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やらかし女神と忘却の勇者  作者: 鹿苑寺ゲン
第一章 女神との再会
8/19

冒険者ギルド

今回は異世界転生モノが好きな方々にはお待ちかねの冒険者ギルド、そしてRPG要素の説明回となります。


 地図をたどって道を歩いて行くと、大きなレンガ作りの建物を見つけた。

 建物の前には看板があり、そこには『冒険者ギルド ティンレア支部』と書かれている。

 

 ティンレアってなんだ、と首をかしげると今俺達がいる街の名前のことだと、サレン様が教えてくれた。

 ここが三つあるギルドの一つである冒険者ギルドか。

一体どんなところなんだろう。強そうな人とか、おっかなそうな人がいっぱいいたら嫌だなぁ。


 「あっ、入る前にちょっと相談が」


 サレン様がそう言い、入り口の前で中に入るのを躊躇する俺を制止させた。

 ひょっとして、女神様も中に入るのが怖かったりする? 


 「お互いの呼び方ですが、私のことは様付けはせずにサレン、と呼び捨てで構いません。あと私に対して話す時は敬語でなくて自然に話してください。それと・・・今は九重さんと呼んでいますが、下の名前でお呼びしてもいいでしょうか?」


 ああ、呼び方の相談でしたか。

 様付けしなくて済むのと敬語を使わなくていいのは嬉しいんだけど、九重ってそんな言いにくいかな?


 「わかりました・・・じゃなくて、わかったよ。サレン」

 「うん、自然体な感じでいいですね。それでは行きましょうか、遊星さん」


 なんか照れるな、と思いながら先を行くサレンに続いて、俺もギルドの中へと入る。


 ギルド内は、様々な格好をした人達が室内を闊歩しており、とても賑やかであった。

 全身鎧に身を固めている者、軽装な者、ちょっと露出度の高い格好をしている若い女性や、中には、頭に動物のような耳をはやしている者や耳の先が人間と違って尖っている者もいる。

 更に酒場が併設されているようで、美味しそうな料理の匂いまで漂ってくる。


 「受け付けはあそこで出来るみたいですね。早速行きましょうか」


 なんだかやけにテンションの高いサレンの後に付いていく中、周囲からひそひそと話し声が聞こえてくる。


 「なんだあの二人組? 見たことねえな、新入りか?」

 「新入りのくせにやけに装備が揃っているような・・・しかも見ろよあの女。なんかこう・・・エロいな」

 「ああ、世の中にはあんな防具もあるんだな。それにあの持ってる槍からは、なんかとてつもないオーラを感じるような・・・」


 あーあー、女神様、なんか注目集めちゃってますよ。

 でも確かにわかるよーその気持ち。肌露出していないのにエロイもんな。 

 そんな下品な会話を聞き流しながら、連れのエロイお姉さんが待つ受付へと向かう。


「聞いてくださいよ、遊星さん! 冒険者の登録に手数料がかかるんですってー!


 受付で先に話を進めていたサレンがひーんと、泣きそうな顔で俺に助けを求めてきた。

 またお金のトラブルですか・・・やっぱり初めに神器売って正解だったんじゃ・・・。


 俺はため息をついてポーチからお金を取り出して、彼女に手渡す。

 登録料は千五百リギル。これも負債のリストに追加しておこう。


 手数料の支払いを済ませると、受付のお姉さんから登録に必要な書類を渡されたので、必要項目に記入して提出する。


 「それでは、今回お二方は初めてとのことですので、ギルドについて簡単にご説明いたしますね」


 冒険者ギルドは、主に依頼主からの仕事を冒険者に斡旋する組織である。仕事はボードにある依頼書(クエスト)を見て請け負う形式と、依頼主からの直接指名制の二つがあること。


 各冒険者にはF~Sまでのランクが存在し、依頼を数多く熟していくことでギルドに認められて、ランクが上がっていく。基本的にはワンランクずつ上がっていくのだが、難しい依頼を熟していけば飛び級もあるようだ。


 仕事の請負は特に依頼者による制限がなければ、冒険者ランクに構わず受けることが出来る。

 そのため下級のランクでも、実力が見合えば高難易度の仕事も受けられるようだ。


 ただし、その分失敗すれば報酬どころか、違約金の他にギルドからの追放といったペナルティが課せられるため、自分の力に過信しすぎないよう、注意も必要だ。


 ギルドについての説明が終わると、お姉さんは引き出しから二枚のカードを取り出す。


 「こちらはギルドカードです。主に冒険者ギルドに加入している者としての証明書です。機能としては、ご自身のレベル、職業、ステータス、スキルの他に討伐したモンスターの数や情報も確認できます」


 続いて、お姉さんより各項目の詳しい説明を受ける。

 要約していくと、こういうことだ。


 『レベル』というのは、個人の強さの目安となる数値であり、モンスターと戦闘あるいは討伐をすることで〈経験値〉というものが蓄積されていき、一定のラインに達すると上がっていくようだ。


 『職業』は冒険者としての自分の役 のこと指す。基本的には『ステータス』の数値に沿って、適性の職業を選定するようだ。 

 ギルドカード作成時、最初の職業はそのステータスに合わせて自動で設定される。

 職業はレベルが上がることで、自動的にクラスアップする。また、自分の好みに合わない場合は変更することも可能だが、その分野に適したステータス値が低いと見合った力が出せないため、険しい道のりになるらしい。


