってくださらないのね。お話ができたら素敵なのに……。
Twikkerって何かしら。んー難しそうなことがいっぱい頭に流れ込んでくるわ。
「そうですね……”ついに念願のドールの子をお迎えしました メイクカスタムは @xxxxxxxxxxxxxxx 様。名前は紗雪と名付けました。理想の子との出会いに感謝! #うちのこかわいい“ さっきの写真から4枚選んで……」
その4枚がお気に入りなのね?
て、ちょっと待って、Twikkerってたぶん世界中に向けて叫ぶのよね?
え、まさか、私の姿が。
待って、オーナー早まってはダメよ。その2枚目とかどう見ても、オーナーと私の睦実ごとの暗示みたいじゃない。あ、あ、その振りむき気味の横顔、オーナーを見て目を潤ませているみたいでなんだか、急にイヤラシク見えてきたわ。だめぇぇ!
「投稿完了と。後は撮影機材、どれがいいのしょう、いくつか候補は見繕ってありますが。机は発注してありますし。お、メールはドールショップからですね、ウィッグがもう届きましたか。せっかくですから明日、ウィッグを扱ってくれるという秋葉原の美容院に予約を入れてみましょうかね。紗雪、美容院デビューですよ?」
スマートホンを取り出したオーナーがリビングルームで電話をかけ始めたわ。
ドール用のウィッグ、明日。オリジナル。バンスが2つロング。全体的にカールさせて。
断片的な言葉しか聞こえないけれど。今はそれどころじゃないの。問題はこの目の前の悪魔の機械よ。私のあんな姿やこんな姿を世界に発信するこの悪い子、”ぴーしー”を何とかしなくちゃ。オーナーが戻る前に消せないかしら。って、ダメよ私動けないのだもの! あぁん、人形な自分が恨めしいわ。オーナーの意地悪。2人だけの秘密のお写真でもいいじゃないの。
ね、ねぇ。ハートの横の数字とか、くるくる矢印? の横の数字が少しづつ増えているわよ?
風船みたいな記号の横もちょっとづつ。
何かしら、これはいったい何がおきているの?
ハートの横が200、300。ひょっとしてこれはオーナーの心拍数というもの? え、これ大変なんじゃ。いけない、すぐ様子を見に行かなくちゃ。幽体離脱した視点でぴゅーってオーナーの元へ。
良かった、元気そうよ。だとすると、さっきのハートの横の数字は何だったのかしら?
あら、お紅茶を淹れているのね。温めたポットに缶から出した茶葉を入れて。やかんのお湯をこぽこぽ。湯気が出て熱そう。
じっと待つ間、ポットを見つめる横顔が渋いわ。黒い瞳でじーっと。何を思っているのかしら。
缶を戻した棚の中には、似た缶がいっぱい。全部紅茶の葉っぱなのね。黒い缶が多いけれど、オーナーのお気に入りかしら。
ティーストレーナーで茶葉を濾しながら、ちょろちょろ、白いカップが飴色のお紅茶で満たされてゆくわ。
いけない、ついじっと見入っていたら、もうベッドルームに向かって歩み始めてしまっているじゃない。
待って、待って。
「紗雪、お待たせ」
ああん、せっかく声をかけてくださったのに、意識を飛ばしていたから私の空っぽの身体に話しかけられてしまったわ。すぐに戻らなきゃ。
うん、やっぱりこの方が落ち着くかしら。しっかり自分の視界にオーナーを収めて。って、いけない目の前にはTwikkerの画面。そうよ、消してもらわなきゃ。ね、気が付いて、オーナー? 恥ずかしいからさっきのは消してくださいな。
「おや? ずいぶんたくさんの方が見てくださっていますね。お迎えを祝うコメントもこんなに。有難い事です。ほら紗雪、見てくださいこんなにたくさんの方が、貴女を見てくださっているのですよ。すごく可愛いって」
だから、それが恥ずかしいのよ~。お願い、分かって……!
って、だめね。いつになくきらきらした目で、私と画面を見比べているわ。
「うん、やはりストロボや、関連機材も買いましょう。もっと紗雪の真の美しさに迫った写真を撮れるようにならねば」
ああ、張り切ってしまっているわ。もう何を言っても無駄ね。
いいわ。
それなら私も、みんなを魅了してあげるのだから! 世界のみんな、みていなさい!
その夜もオーナーはちゃんと私を寝間着に着替えさせて、お隣で寝かせてくれたわ。こちらを向いて眠るあなたのお顔、なんてあどけないのかしら。
一晩明けて、今日はなんだかオーナーが少し慌てているのだわ。
「紗雪を連れて行くにはドールバッグに、ん~、どうするのが安全でしょう。ヘッドを外すのが一番……でもそれはなんだか嫌ですし」
黒い、長い、つつっぽみたいな鞄を前に、うんうん唸っているの。
「よし。紗雪、しばらくの間、申し訳ありませんが我慢してください」
な、なぁに、ちょっと怖いわよ? その手に持ったものは何かしら。
まるで顔を型取りしたような透明で半球形の何か。大きさは私のヘッド前半分と同じくらい。
私を気を付けの姿勢にして。え? 嘘でしょう? そんなことしたら窒息! は、しないけれど、なんだか嫌よぉ。
私のお顔を柔らかいスポンジのようなものでくるっと縦に巻くと、その透明の何かを私の顔にそっと嵌めてしまったじゃない!
宇宙飛行士の宇宙服、ええ、そうよそんな感じ。
「フェイスカバー、当たってはいなさそうですね」
“ふぇいすかばー?”それがこの透明なもののお名前なの? あ、オーナーの記憶にあるわね。お顔を守るためのドール用品? お人形を運ぶ時にお顔が傷つかないように守るための物なのね。私を心配して付けてくれたのね、オーナー。でもこれはちょっと息苦しいわ。少し眠っていた方が良さそう。
あら、気が利くじゃない。ふわふわの、ちょうど私サイズのお布団に寝かせてくださったわ。そして同じ大きさの掛布団も。
って、顔まで覆っているわよ、オーナー。それじゃまるで簀巻き、すまきよ! お顔は覆わないで~。
持ち上げられて、足首とお胸のあたりをぎゅって締め付けられる。2枚のお布団の間で、サンドウィッチの具みたいになってしまった私。
ああ、もう諦めたわ。寝る、私寝ちゃうから。
お休みなさ~い。
ジジーって、ジッパーの閉まる音を聞きながら意識を閉じたの。
ジジー、またこの音。
身体を縛り付けていた何かがほどかれて、私を挟み込んでいた不届きなお布団がどけられたわ。
透明なフェイスカバー越しでちょっと歪んだ視界に映るのは……ここはどこ? 見たことがない天井だわ。
がやがやと、静かだけれど誰かと誰かが話す声がいくつも。
「この子のウィッグですね」
「はい。今つけているものでは無く、こちらの、より長いウィッグをアレンジしていただきたいのです」
「かしこまりました。イメージは先ほどお見せいただいたような感じで」
「はい」
「では、こちらの椅子に座らせて、ウィッグを変えてあげてください。長さとかを見ていきますね」
白手袋をはめたオーナーがそっと私を抱き上げる。ああ、私はあの黒くて長細いカバンの中に入っていたのね。そうしてオーナーが運んできてくれたのだわ。
大きな鏡の前の椅子、その上にさらに柔らかなクッションの台が置かれているの。そこにちょこんと私を座らせると。
やっとフェイスカバーを取ってもらえたわ。ふぅ。新鮮な空気がおいしい。のよねきっと、呼吸ができないからわからないわ。
やぁん、カバンの中で布団とおしくらまんじゅうしていたから、髪がぼさぼさよ。
鏡に映る室内は、同じように鏡の前に人が座って、その斜め後ろに一人づつ、人が立っているの。立っている人が、座っている人の髪の毛を触ったり、ハサミね、はさみで切っているわ。頭が大きな機械に飲み込まれている人がいるじゃない、大丈夫なの? あれ。オーナー、あの人、機械に食べられてるわよ? 助けなくっていいの?
「紗雪、ごめんね、一度ウィッグを外すよ」
え、梳いてくれるのではなく、外してしまうの? 意識がそれている間に、するりとウィッグが外されてしまったわ。
いやん、丸坊主の私なんて見ないで、いじわる。ほ、他の人には視られていないわよね? よかった、鏡の向こうの人達がこちらを気にしている様子は無いわ。
オーナーが手にしているのは、あ、わかるわ。ウィッグネット! 私の髪もそういうのに入っていたのよね。
袋の中のU字型の白い厚紙に守られて、黒い柔らかそうな網の中に入っているの。
さっきまでのウィッグと同じ、灰銀色の髪が出てきたわ。え、これを私にかぶせるの? 何かしら、まだ全然傷んでいなかったから、軽く梳いてくれるだけで、元通りのパーフェクトな私に戻れたわよ?
ん、オーナーちょっと焦ってる? いつもより少しだけ強引に、ぎゅって、新しいウィッグをかぶせられてしまったわ。
いつもの過剰なくらい優しいのもいいけれど、少し強引なのもやっぱりいいわね。ちょっと俺様系?