 『ステータス』は6つのカテゴリに分かれており、〈筋力、耐久力、敏捷、魔力、器用度、幸運〉がそれぞれ数値化される。レベルが上がることで、こちらも必然的に上がっていく仕組みのようだ。


 『スキル』は様々な特殊技能のことを指す。初期の段階では、自分の才能や職業に関係した技能を取得しているが、レベルを上げたり、人から教えてもらうことで新しいスキルを習得できる。しかし、人から教えてもらう場合、習得にはステータスの器用度に依存するため、低いと習得が出来なかったり、中途半端な効果しか得られないなんてこともあるようだ。


 また、スキルレベルというものがある。レベル1からレベル5までの五段階制で、こちらはスキルの熟練度に合わせて1レベルずつ上がっていくようだ。


 「魔物の討伐数と情報は倒した魔物の魂の情報がコピーされ、自動でカードに記録される仕組みとなっております。さて、一通りの説明は終わりましたので、最後にカードの作成に入りましょう」


 何も情報が入っていないカードを渡されると、カウンターから出てきたお姉さんに案内されて、後をついていく。

 案内された先には巨大な鉱石があり、その両脇には二つの盤が立っている。


 「ここでお二人の情報をカードに書き込んで登録完了となります。左の水晶盤に触れてください」

 「じゃあ私から先に」


 サレンか挙手してそう言うので、先に譲る。


 右側の水晶盤にはカードがセットされると、お姉さんから触れて良いという合図を受けて、彼女は左側の水晶盤に触れた。

 すると両脇の水晶盤と、中央に鎮座している巨大な鉱石が光出す。

 一分程で光が収まると、どうやら記入が終わったようで、お姉さんが水晶盤からギルドカードを取り上げた。


 「はい、これでそちらのお方・・・サレン様のカードの作成が終わりました。職業が『ワルキューレ』って・・・今までに記録されていない職業ですね。あとでギルド史に記録をと・・・。それから・・・なんですか、この『ステータス』の数値!? レベル1とは思えないほど、器用度以外が軒並み高いんですけど!? しかも既にスキルを4つも習得していて、全部レベル5って!? あ、ああありえない! 魔道装置の故障ですかね!?」


 サレンのカードを見て驚いたお姉さんが、しきりに先ほどの鉱石の様子を見始めた。


「すいません、このカード一旦預からせて頂いていいですか? ちょっとー! 上から魔動技師の方呼んできてくれます? 装置がなんか調子悪くて・・・!」


 あの鉱石はどうやら、ギルドカードを作成する魔法の装置のようだ。

 騒ぎの中、えへへと一人照れるサレン。だが、目の前の職員さんはそれどころじゃない。


 カードを持ったままお姉さんは慌てた様子で他の職員を呼び、上から飛んできた技術員らしき職員と共に何名かで、装置のチェックに入る。

 その間、近くのベンチに案内されたので腰をかけて待つこと十分後。

 特に異常がなかったのか、首をかしげながら複数の職員が去っていくのを目にする。


 「お、お待たせしてしまい、大変申し訳ございません・・・! 装置の不具合は見つからなかったので・・・こちらがサレン様のカードとなります」

 「どうもありがとう」


 青冷めた顔をするお姉さんからカードを受け取り、サレンはにやりとしながらお礼を告げた。

 そして隣に座る俺と目が合い、職員さんは「あっ」と思い出したかのように言う。


 「も、申し訳ございません! お連れ様のカードの作成がまだ済んでいませんでしたね。装置の点検は終わりましたので、こちらへどうぞ」


 先ほどの騒動で俺のこと忘れられてたよ! 

 ぐぬぬ、と拳を握ってジロリと隣を見ると、サレンは未だに得意げな顔をしていた。


 登録時にやけにテンション高いなと思ったら、こういうことだったのか。

 魔道装置の前に案内され、先ほどと同様にお姉さんから合図を受けて右手で水晶盤に触れる。


 そういえば、昨日宿屋で作戦会議をしていた時にサレンから女神の加護がどうこうって聞いてたな。それに店で防具を選んでた時もステータスが十分高いからって理由で、軽装にしたんだっけ。

・・・あとでサレンと、どっちのステータスが高いか比べてみるか!


 「はい、カードの作成が終わりましたよ。えーっと、ココノエ ユウセイさんですね。職業は『剣客』ですか・・・『侍』は見たことありますが、それとは別のようですね。これもあとで記録っと・・・。ステータスは・・・!?」


 俺のカードを見てお姉さんは絶句した。


 そして、本日二度目の魔道装置の故障騒動が起きたのは言うまでもない。


登場人物のステータスを本文内に書くのは個人的に好きではないので、後書き部分で公表いたします。話数が進んで行けば、章の終わりにステータスだけの項目も作る予定でいます。


九重 遊星 職業:剣客

スキル:女神の加護 Lv5 縮地 Lv4 第六感 Lv5 明鏡止水 Lv3 無形 Lv4

魔法属性:不明

【ステータス】

筋力 220

耐久力 200

敏捷 210

魔力 180

器用度 190

幸運 30


サレン 職業:ワルキューレ

スキル:聖女 Lv5 戦乙女 Lv5 戦神の加護 Lv5 美貌 Lv5

魔法属性:光

【ステータス】

筋力 190

耐久力 220

敏捷 180

魔力 230

器用度 50

幸運 200


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