顔の横に、ドンっって手を突かれて、顎をくいって……。
いえ、やっぱりオーナーにはいつもの紳士な雰囲気が良いわ。やんちゃで乱暴なのはダメよ、タイプじゃないわ。
いつもみたいに2種類のブラシで梳いてくれるのでもなく、手櫛で簡単に整えるだけ。あぁん、さすがにそれじゃあ大分ぼさぼさよ? オーナー、どうしちゃったのかしら。私の事嫌いになってしまわれたの……?
髪がぼさぼさだと、心もばさばさ、ささくれだったように荒んでしまうわ。
「では失礼しますね」
あ、さっきの女性が戻ってきた。私の髪をそっとつまんで、ブラシの後ろがぐ~って長い針みたい。その長細い側で髪束をよけて行くの。そして、それはなぁに? クリップ? すっと何か所か留めているわ。
しばらくそうして、髪をいじった後で
「長さの調整だけ、今してしまいますね」
オーナーがうなずくと、すっと金属の冷たさが頭に。
ひゃ、ひゃぁぁ、刃物、刃物よ! オーナー、はさみが私の頭に当てられているわ。
でもオーナーはスマートホンをのぞき込んで、あ、お写真を撮っているのね? う~こんなみっともないところ、撮られたくないのに。せめて、しゃんとおすまし顔をしなくちゃ。怖がって泣きそうな顔なんて私には似合わないわ!
「こうして美容院でカットしていただいていると、なんだか、紗雪がプロのモデルさんになったみたいです」
「ふふ、そうですね、カールを付けたりはお預かりしてになりますけれど、ドールの子に施術しているって、なんだか私も不思議な感覚です」
そう、そうよ、モデルさん。私はもうオーナーが投稿して、世界デビューを果たしたモデルさんよ!
しゃんとしなくっちゃ。ドールモデルが美容院通い、なんてきっとドール界でも話題になるわよ♪
オーナー、何か雑誌とかはないのかしら。今なら私、ちょっとカッコよくキメテあげるわよ?
その後、新しいウィッグは取り上げられてしまったの。そして少し悩んでいたけれど、ウィッグはかぶせずに、またフェイスカバーを付けてお布団サンドイッチになると、鞄に直行。
オーナー今日はちょっと意地悪じゃない? いいもん、ふて寝しちゃうもん。
おやすみなさいだって言ってあげないのだから! ふんだ。
「”今日は紗雪を美容院へ連れて行きました。ドールのウィッグを、まるで人間のようにカットしてもらえるなんて夢のよう。@秋葉原のxxxx xxx様 #うちのこかわいい“ うん、こんな感じかな」
て、気が付いたら私、お家のベッドルームでPCをオーナーと一緒に覗き込んでいたわ。
そして、お~な~! また、またそんな私の恥ずかしいお写真を世界に発信したら、めっっ!
ピン? とか、なんだかいろいろくっついた乱れ髪。美容院でカットしてもらっていた時の写真ね。
だから雑誌とか、ほら、うんと、記憶で見ると。そうよ、お洒落なサングラスに、お紅茶! それか、お洒落なカフェのテイクアウトドリンクに、電子端末! そういうムードを作ってからにして~。
あ~ん、髪が整っていないお写真を世界のみんなに見せちゃうのは、いじわるよぅ!
しばらく後、もう一度美容院に連れてきてもらったわ。
そうしたらね、ツーテール以外の髪もみ~んな、オーナーの大好きなロングヘアになっていたの。ボリュームたっぷりに背中まで届く、緩く巻かれたロングヘア。こめかみと、もみあげから垂れる灰銀色の髪の一房は緩く内巻きに癖がついて、肩口まで。顎の線を隠してくれて、小顔効果だって狙えちゃう。ロングツーテールもいっそうボリューミーになって、ふんわり頭の両脇を彩ってきゅーと。
オーナーが手櫛でそっと肩のラインにかかるように前に出してくれると、とっても大人な雰囲気に大変身。
前の少し短めのカールツーテールから、ぐっと大人しやかな雰囲気がプラスされたわ。
「うん、理想的だ!」
思わずはしゃいだ声をオーナーがあげていたわ。これで私はもっともっと、貴方の大好きになれたのね。
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紗雪のイメージ写真を挿絵に変わり投稿させていただきます
※写真に写っておりますドールは筆者所有のドールを筆者自身が撮影した写真です。転載等なされませぬようお願い申し上げます。